天使のいる図書館

労働映画

映画紹介『天使のいる図書館』

 地元に就職した新人司書さくら(小芝風花)が主人公。図書館司書が主人公の映画は初めて観た。なじみのない人も多いと思うが、図書館にはレファレンスサービスがある。利用者の調べものや探しものを手伝いする。
 過度の合理的思考で他人とのコミュニケーションが苦手なさくらは、「王子様の出てくる絵本」をリクエストする女の子に「イギリスですか、それともオランダ?」と尋ね返し、「泣ける本はありませんか?」という高校生に『世界拷問史』を選ぶなど、やや空回り気味。
 ある日、図書館を訪れた老婦人・礼子(香川京子)から1枚の古い写真を見せられる。早合点でその場所に案内したことをきっかけに、礼子は違う写真を持ってくるようになり、2人は地元の名所を巡るようになる。地域の歴史や地元の良さを再発見しながら、さくらは亡くなった祖母への想いを重ね、礼子と親しくなっていく。

 

 ある日を境に礼子は1枚の写真を残したまま図書館に姿を見せなくなる。やがて孫だと名乗る青年がやってきて「病院で読む本を選んでほしい」。余命いくばくもない礼子が故郷に戻り、図書館に来ていた真意を知るさくら……

 

 重い本を運び、利用者とのトラブル対応など、図書館司書の仕事はなかなか重労働だ。近年、非正規化が劇的に進む公立図書館。司書ストライキは記憶に新しい。
 映画の舞台となっている奈良県・葛城地域の風景は香川京子の雰囲気と相まって時間の流れ方も違って見える。奈良には修学旅行でしか行ったことがないが、一度ゆっくり旅してみたいものだ。