好きにならずにいられない

労働映画

映画紹介『好きにならずにいられない』

 2015年公開のアイスランド・デンマーク映画。主人公フーシは航空貨物の搬入やカーゴ運転を行う空港地上職。43歳独身、巨漢で髪も薄い。ラジコンや戦場ジオラマが趣味のオタクだ。寡黙で他人とは少し距離感があり職場ではいじめも。でも料理や日曜大工は得意で、気の合う友人も。

 ある日、母とその彼氏がダンス教室に勝手に申し込む、しぶしぶ出かけるが、そこでシェヴンに出会い惹かれていく。引っ込み思案なフーシに快活に接するシェヴン。しかし彼女は心に傷を抱えていたのだ。それを知ったフーシは…
 集合住宅の前でラジコン。父子家庭で引っ越してきた少女が声をかける。「それは息子にあげるの?」「どうして大人なのに奥さんがいないの?」。戸惑いながらまじめに対応するフーシ。カギをなくし家に入れない少女をドライブに連れ誘拐騒動に。警察の取り調べでは「どんな遊びをしていたんだ」と追及され、「第2次大戦ゲーム」と正直に回答。シェヴンがうつ病に苦しみ出勤できないことを知ると、自分の職場で有休をとり彼女が復帰するまで代わりに働く。

 

 容姿や趣味のことで周囲と少し壁があったフーシが少し前に出ていく感じの話ですが、容姿が変化したり、特殊な才能が開花というストーリーにならずに、さりげない連帯感の中で周囲の人びとがフーシの内面に共感し、フーシも少しだけ内面が変化していく話になっている。
 これが北欧映画の雰囲気なのかな。寒冷な空気感の映像色で、コミュニ―ケーションも(良い意味で)抑制的。フーシを演じたグンナル・ヨンソンは不思議な存在感があり、シェヴンや少女に不器用ながら寄り添う感じがよい。

ちば合同労組ニュース 第132号 2021年7月1日発行より