革命児サパタ

労働映画

映画紹介『革命児サパタ』

 1952年の米映画。エリア・カザン監督、マーロン・ブランド主演。メキシコ革命(1910~17年)の英雄サパタの半生を描く。サパタはメキシコ南西部モレロス州の農場主の息子でお尋ね者となっていたが、仲間と共にメキシコ革命に参加、農民蜂起を指導し、ディアス独裁政権を打倒する。
 革命の指導者の一人となったサパタは農民への土地分配を要求し、新たに大統領の座についたマデロと対立、やがて政府から排除される。しかしマデロ大統領が右派のウエルタ将軍に暗殺されると、北部の農民軍の指導者パンチョ・ヴィラと共に反革命軍と闘い、ウエルタを追放して再び政権中枢に。しかしサパタは読み書きができないこともあって政府の実権はエリートの手に次第に集中、再びサパタは孤立する。
 失意のサパタは政府を辞し農村に戻る。だがサパタを恐れる権力者によって反逆者として暗殺される。最後のシーンで裏切り者の手引きにより山中の隠家が襲撃され惨殺される。銃撃で蜂の巣状態、もはや身元も分からない。農民たちは「サパタは死んでいない。これからも生き続ける」とつぶやく。
 1994年、NAFTA(北米自由貿易協定)発効の日に、メキシコで最も貧しいチアパス州で先住民を中心としたサパティスタ民族解放軍が武装蜂起したことでサパタの名は再び人びとの記憶に戻る。木材や石油、ウラン開発のために先住民の強制排除計画が進みつあったのだ。政府は武装鎮圧で応じ、サパティスタは150人近い犠牲者を出す。
 監督カザンは赤狩りの時代、共産主義者の嫌疑をはらすため司法取引で映画界の仲間を売った人物。この映画で共産主義を批判したと評される。ブランドの魅力は〇。

ちば合同労組ニュース 第117号 2020年04月1日発行より