WOOD JOB!

労働映画

映画紹介『WOOD JOB!』

ネタ切れ気味なので、労働組合の映画だけでなく労働映画に紹介の対象を拡大します。今回は、三浦しおん原作の『神去なあなあ日常』を映画化したもの。矢口史靖が監督、染谷将太が主演。
大学受験に失敗し、彼女にも振られた主人公が手にした林業研修生募集のパンフレット。「森であなたと働きたい」と微笑む表紙の女性。列車を乗り継いで着いた先は、見渡す限り山が続く、コンビニもない、携帯電話の電波も届かない山奥。待っていたのは美女ではなく、過酷で危険な林業の現場。
林業がテーマの映画です。簡単に言えば、山の暮らしや林業の魅力にめざめ、次第にたくましくなる主人公という青春労働ムービーです。
映画に描かれた林業のリアルさは分かりませんが、林業の仕事は、非常に過酷で肉体労働の中でも相当厳しそう。刃物でケガし、ヒルに吸い付かれ、雨の中で土砂を転がり落ちる。しかし巨木に登る林業労働者にしか見れない風景、百年杉を切り倒す醍醐味……林業を仕事にしなければ知り得ない世界が描かれます。
木が大金で売れることを知り、「山の木をぜんぶ切っちゃえばいい」と言う主人公に「自分たちは顔も知らない曾おじいさんあたりが植えた木を伐って稼いでいる。同時に、今植えている苗は自分らが死んだ後に孫やひ孫が伐って生活の糧にするんだ」と諭すシーン。
生産のサイクルが百年単位だからこそみえてくる〝働くこと〟の社会的意義。これは林業だけじゃない。息抜きにみるにはお薦めの労働映画です。

ちば合同労組ニュース 第75号(2016年10月1日発行)より