RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ

労働映画

映画紹介『 RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』

 地方鉄道を舞台にしたシリーズ第2弾。富山地方鉄道運転士のドラマを描く。三浦友和が演ずる主人公は、富山県の地方鉄道に勤務する実直一筋の運転士。1か月後に定年を控え、退職後は妻と海外旅行に行こうと計画していた。ところが妻(余貴美子)は、「(夫の退職後は今度は自分が)終末医療の看護師として働きたい」と話す。妻は若い頃、看護師だったのだ。退職後は夫婦でのんびり過ごそうと考えていた夫は「そんなことは認めない」と口論になり、妻は家を出て行く。
 妻の気持ちを理解できないまま退職までの残りの日々を運転手として過ごす夫。会社から頼まれ、乗り気ではないが新人の研修を担当。彼女とけんかして遅刻した新人に「運転士になる資格がない」……。家に戻ってきた妻に理解を示すつもりで「気が済むまで仕事をすれば良い。ある程度働けば気が済むだろう」。夫が自分のことを何も理解していないことを知り、妻は離婚届けを突き付ける。映画はずっと夫の目線で進み、妻の気持ちは理解できない展開になっている。
 実は、妻はがん検診で再検査となり死を意識、自分の人生がこのままで良いのか悩み、がんで亡くした母親が家に戻りたかったのに病院に入院させたまま何もしてやれなかったことを後悔していたのだ……
 思いのほか緊張感のある展開が続く。最後はある事件をきっかけに大団円に向かいます。定年を目前にした実直な運転士とその妻が人生の節目を迎え揺れ動くさまを描く。西武鉄道で活躍したレッドアロー号が物語を進める役回りですが、鉄道映画というよりお仕事ムービーです。

ちば合同労組ニュース 第83号 2017年6月1日発行より