無期転換の権利行使わずか3%

制度・政策

雇い止め許さぬ 労働組合に加入し無期転換を

無期転換の権利行使わずか3%

 労働政策研究・研修機構(JILPT)が9月10日に発表した「無期転換ルールへの対応状況等に関する調査」結果によると、無期転換の権利が発生した労働者のうち権利を行使したのはわずか3・1%。
 無期労働の権利が発生したことを自覚して権利行使をした労働者は17・3%。逆に82・7%の労働者は権利があることを知りながら行使していないことが明らかになりました。

 企業に対する調査では、有期契約労働者を雇用する企業のうち無期転換5年ルールを認識・自覚している企業は約77・9%。有期雇用労働者に無期転換の機会を設けた企業のうち52・5%が就業規則に規定し、61・8%の企業が労働者に説明したとのこと。
 認知度は約36%
 他方、有期契約労働者に対する調査では、無期転換ルールの認知度は35・5%にすぎない。名前は聞いたことがある16・9%、知らないが32%でした。
 無期転換を「希望」は26・6%、「希望しない」が33・1%、「分からない」割合が34・6%となっている。
 希望する理由としては「雇用不安がなくなる」「長期的なキャリア形成の見通しや、将来的な生活設計が立てやすくなる」「賃金・労働条件の改善を期待」など。
 他方、希望しない理由としては「現状でも雇用は安定」「契約期間だけなくなっても意味がない」「辞めにくくなるから」など。
 結果として、制度を知らない人や権利行使をしない人が多数を占め、実際に権利が発生した労働者のうち権利を行使したのはわずか3・1%にとどまる。
 権利が発生したと回答(認識・自覚)している労働者に限ってみても、権利を行使した割合は17・3%。行使していない割合は82・7%との結果となった。
無期転換制度とは
 2013年4月の労働契約法の改定で、有期労働契約が更新されて通算5年を超えた場合には、労働者の申し込みにより無期労働契約(期間の定めのない契約)へ転換できる制度が導入された。施行から丸5年となる2018年4月から無期転換申込権が順次発生している。今回は昨年11月に実施、制度開始から7か月後の調査である。
 無期転換後の雇用形態は、正社員が45・3%、契約期間だけ無期転換(他は変化なし)が43・4%だった。働き方については変化なしが65%。「難しい仕事を任されるなど責任が重くなった」「役職への登用があり得るように」などの変化も生じているという。
 ちば合同労組は一昨年、無期転換連絡会を立ち上げ、無期転換問題ホットラインを開設し、ウェブサイトも作成した。それなりに反応はあるが爆発的とはいえない。今回の調査結果は残念ながら体感に近いと言わざるを得ない。
 雇用期間の定めだけ撤廃した限定社員・準正社員をつくる政策的意図は明確にあるが、闘いに転じて一歩でも労働者の権利を拡大していくつもりだ。(S) 

ちば合同労組ニュース 第112号 2019年11月1日発行より