真面目に働けば報われる社会の実現を

制度・政策

真面目に働けば報われる社会の実現を

NHKスペシャル「中流危機を越えて」

 7月8日の安倍元首相の銃撃事件から国葬の強行までの2か月間は一つの時代を前に進めたと言えます。この流れの中で日本の「雇用崩壊」を可視化した番組がNHKで報道されました。
 9月19日のNHKの報道では、この30数年で雇用が激変し、社会と労働者の意識が変わったことを示しました。
 労働政策研究・研修機構(JILPT)の調査が、この放送の基礎的なデータになっており、世帯所得の中央値は25年で約130万円減少(図)。いわゆる中流といった階層が激減したと言います。
 中流意識の象徴であった正社員・持ち家・自家用車といった生活条件がなくなっているということです。これには「単身世帯、高齢世帯、非正規雇用の増加の影響がある」と分析されています。
 意識調査の内容も鋭角的な結果となっています。
 現在の生活水準について過半数(56・7%)が暮らしに余裕はないと回答。「親より経済的に豊かになれると思うか?」には「なれないと思う」が4割弱。「努力さえすれば誰でも豊かになることができるか?」は65・6%が「思わない」と回答。
 「真面目に努力すること」は年齢階級が高くなるほど高く、「人脈やコネに恵まれること」は年齢階級が高くなるほど低くなる傾向にあると言います。
 1995年の日経連「新時代の日本的経営」報告以来の30年の新自由主義施策がいかに日本の雇用を崩壊させ、労働者のやる気を失わせたか。
 NHKは、この大きな要因が“企業依存システム”にあり、年功序列の雇用慣行の限界だったとします。労使協調で雇用を流動化させて成長産業に人材を移せという結論になっています。
 結局は自己責任論を押しつけるものです。この原因は決して運命ではなく、小泉・安倍や竹中平蔵といった政治家や財界の施策にあります。非正規雇用化や労働者派遣法、「働き方改革」や女性活躍法といったものが、この日本をむしばんだのです。
 そうである以上、今の日本の絶望的な状況を覆すには、労働者が資本に立ち向かっていくしか選択肢はない(K)。

 ちば合同労組ニュース 第148号 2022年11月1日発行より