自治体丸ごと民営化へ向かう柏市

公務員・教育

自治体丸ごと民営化へ向かう柏市

現場労働者の団結を議論と闘いの基礎に

公営住宅 老朽化が著しい施設は建て替えを前提とせず、築40年以上が経過している4施設については、廃止に向けて段階的に着手します。
私立保育園の整備 必要なサービス量の確保については、私立幼稚園の整備により対応します。公立保育園(23園)のありかたについて、廃止や民間事業者への移行を含めて検討し、送料の縮減を図ります。
小学校 適正規模に満たない小規模校のうち、単学級以下の学校(小学校4校、中学校1校)を対象に、隣接校との集約化(統合)を含めた検討を進めます。
庁舎・出張所 出張所はマイナンバーの普及に伴い、自宅やコンビニで証明書を取得できることから、統廃合も視野に入れて検討します。

「柏市公共施設等総合管理計画(基本方針編)」より

 柏市は3月に「公共施設等総合管理計画(基本方針編)」を策定しました。150㌻に及ぶもので、市の庁舎や出先機関、学校をはじめ建物と道路や水道管などのインフラを部門ごとに列挙して、統廃合や民営化を示唆しています。
 職員の処遇や身分については言及していませんが、この通りに進めば、市の職員として残るのは幹部(候補)職員だけとなり、それ以外の大半の公務員は雇用の期限付きの非正規職員や民間の労働者に置き換えられることは、容易に想像がつきます。
 運営方法としては民間施設への転用・活用が前提になっており、たとえば「マイナンバーの普及による『コンビニ交付サービスの活用』により、市民課などの証明書申請・交付窓口も縮小し、施設を前提としないサービス提供方法へ変更する」と書いてあります。自治体のありかたの大転換がはらまれています。

公立保育園全廃も示唆

 今回、特に強調されているのが市営住宅と保育園と小中学校に関わることです。

公営住宅については「老朽化が著しい施設は建て替えを前提とせず、築40年以上が経過している4施設については、廃止に向けて段階的に着手」

公立保育園の今後について市として初めて言及し、「必要なサービス量の確保については私立幼稚園の整備により対応します。公立保育園23園については、廃止や民間事業者への移行を含めて検討し、総量の縮減を図ります」

・小学校については「適正規模に満たない小規模校のうち、単学級以下の学校(小学校4校、中学校1校)を対象に、隣接校との集約化(統合)を含めた適正配置の検討を優先的に行います。学校の適正規模を維持し、規模の縮減(ダウンサイジング)も検討」

 ――と記載されています。公立保育園の廃止や民営化についてはこれから具体的に対象園を絞っていくと思われます。
 公立保育園で働く労働者の多くは3年契約の「任期付き職員」です。雇い止めをさせない闘いが必要です。そもそも、日々子どもたちや保護者のことを真剣に考えて働いている職場と労働者が簡単にリセットされていいわけがありません。
 まず何が起きようとしているのかを真剣につかみ議論を開始することが必要です。労働運動・労働組合の課題であり、それぞれの職場で働く労働者が団結して闘うことが事態を転換させることを、議論と闘いの基礎にすることだと思います。

激変する自治体職場

 少し大きな視座で見ると「自分たちの子どもの時代には正社員や正職員がなくなる」現実味が増えています。仕事がきつくなって職場の団結や連帯感も薄れ、アクシデントや失敗は「個人の責任」にされ、「告げ口」「足の引っ張り合い」も増えかねません。
 でも、この悪循環は労働者の団結で断ち切れると思います。まず現場で起きていることを一緒に議論し、団結を固めて職場を変えていく展望をつくっていく。労働組合にはその力があるはずです。まずは、そのことにエネルギーを注ぎたいと思います。
 例えば、この10~15年で公的介護の現場は劇的に変化しました。2000年に介護保険制度ができる前は、従事する労働者は公務員かそれに準ずる待遇を受けていました。それが介護保険によって民間参入と競争原理が持ち込まれ、いまや介護職場は最低賃金スレスレの低賃金や人員不足、長時間労働などが深刻化しています。離職率の高さがそれを物語っています。
 1987年に中曽根政権が労働組合つぶしと利権を目的に強行した「国鉄分割・民営化」から今年で30年を迎えていますが、JR各社も「選択と集中」でローカル線の廃止(北海道は路線の半分が維持困難)や、運転士や駅員を含めた外注化と非正規雇用化が焦点になっています。国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)は、十数年間、鉄道業務の外注化と闘って食い止めています。(投稿/次回へ続く/柏市公共施設等総合管理計画全文は柏市ホームページより閲覧可能)

ちば合同労組ニュース 第83号 2017年6月1日発行より