菅政権のもとで金銭解雇制度導入の動き

制度・政策

菅政権のもとで金銭解雇制度導入の動き

 

 厚生労働省は11月16日、「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」を再開させた。安倍政権のもとでしばらく議論が止まっていたが、経団連も最近、2030年の創造社会を目指すアクションプランの一つとして金銭解雇制度を提言した。

 

 この間、政府や経団連は「ソサエティー5.0」なる概念を振り回し、「デジタル革新と多様な人々の想像・創造力の融合によって、社会の課題を解決し、価値を創造する社会」を「創造社会」と呼び、狩猟・農耕・工業・情報社会に続く第5の社会(ソサエティー5.0)と位置付けている。
 そこでは、未来の働き方として、新卒一括採用や長期・終身雇用、年功賃金制度を一掃し、雇用や労働の柔軟化・流動化を徹底させることを提唱している。そして、「人材流動化」の切り札として解雇無効時の金銭救済制度(金銭解雇制度!)を創設する必要があるというのだ。

 

 金銭解雇制度はこの十数年、特に安倍政権下でも導入の動きがくすぶってきたが、菅政権のもとで金銭解雇制度の導入が狙われていることに警鐘を乱打する必要がある。
 金銭解雇制度とは、解雇無効と判断された場合であっても企業側が金銭を支払うことで職場に復帰させずに労働契約を終了させる制度であり、しかも使用者側からの金銭解雇制度への申し立ての道を開こうとしているのです。

 

 不当解雇は職場復帰が原則であり、仮に労働者が金銭解決を望むならば現行制度でもまったく問題ない。不当解雇をめぐる争議をバックペイも認めず札束で頬を殴るように職場から追放するやり方は絶対に容認できない。金銭解雇制度に反対する大きな陣形を作っていく必要があります。

 ちば合同労組ニュース 第126号 2021年1月1日発行より