超多忙な、朝のマクドで感じたこと

組合活動

超多忙な朝のマクドで感じたこと

人と労働を破壊するデジタル化

 朝、マクドナルドに行った。レジ前に客2人、その後に並んだ。ドライブスルーも併設され、いつも忙しそうな印象の店舗だが、最近は、「パーク&ゴー」と言って駐車場で待つ客の車まで店員が持っていくサービスもある。
 この日、気になったのがモバイルオーダー。店舗に着く前にスマホから注文し、レジや駐車場で受け取る。レジ前で並ぶ客の立場からすると割り込まれた気分であまり愉快ではない。マックデリバリーやウーバー配達員の姿も見かけた。コロナ禍でドライブスルーや配達も以前より多い。
 結局、私がハンバーガーを手にするまで10分以上かかった。接客担当は2人+α。本当に大変だ。肉体的に過重労働でもあるが、イライラする客に「お待たせして申し訳ございません」と謝罪しながら働き続けるのはツライ。

スタバ労組とDX

 昨年末、米国のスターバックスで初めて労働組合が結成された。米国内のスターバックス直営店で労働組合が結成されるのは50年の同社の歴史で初めて。組合が結成されスタバ労働者は会社と直接交渉ができるようになった。 
 ロイターなどの報道によると、組合結成の直接的な原因はモバイルオーダーだ。
 レジ待ち行列を緩和し、注文の聞き取りミスや勘違いによるヒューマンエラーを回避しクレームを減らすと鳴り物入りで導入。スタッフは調理に集中でき店内オペレーションの合理化ができるのだ、と。
 定員と客の接触を減らし、感染リスクを下げるとの口実で導入が加速された。
 しかし現実には、このモバイルオーダーが現場の大きな負担に。朝の通勤時間帯、現場がモバイル注文に追いつかなくなる。押し寄せるモバイル注文に追い立てられ、レジでの接客ができない。モバイルオーダーの一時停止は店長の許可が必要。労働者は、コーヒーを作る忙しさよりも、遅延による客の受け取り拒否が心理的に苦痛とのこと。
 「テクノロジーは顧客のためではあったが、従業員のためのものではなかった。労働組合がなければDXのあり方に声を上げることができなかった」

AIによる支配

 デジタル化や自動化などの新しいテクノロジー導入がコロナを転機にものすごい勢いで加速している。
 一部の食品工場や倉庫では、AI(人工知能)技術を利用した要員配置が時間単位で計画・運営されている。AIは、ある意味、究極の合理性に基づく要員配置を行う。
 現場の労働者は、繁忙時間帯を超えれば一息付くなど緩急をつけて働いている。緩急が予想できれば時にトイレもガマンできる。しかしAIにそんな人間味はない。〝AIによる要員配置の適正化〟は、介護業界などでも耳にする。
 ウーバーイーツでは、客の注文と配達員のマッチングだけでなく、配達員への報酬額の決定や評価もアルゴリズム(手順処理や計算の自動化)が支配している。
 労働現場におけるAI・アルゴリズムなどのデジタル化は労働組合にとって大きな課題だ。労働における緩急のはく奪、AIによる労働の一挙手一投足的な監視など今まで想像できなかった非人間的な労働が予測される。緊急性のあるテーマだ。(S) 
ちば合同労組ニュース 第139号 2022年2月1日発行より