銚子市立病院・市財政の破綻はなぜ起きたか/第二の森友学園

公務員・教育

第二の森友学園 銚子市・千葉科学大学

銚子市立病院・市財政の破綻はなぜ起きたか

安倍人脈が教育反動支配と特区で巨大利権

 第二の森友学園として浮上した「加計学園グループ」。
 現在、焦点ととなっている のが淡路島(南あわじ市)につくられた吉備国際大学と愛媛県今治市に開設予定の岡山理大獣医学部だ。
 南あわじ市では12年、加計学園グループが、生徒減少で廃校となった志知高校(土地・建物の評価額約30億円)の無償譲渡を受け、リフォーム費用20億円ののうち13億円を市が負担し、学生が市に住民票を移せば1人あたり30万円の補助金を出すという破格の条件で大学を開設した。
 南あわじ市はけっして裕福な自治体ではない。当時の市税収入は年60億円。それが土地・建物を無償提供し、税収の6分の1を補助金として提供したのである。
 同じく無償提供で注目を集めているのが今治市の岡山理大獣医学部の用地。約37億円の市有地がやはり無償で学園に渡ることが3月3日に今治市議会で決まった。しかも192億円の施設整備費を市・県と加計学園で折半する取り決め。
 獣医学部の新設は、特区を使って52年ぶりの新設。公募のタイミングなど針の穴にラクダを通すような手配で進んだ。
 学園トップの加計孝太郎は安倍首相の「親友」。
 安倍が大学卒業後に米国へ留学した際に知り合った。第2次安倍政権の発足以降も、判明しているだけでもゴルフ4回、食事10回を一緒にする仲だ。妻・昭恵は、森友学園だけでなく加計学園の運営する神戸市の保育施設「御影インターナショナルこども園」の名誉園長でもある。
 似たような筋書きで、加計学園グループは、岡山県高梁市で約60億円、宮崎県延岡市でも約90億円の支援を受けている。

90億を無償提供

 前置きが長くなったが、千葉県でも似た話がある。銚子市の千葉科学大学。2004年に設立された加計学園系列の岡山理大の姉妹校である。
 安倍首相は、05年の開校式典、14年の10周年式典に出席し、「私と加計さんは、どんな時も心の奥でつながっている腹心の友」と語っている。
 同大学は、日本初の「危機管理学部」を開設したことで有名だ。拉致問題に熱心な安倍首相が「日本にも危機管理のプロが必要だ」と公言していたのと関係があるとの指摘もある。
 千葉科学大学は元銚子市長の野平匡邦が誘致した。野平元市長は97年から99年まで加計学園の拠点である岡山県の副知事で、加計学園・岡山理科大学の客員教授だったこともある。開校前年に市民が1万7635筆の「大学誘致の是非を問う住民投票の請願」を提出したが、市議会が否決した。
 銚子市への大学誘致の条件として加計学園側は土地の無償譲渡と校舎建設費などの補助金95億円を要求した。最終的には77億5千万円の補助金を銚子市が加計学園に出し、土地は無償貸与となった。
 銚子市の一般会計予算は241億円(昨年)。実に財政規模の3分の1を大学誘致に充てたのだ。このときの借金を今なお年間4~5億円も返済している。市債は現在約300億円。08年には市立病院の経営危機が起きたが、今度は市そのものが財政再建団体になる寸前だ。銚子はいま〈第二の夕張〉と言われる。
 森友学園問題を最初に追求した豊中市の木村市議は「この問題の本質は、このカルト右翼学園に対する異常な便宜供与が行われたこと」と語っている。
 安倍は、教育基本法の改悪、「日の丸・君が代」強制、「つくる会」教科書を先導し、教育の民営化と規制緩和を協力に推進してきた。森友学園や加計学園の錬金術的な膨張は、教育支配と教育特区のフル活用ぬきにはありえない。
 ちなみに野平氏は、4月の市長選で返り咲きを目指している。国家戦略特区で加計学園の水産・獣医学部を誘致することを公約にしている。
 「医・獣医など法律で新設を認められない学部は、特区を使って新設すれば儲かる。獣医学部は特区で(岩盤規制に)穴を開けた」と野平氏。
 安倍人脈が教育を破壊・支配しながら教育を隠れ蓑に巨額利権を得て、地方自治体を破綻の危機に陥れているのである。これほどの不正があるだろうか。隣の韓国では、チェスンシル事件をきっかけに百万人規模のデモでパク政権が倒れた。少なくともこれと同程度の事件ではないのか。

———————————————

編集後記

 銚子の科学大学についての記事を書いた直後に『週刊朝日』でこの問題を取り上げていた。地元では誰もが知っている話なのだが、今までほとんど認知されていなかったことが恐ろしい。今から振り返ってみると、当時の市民病院廃止反対の闘いはとても重要でした。(S)

 春闘の取り組みはささやかなものでしたが、職場の労働者が団結させ崩さなければ、必ず展望を見出すことはできると感じた春闘でした。(T)

ちば合同労組ニュース 第81号 2017年4月1日発行より