安倍首相改憲明言 〝改憲阻止〟を組合の課題に

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安倍首相改憲明言 〝改憲阻止〟を組合の課題に

法定労働時間の適用除外&上限100時間

 安倍首相は6月24日、産経新聞社の講演会で「臨時国会が終わる前に衆参両院の憲法審査会に自民党の案を提出したい」と述べました。
 「自衛隊を憲法にしっかりと位置付け、『合憲か違憲か』という議論は終わりにしなければならない」「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」とも言っています。
 秋の臨時国会は、改憲と労働法制が焦点です。大げさな話ではなく重大情勢です。労働組合として外に打って出る取り組みが必要だと思います。また「働き方改革」関連法案といわゆる「残業代ゼロ」法案が一括法案として国会に提出されることが予想されます。労働法制改悪との闘いも待ったなしです。
 「残業代ゼロ法案」は、労働基準法改悪案としてすでに国会に提出されています。(1)労働時間規制を適用除外とする高度プロフェッショナル制度の創設と(2)企画業務型裁量労働制の営業職への適用拡大――2つの法案です。
 まず(2)の「企画業務型裁量労働制」とは、事業運営に関する「企画、立案、調査及び分析」業務については、一定時間を働いたとみなす裁量労働を認める制度です。
 その対象業務として新たに「課題解決型提案営業」を加えるというのです。その具体的内容と範囲は不明瞭で、法人向けの営業はほぼすべてが対象との分析も。過労自殺が起きた電通(広告代理店)では3分の1の社員が対象になるとも言われています。
 前者の(1)は「特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)」。週40時間・1日8時間の法定労働時間規制を適用除外にして、労働時間ではなく「成果」を基準とした働き方にするというものです。つまり個人に課せられた「成果」を達成するまでが〝業務時間〟とみなされることになります。
 労働基準法関連では、ほかにフレックスタイム制の枠を1か月から3か月に拡大するなどの重要な動きもあります。

「働き方改革」関連法案

 これとは別に「働き方改革実現会議」などで議論されてきた、(3)「残業時間の上限100時間法案」やいわゆる(4)「同一労働同一賃金」の関連法案が臨時国会に出てきます。
 労基法36条に基づく36協定には〈1週間15時間、1月45時間、1年360時間〉という限度時間が設定されています。この「時間外労働の限度に関する基準」に基づき労働基準監督署は助言・指導を行う仕組みになっています。
 しかし、労使が合意すれば、弾力措置として限度時間基準を超えた時間数を設定できます(特別(エスケープ)条項)。この例外規定による青天井の36協定に対して労基署は行政指導はできますが、他の要件が整っていれば最終的に届出を受理します。協定が無効となることもありません。
 つまり事実上、労働基準法上の残業時間数には上限がないのが現状なのです。厚生労働省の調査では1か月の特別延長時間の内訳で最も多い時間帯は「70~80時間」でその比率は36・2%。過労死基準である「80~100時間」が16%、そして「100時間超」の会社が5・5%も存在します。その割合は、実は大企業ほど高いのが現状なのです。
  それを今度は上限規制で「100時間未満」にすると言うのです。当初、過労死認定基準80時間が攻防ラインと言われていましたが、朝日新聞6月4日付記事『働き方改革を問う』では、電通事件が転機となりつつも「連合の神津会長には〝100時間未満〟が苦し紛れの最後の手立てだった」という状況だったことが明らかにされています。
 この法案が成立すれば、現在の過労死の労災認定基準が80時間であるにもかかわらず、「100時間未満」が法律で明記されることになり、企業は「法律の範囲内」と主張できるようになります。
 今後の労災認定や労使協定・労働協約、雇用保険の認定基準(残業月45時間以上が連続3か月続けば正当な理由のある自己都合退職とされ、待機期間・給付制限なしで求職者給付が受給できる)などに、悪影響が及ぶことは間違いありません。
 そのほか「同一労働同一賃金」関連法案や、金銭解雇制度なども法案化されます。紙面が足りないので続きは次の機会に。
(書記長)

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 テーマ 労働法大改悪について
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ちば合同労組ニュース 第84号 2017年7月1日発行より