2024年レイバーノーツ大会に空前の参加者

その他
全米自動車労組(UAW)の成功に続け!
 「私たちを救ってくれるのは、私たちであり、団結した労働者階級」(UAWフェイン委員長)
●手がかり求め参加
 コロンビア大学などでパレスチナ連帯が高揚する米国で4月19~21日、2年に1度のレイバーノーツ大会が開催された。全米から過去最多の4700人が結集し、会場は熱気に包まれた。
 レイバーノーツは79年から始まった労働組合の変革のため運動で、近年、その規模を拡大している。2年前の大会ではアマゾンとスターバックスの労組結成が注目された。
 この数年、レイバーノーツ参加者が既存の指導部に代わって組合を組織化し戦闘化に成功している。スト件数はこの数十年で最大規模となり、労組支持率は7割を超える。レイバーノーツに注目と期待が集まっているのだ。
 資本主義の行きづまりのなか、物価高騰と低賃金、劣悪な労働環境の課題は世界共通となっている。「闘う労働組合をつくろう」のスローガンは単なる理想ではなく、現実的で切迫した課題なのだ。
 従前の左派活動家の集まりだった性格から、全米の産別労組から参加者が送り込まれ、組合運動家を養成する推進機関へと転換している。
●労組敵視の南部でも
 数多くのパネルディスカッションやワークショップが開催され、組合結成や団体交渉のやり方などの実践的議論だけでなく、「2段階賃金」「人員不足」「民営化」「AI」「移民労働者」「セクシャルマイノリティ」「気候危機の与える影響との対応」「パレスチナ」などの様々なテーマが活発に議論された。
 圧倒的な注目が集まったのがUAW(全米自動車労組)だ。ビッグ3工場でストを実現し、2階層賃金制を打破、大幅な労働条件の引き上げを獲得した。〈この勝利をいかに他業種産別に拡大できるか〉に参加者の関心が集まる。
 開催中、テネシー州のVW工場で外資系工場で初めてとなる組合認証投票の勝利報告が飛び込んできた。組合敵視の厳しい環境の米南部で達成された歴史的快挙だ。5月にはアラバマ州のメルセデス工場でも結成の見通し。トヨタや現代自動車などの外資系はもちろん製造業全体に広がるインパクトを与えた。
●労働者のバイブル
 UAWのショーン・フェイン委員長が万雷の拍手で迎えられた。彼の手には『トラブルメーカーズ・ハンドブック』。約30年前に作成された組合変革の「導きの書」だ。
 「私が組合の代表になったときのバイブルであり、上司と戦う方法と、同時に会社の労働組合主義と戦う方法を教えてくれました」
 その言葉からは労働組合運動の変革は長い道のりが必要な事業だと分かる。UAWの勝利は、米労働者が長年の蓄積でつかんだ勝利なのだ。
●日本も共通する課題
 戦闘的な労働組合の結成が続く一方で、米全体の組合組織率は10%にとどまる。公共部門が30%で民間は6%に満たない(日本の組織率は16・5%)。「上らない賃金」「仕方がない」と思わされる現実。いまだ多くの労組幹部が労使協調である。これらの課題は日本と共通している。
ちば合同労組ニュース 第166号 2024年05月1日発行より