団交で会社側弁護士からの発言で感じたこと

職場からの報告

会社との力の差を縮めるには

団交での弁護士発言で感じたこと

 以前の労使団交の席上、会社側弁護士から次のような発言がありました。

・(今回は組合要求提示の場であり)意見を聞く場ではない
・(当該が指摘・主張するような)そういう事実はない
・一人の社員の言うことを全社に周知するということは会社はしない
・組合要求項目にあるような行動・運用は会社はこれまでしていないから、要求されてもしない
・(「誠意がない」と言うならば)そう思っていただいて結構

 ――どうでしょうか? 私としては、世間からの非難に意地で対抗するかのような政府・省庁関係者の言動とよく似ているように思います。

 「これまでしていないから要求されてもしない」などと一方当事者が言えば、それはもはや「交渉」ではありません。つまり、「労使団交」の場に出てきていながら、しかし中身は「交渉」にならないようにしたいという意図が伺われます。
 このようなやり取りで団交の開催回数だけ稼がれてはたまったものではありませんが、話がかみ合わないようにする、相手の土俵に乗らないようにする、というのも交渉術の一つなのでしょう。

 会社側弁護士は「会社をよくする」ことなど微塵も考えておらず、ただ「労」側を押さえ込むことに徹する姿勢のように見受けられます。しかし実は、会社にカネで雇われた弁護士に第三者性はまったくない、ということを考慮すれば、「仕方のない」ことなのかもしれません。
 また、事態がエスカレートして法廷事案となれば、むしろ弁護士の専門領域ですので、思うツボかもしれません。そういう目で見れば、会社側弁護士は、会社側団交出席者という立場を利用して、そのように仕向けられるような行動・言動を選んでいるとも考えられます。
 会社と戦うというのは会社側弁護士と戦うということでもあります。ただ、弁護士と言っても所詮は資格・肩書きで、実体は人間です。「正しく恐れる」ことを心がけるのが良いように思います。

 ちなみにこの会社側弁護士が所属する弁護士事務所は、私の勤務先会社の内部通報受付窓口(社外)となっています。このようなケースは他社にも多いのではないかと思いますが、その弁護士事務所は会社と契約して会社から報酬をもらっているのだということを忘れないようにしましょう。
 内部通報受付窓口の弁護士事務所宛てに内部通報をするのは、長い戦いの始まりに過ぎない、と考えておいた方がよいかもしれません。

 会社側(弁護士)はまずは団交を「実体のない形式だけのもの」にしようとする、というのに関連して、もう一つ重要なことがあります。
 傍から見れば時間稼ぎに過ぎないのですが、不当解雇などで窮地に立たされている労働者にとっては、無為に時間が経つだけでも傷がどんどん深くなっていきます。
 パワハラで弱っている労働者は、時間稼ぎで「まともに相手をする気は無い」という態度を見せられれば、それだけでもさらにダメージを負ってしまいます。
 労働組合に加入しても、突き詰めれば「自分」対「会社」です。自分側にまったく余裕がなければ、会社側に足元を見られるだけです。労働問題はできればあまり深刻化しないうちに対処準備にかかった方が良いのではないでしょうか。
 「自分」と「会社」ではそもそも手持ち資源に圧倒的な差がありますが、「労働者の団結」はその差を少しでも縮める手段の一つです。事態が深刻でないうちは団結は簡単ではないかもしれませんが、深刻化してからでは遅いかもしれません。情報交換、意見交換のような所から始めて行きましょう! (組合員C)

ちば合同労組ニュース 第106号 2019年05月1日発行より