戦争・物価高の中で記録的なストライキの波が世界を覆う
■イギリス―物価高騰にストライキの波
急激な物価高騰の中で、世界的に労働者の闘いが広がっています。
とりわけイギリスが顕著です。物価が約10%上昇し、もはや生活が成り立たない状況に入っています。
特徴的には、鉄道・地下鉄やバスなどの交通労働者がストライキに入り8割がストップ。商業や観光、サッカーの試合など社会のあらゆる分野に影響が出ています。
さらに港や郵便、清掃など、あらゆる業種で「同調スト」が広がっています。
また、弁護士も、法律扶助業務(資力のない人の弁護費用を賄う制度)報酬の25%引き上げを要求して、9月に無期限ストライキを準備しています(写真)。英国でも司法改革(規制緩和)で弁護士の数が激増し、弁護士自治が後退し、法律扶助予算のカットが続いているのです。
「社会は混乱状況の中でも、非常に強い連帯感があり、国民の支持は日々高まっている」(鉄道労働組合RMTの執行部)――1926年のゼネスト以来、百年ぶりの社会的現象と報道されています。
■米国―職場の労働組合 をつくるムーブメント
米国でも労働運動の高揚が依然として続ています。
その背景として「15㌦運動によって最低賃金を上昇させたが、労働者の組織化は進まなかった。職場の組織化そのものに力を傾注したことによって、今のムーブメントがつくり出された」と言われています。
新型コロナや経済不況によって、アメリカンドリームの幻想は崩壊し、多くの労働者にとって経済的な成功は遠い世界のものとなり、自らが行動しなければ生活条件が悪化することに気付きはじめ、「労働組合が現実の社会を変える選択肢」という価値観が広がっているのです。
米労働運動の高揚の象徴となっているスターバックス労組は、労使攻防の最先端であるテネシー州メンフィス店でのバリスタ7人の解雇撤回に勝利。組合結成は230店舗を超えて進んでいます。
組合運動の中心を、多額の学費に苦しむ大学院生が担っています。「社会主義を自らの職場で実践する」と人びとの怒りと行動力が高まっているのです。
■安倍元首相銃撃事件― 国葬は時代の転換期
日本でも物価がじわりと上昇しています。私たちの生活にボディーブローのような打撃になっています。
しかし最低賃金はわずか31円しか上がらない。物価上昇スピードに追いつきません。日本企業は、賃上げではなく、「副職」を解禁し、就業規則を変え、ダブルジョブを奨励しています。労働組合の課題として幅賃上げが必要です。
7月8日の安倍元首相の銃撃事件であらためて示されたことは、非正規雇用社会の苛酷な現実です。日本も国葬に37億円の税金を使っている場合ではないのです。誰もが生活できる社会にするために税金を使うべきなのです。
岸田政権の支持率は一気に36%に急落。安倍政治の真実が暴かれ、〝フタ〟が取れ始めてきました。近い将来、日本も世界と同じような状況は来ます。今こそ、労働組合を大きくしていこう。
ちば合同労組ニュース 第146号 2022年9月1日発行より