関西生コン労組 湯川委員長に無罪判決

いま全国で注目を集めている労働組合がある。大阪を中心とした生コン車の運転手を中心につくる労働組合「全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部」(通称「関生支部」)。
動労千葉と同時期に、国鉄分割・民営化攻撃の吹き荒れた1980年代の労働組合の右傾化=総評解体・連合結成の動きに抗して、職場で原則的に労働者を組織化し、ストライキで資本と敢然と闘ってきた労働組合です。
●空前の労組弾圧
安倍政権下の18年から、関生支部に対して大阪府警や京都府警などが一斉弾圧に動きました。憲法28条で認められた権利であるストライキや団体交渉など組合活動を「恐喝」「強要」としたのです。
関生支部の役員だけではなく一般組合員も逮捕、のべ逮捕者数は87人に上りました。
組合員は湯川裕司委員長の644日など長期に勾留されました。しかし裁判では39人のうち19人の無罪を確定させたのです。(24年の全体の無罪率は0・04%)。
●無罪かちとる!
2月26日、検察の10年求刑を打ち破り、湯川委員長は無罪判決をかちとりました。京都3事件(下に説明)は関生支部の組合員7人が在籍していた京都生コンクリート協同組合の解散に当たり支払われた解決金1億5千万円脅迫や恐喝に当たるか争われましたた。公判で検事は「憲法28条の団結権保障は強い労働組合には適用されない」と言い放ち、労働組合運動のリーダーを殺人犯のように仕立て上げようとしました。
26日の判決では、「大人数で阻止したり威圧的な言動は認められない」「労働組合がストライキで経営側の業務を阻害するのは当然で、刑法上の恐喝行為にあたらない」と結論付けました。
湯川委員長は「まともな判断いただいた。非常にうれしい」と報道陣にコメント、闘いの決意を表明しました。
●労組解体30年の根幹を打ち破る
30年間、日本の労働者の賃金が上がらない現実――日本の労働運動が民営化や外注化、非正規化と十分に闘ってこられなかったことにも一因があります。そして国や資本は、当たり前の労働組合活動を犯罪に仕立て上げ、労組解体を狙ってきました。しかし、今回の無罪判決はこの構造全体を根本で打ち砕きました。
無罪判決をかちとった力は関生支部が労働運動で培った不屈の闘志です。そして関生支部を支える労働組合、弁護士やジャーナリストなどの連帯です。
【京都3事件とは】
①生コン輸送会社ベストライナー倒産、組合員7人の解雇に伴う解決金を京都生コン協同組合に支払わせた(14年)。
②近畿生コン倒産に伴う解決金を京都生コン協同組合に支払わせた(16年)。
③村田建材に正社員化を要求したり、保育所に提出する就労証明書の発行を要求したこと、村田建材廃業に伴うプラント解体と一台のミキサー車の譲渡を要求した(17年)。
ちば合同労組ニュース 第176号 2025年3月1日発行より
●以下、探査報道に特化したジャーナリズム組織・Tansaによる関西生コン事件を追った取材動画です。