新年のご挨拶

謹賀新年 新年おめでとうございます。

組合員、全国の労働者の皆様と本年も労働者の団結で職場から世界を変えていきましょう。

本年もよろしくお願いいたします。

2019年 労働者の団結した闘いこそが変化を生む

2019年 労働者の団結した闘いこそが変化を生む

 改憲への突進をはじめ臨時国会での入管法や水道法、漁業法の改悪など安倍政権の攻撃が激化しています。また労働組合が社会的に大きな焦点となっています。
 関西地方で画期的な産業別運動を展開する全日建連帯労組関西地区生コン支部に対し〈ストライキは組織犯罪〉だとして威力業務妨害を口実とした弾圧が続いています。
 JR東日本では、今年2月に社長が官邸に呼び出された直後から「労働運動のない会社をつくる」と公言し、国鉄分割・民営化に協力した東労組でさえ徹底的に切り崩し、すでに3万5千人が脱退する事態となっており、東労組は二分解の状況です。
 連合最大の産別であるUAゼンセンが改憲賛成に舵を切り(UAでも脱退問題など組織問題が起きている)、日教組や自治労への攻撃が激化しています。
 こうした労働運動をめぐる重大な情勢を前にして、私たちは改めて労働運動の再生に向けて新たな努力を開始せねばなりません。今号で紹介した図書館ストライキなど2018年、労働組合の報道が目立ちました。労働者の団結した闘いこそが労働者の現実を変える希望だ――この方向で少しずつ意識が変化しているように感じます。2019年もがんばりましょう(S)。

労働学校へご参加を

 テーマ 帝国主義と戦争
 日時 1月19日(土)13時~ 講師 久木野和也(ちば合同労組執行委員)
 ちば合同労組は団体受講しています。次回のテーマは韓国労働運動です。

ちば合同労組ニュース 第102号 2019年01月1日発行より

「平和教育」つぶしを許さない 千葉県集会

「平和教育」つぶしを許さない千葉県集会に135人

 船橋市東部公民館で12月16日、「改憲と戦争への道をとめる!12・16千葉県集会」を開催し、135人が集まりました。県立高校の教員をはじめ多数が参加し、この間の運動の広がりを感じさせるものになりました。教組OBの井上さんが「平和教育つぶしの闘いと沖縄・辺野古の実力闘争をつなげて安倍の戦争政治をとめよう」と呼びかけた。

 続いて琉球大学名誉教授の高嶋伸欣さんが講演。高嶋さんは高校教員として国を相手に教科書裁判や沖縄と共に闘ってきた方です。「沖縄は米軍の土地摂取と闘うことで、憲法を自分たちの手で獲得したという自負がある。基地のことを本土でも一人ひとりに考えてほしい」「1995年の沖縄県民大会は小学校の社会科の教科書に写真入りで紹介されて検定で認められている。法律上も教育委員会は現場に介入する権限はなく、学習指導要領も強制力はない」と話しました。
 県立高校に勤務する永井さんは、1995年に起きた米軍の少女暴行事件に衝撃を受けて沖縄へ移住したこと、その思いを記載した修学旅行の事前学習プリントが校長によって回収され、県の教育委員会も国の通達を根拠にして内容を検閲したことを報告。
「自分の感情や主観が入っているからプリント配布はダメだというが、教員の思いを書くことがどうしてダメなのか」と問いかけ、「普天間基地は世界一危険な空港」という記述にまで「根拠を示せ」と修正を入れられたことを報告。会場から驚きの声が上がりました。

ちば合同労組ニュース 第102号 2019年01月1日発行より

労働安全衛生教育の重要性

実践的に考える職場と労働法

労働安全衛生教育の重要性

労働者の安全・衛生を守る教育は事業者の義務

 労働災害は、機械装置の不備、作業環境の欠陥など様々な要因によって発生します。さらには雇用の不安定化で労働者の知識や経験不足が生じて労働災害が発生するケースも少なくありません。
 もちろん機械装置の安全化や作業マニュアルの整備などは重要です。しかし実際に作業を行う労働者や監督者が安全の知識や技能を十分に有していなければ大きな危険が生じます。労働者が適切な知識や経験を得るための教育は必要不可欠です。労働安全衛生法は次の安全衛生教育を事業者に義務づけています。

(1)雇い入れ時の安全衛生教育
(2)作業内容変更時の安全衛生教育
(3)特別の教育
(4)職長等の教育
(5)安全衛生水準向上のための教育

雇入れ時の教育

 事業者は、労働者を新たに雇用したときは、必ず、その労働者が担当する仕事に関係する安全・衛生のために必要な事項について教育しなければなりません。
 パートやアルバイトなど短時間労働者に対して安全衛生教育が行われないことがあります。しかし労働時間の長短や契約形態にかかわらず安全衛生教育は当然に必要です。労働安全衛生法でも義務づけられています。

①機械や原材料等の危険性・有害性、取り扱い方法
②安全装置や有害物抑制装置、保護具の性能、取り扱い方法
③作業手順
④作業開始時の点検
⑤発生する恐れのある疾病の原因と予防
⑥整理・整頓、清潔保持
⑦事故等の措置、退避
⑧その他、安全・衛生のために必要な事項

 建設業や運送業、林業など屋外的業種、製造業などは①~⑧のすべての項目について教育しなければなりません。
 「安全衛生教育」という言葉から製造業や運送業または建設業だけと考える人もいますが、すべての事業で実施する必要があります。事務仕事が中心の業種などは①~④は省略して⑤~⑧を教育すれば良いことになっています。

職長教育

 直接指導・監督する職長が原因で労災が発生するケースもあります。
 安全衛生法は、労災の発生が多い建設業や製造業で新たに職長などに就く人を対象とした安全衛生教育を事業者に義務づけています。
 対象者は、現場で監督・指導する立場の人で、職長・作業長・班長など名称は問いません。作業主任者については、免許取得時や講習を受けた時に安全衛生教育を受けているので免除となっています。

①作業手順の定め方、労働者の適正な配置方法
②指導・教育の方法、監督・指示の方法
③危険性・有害性等の調査、措置、作業等の改善方法
④異常時・災害発生時の措置
⑤設備・場所の保守管理

特別教育

 事業者は、危険・有害な業務に労働者を就かせるときには、その業務に関する安全・衛生のための特別の教育を行わなければなりません。現在、50数業種が定められています。
 特別教育は、学科教育と実技教育に分かれています。例えばクレーン運転業務については、

①クレーンに関する知識
②原動機および電気に関する知識
③クレーン運転に必要な力学に関する知識
④関係法令
⑤クレーンの運転
⑥クレーン運転の合図

 つり上げ荷重が5㌧以上のクレーン運転業務に就かせる場合には、都道府県労働局長からクレーン・デリック運転士の免許を受けなければなりません。つり上げ荷重5㌧未満のクレーンは特別教育が必要になります。ただし義務ではありません。

 事業者は、安全管理者や衛生管理者など安全衛生管理体制の中心にいる労働者が新たな知識や技術を取得するための教育を行う努力義務を定めています。厚生労働省の「労働災害の防止のための業務に従事する者に対する能力向上教育に関する指針」は定期教育・随時教育の目的として「労働災害の動向、社会経済情勢、事業場における職場環境の変化等に対応した事項」としています。
 安全衛生教育は労働時間です。安全衛生教育が法定時間外に行われた時には、当然割増賃金の支払いが必要となります。また特別教育、職長教育等の講習会費や旅費についても、安全衛生法に基づいて行うものは事業者の負担となります。

ちば合同労組ニュース 第102号 2019年01月1日発行より

映画紹介『タクシー運転手~約束は海を越えて~』

映画『タクシー運転手~約束は海を越えて~』

 時々息をするのを忘れるような映画だった。自分が生きてきた同時代に隣国でこんな「事件」があったのだ。38年前の1980年5月、韓国光州市を中心に起きた民衆蜂起と軍による大量虐殺(光州事件)を描く映画。
 独裁者として君臨した朴正煕(パクチョンヒ)大統領が暗殺され、「ソウルの春」と呼ばれた民主化ムードが続く中、全斗煥(チョンドファン)がクーデターで権力を掌握。全国各地で学生らの抗議デモが始まる。光州でも大規模なデモが起きると、非常戒厳令が発令され、民衆と戒厳軍の激しい衝突となったのだ。
 妻と死別し、家賃を滞納し、一人娘の食事にも事欠く男やもめのタクシー運転手がドイツ人記者をソウルから光州まで送っていくことに。だが光州市は軍が封鎖し、電話線も遮断されて陸の孤島となっていた。そこでは鎮圧部隊として投入された空挺団が数百人の光州市民を殺害していたのだ。しかし厳しい報道管制が敷かれ、世界中の誰も知らないまま事態は進んでいた。噂で聞こえるのは「反社会勢力やスパイに扇動された暴動」という政府の宣伝だけ。
 高額の報酬を得るため光州への潜入を試みる主人公。そこで出会った学生や同業のタクシー運転手たちの命がけの抵抗に心を揺さぶられる。光州市民、主人公と記者の運命は…
 歴史的事件の映画化だけでも大きな意義だと思うが、この歴史を舞台に狂言回しの主人公の変わっていく様は映画として良くできている。名優ソンガンホの演技はさすが。ほかの映画もだが、最初は冴えないクズ男にしか見えないのが次第にヒーロー、イケメンに見えてくるのだ。
 光州蜂起は87年の民主化闘争、労働者大闘争、後の民主労総の設立につながる。

ちば合同労組ニュース 第102号 2019年01月1日発行より

図書館司書がストライキ

図書館司書がストライキ!!

非正規公務員の現実を闘いで変えよう

 東京都練馬区の区立図書館の司書らが加入する労働組合が民間委託に反対してストライキを構え、SNSで支持表明が拡大し、新聞やテレビでも大きく報じられた。
 ストライキを準備したのは「図書館専門員」と呼ばれる非常勤の司書57人で作る練馬区図書館専門員労働組合。練馬区は、12の区立図書館のうち9館をすでに民間企業に運営を委託し、さらに2館で5年以内に指定管理者制度を導入、区の運営は1館のみとする方針だ。
 今回のストの舞台となった練馬図書館は、館長を含めた職員合わせて35人のうち32人が非常勤。1年契約で事実上継続雇用となっている。20~30年以上も業務に携わる労働者もいる。実態は常勤だが非常勤を偽装しているだけなのだ。
 組合員はすべて女性で全員が非正規。組合員は、図書館専門員であり、常勤職員と変わらない蔵書や選書のチェック、ネットからレファレンスできるサービスなど、図書館業務の中枢的な業務を行っている。「指定管理者制度が導入されれば、司書として必要な現場のノウハウも蓄積されず、図書館運営の崩壊をもたらす」と危機感を募らせる。
 今回のストライキは、前夜までの労使交渉で「一定の合意に至った」として当面延期された(交渉期限は19年1月18日)。しかし区側の回答は本質的にゼロ回答であり、闘いはこれで終わらない。

加速する民間委託

 実は全国の公立図書館の数は増えている。1996年から15年の間に実に1・4倍になっている。しかし、この図書館運営の担い手の大半が非正規なのだ。職員の7割が有期雇用。非正規職員の平均賃金は205万1000円だ。指定管理者制度は03年に始まり、公立図書館の6館に1館の割合で導入されている。東京都では225の図書館のうち112が民間委託。
 あまりに非正規が増え、民間運営になっても経費は減らないと指摘される状況にさえある。とはいえ指定管理者制度(民間委託)が非正規化に拍車を掛けていることは間違いない。

時給180円も

 ツタヤが運営する公立図書館は、スターバックスが併設されてTポイントカードが使えるとか。そして新規購入書籍の半分が料理本だったとか、『旧約聖書出エジプト記』『カラマーゾフの兄弟』が旅行コーナーに置かれていたなどのニュースは知っていた。
 とはいえ不勉強なので少しネットや書籍で調べてみたのだが、公立図書館の民営委託がいかに雇用を破壊し、ワーキングプアを生み出しているのか認識の甘さを痛感した。月十数万円の手取りで働くシングルマザー司書などの記事があふれている。
 足立区では、民間委託された図書館で小学校出張読み聞かせ会などの企画を実施した館長が退職に追いやられ、盗難防止シールを貼る作業を時間外に1枚7円―時給換算で180円程度で行わせて裁判となり、いずれも使用者敗訴となった。
 「民間に委託すれば少ない費用でより充実したサービスが受けられる」はまったくのデマで、現実には受託した民間企業が利益を確保するために人件費を低く抑えているだけなのだ。
 そもそも図書館は民営化になじまない事業だ。守谷市の図書館では、館長や職員の退職が相次ぎ、指定管理者制度が撤回された。水道事業と同じく、民営化が失敗し、「再公営化」する自治体もある。

変化の可能性

 今回の図書館ストライキだけでなく、東京23区では公務員労働者への大幅賃下げへの怒りが人勧実施を止めた。
 全国の自治体で会計年度任用職員制度が導入されようとしている。今回のストライキに対して官製ワーキングプアの現実を闘って変える兆しと感じる人も多い。これまで官製ワーキングプアの問題は、労働者の悲惨な現状としか報道されてこなかった。
 しかし、これまでの公務員労働運動のあり方、イメージ、スタイルを非正規の主体的な怒りと闘いで塗り替えつつある。図書館司書たちの怒りと一つになり、千葉地域でも闘いをつくり出したい。
(組合員K)

ちば合同労組ニュース 第102号 2019年01月1日発行より

「平和教育」つぶしを許さない/改憲とめる千葉県集会へ

「平和教育」つぶしを許さない

改憲とめる12・16千葉県集会

 今年6月、千葉県立高校で沖縄戦を記述した平和学習のプリントが学校に回収されることがありました。その後、再配布は認められましたが、今度は県教委がプリントの一言一句を訂正する検閲を県全域で行おうとしています。
 15年には別の高校で安保法に反対署名を生徒名簿を使って郵送した元教員に対して、県教委が「個人情報保護法違反」だとして告訴する事件も起きています。
 自治体や学校から「現場から改憲と戦争をとめる闘いを」「労働組合を再生させよう」の声が上がり始めました。
 下記の通り12月16日に集会が開催されます。多くの方のご参加を訴えます。(案内サイト)

●平和教育つぶしを許さない/改憲と戦争への道をとめる12・16千葉県集会

◎12月16日(日)13時開始(開場12時半)
◎船橋市東部公民館講堂(JR津田沼駅北口徒歩5分)※託児もあります

講演:高嶋伸欣・琉球大学名誉教授

報告:「平和教育つぶしとの闘い」

討論:学校現場や労働組合、市民団体からの報告や討論を予定

——————————-

労働学校へご参加を

テーマ 日本労働運動史
日時 12月15日(土)13時~ 講師 山部明子(社会保障制度研究家)

 ちば合同労組は団体受講しています。次回のテーマは韓国労働運動です。

ちば合同労組ニュース 第101号 2018年12月1日発行より

来年4月 労働時間法制の改定

実践的に考える職場と労働法

来年4月の労働時間法制の改定

「働き方改革」法で労働時間規制にかなりの変化

 今年6月、働き方改革関連法が成立したが、主要な法律だけでも労働基準法や労働安全衛生法、雇用対策法など7法が一括で改定されました。その多くは2019年4月1日が施行期日となっています。まず今回は労働時間に関連する内容について把握しておきたいと思います。

月45時間が法律に

 時間外労働の上限について、月45時間、年360時間を原則とすることが法定化されました。これまでも厚生労働大臣が告示する「時間外労働の限度に関する基準」がありましたが、罰則はなく、労働基準監督署の指導が行われるだけでしたが、今後は罰則が適用されることになります。告示から法律になったということです。中小企業の実施は1年遅れとなります。
 といっても特別条項を定めれば年間6か月については、上限規制を超える残業時間が設定できます。
 ここは法案審議過程において、高度プロフェッショナル制度とセットで最大の焦点になった問題ですが、臨時的な特別な事情がある場合には月100時間、年720時間を上限(例外的限度時間)とすることが規定されました。
 例外的限度時間としては、その月を含む前2~6か月の1か月平均時間外労働が80時間を超えてはならないと法律で規定されました。この2つの例外的限度時間は法定休日の労働時間を含んだ時間であることは注意が必要です。
 また自動車運転業務・建設業務・医師などの特定の業務については5年間の実施猶予期間が設けられ、研究開発業務については例外扱いになっています。
 「月45時間、年360時間」という原則が法律上明記されたことはしっかり認識しておくべきだと思います。労働組合や職場代表は、これを超える36協定の内容にはしないことを強く主張すべきです。また特別条項についても「業務の都合上必要な場合」「業務上やむを得ない場合」など曖昧な書き方は、厚生労働省の指針ではNGとなっています。労働基準監督署の指導を要求することもできます。
 法律化されたので使用者が違反した場合、「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」の罰則が適用されます。

年休管理簿の義務

 また月60時間を超える時間外手当を5割以上とすることが、中小企業にも適用されます(2023年4月以降)。また10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日については、会社側が時季を指定して与えることが義務づけられました。
 といっても労働者が自分で指定したり、労使協定による計画的付与となれば会社指定分はその分だけ解除されます(労働者があらかじめ2日を指定すれば、会社は3日を指定する)。
 年次有給休暇については、時季・日数・基準日を労働者ごとに明らかにした書類(管理簿)の作成が厚生労働省令で義務づけられました。保存義務は3年です。
 高度プロフェッショナル制度も19年4月1日から実施されます。労働時間規制が適用除外となり、割増賃金請求もできず、過労死などの労災申請も困難となることが予想されます。

勤務間インターバル

 労働時間等設定改善法が改定され、事業主は、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の急速の確保に努めなければならないこととされました。しかし努力義務にとどまっています。これは様々な職場で本当に切実なテーマだと思います。
 法改正で清算期間の上限が3か月に延長されるフレックスタイム制についても清算期間の上限が3か月に延長されます。ただし1か月を超える清算期間を定める場合、労使協定の届出義務が発生します(1か月以内の場合は従前どおり不要)。

ちば合同労組ニュース 第101号 2018年12月1日発行より

入管法改悪 外国人労働者は共に団結する仲間だ

入管法改悪 外国人労働者は共に団結する仲間だ

 つい先日、審議入りしたばかりの外国人労働者の受け入れ拡大に向けた出入国管理法の改悪案が11月27日、衆院委員会で採決強行された。
 新しい在留資格で想定されているのは14種類、人数は最大35万人。大きく2種類の技能に分類され、介護や飲食などの12種類の「特定技能1号」と、もう一つが建設と造船の熟練した技能を持つ「特定技能2号」。
 国会審議に伴い、外国人技能実習生制度の実態が暴き出されている。最低賃金に満たない賃金の低さ、奴隷扱いの待遇、就労先も変更できない……失踪や自殺に追い込まれるケースも少なくない。公式発表でも失踪者は今年上半期で4279人。うち73%が最低賃金以下だった。
 外国人労働者をめぐっては1980年代が一つの転換で中曽根政権が「留学生10万人計画」を打ち出し、外国人留学生はアルバイトが可能となった。93年に、高度な技術を自国に持ち帰る目的の外国人が日本が働くとの名目で「技能実習制度」が創設され、外国人労働者が急速に増えた。
 小泉政権時代に日系ブラジル人労働者が急増。そして08年リーマンショックで激減。その後、首都圏ではコンビニや居酒屋で働く中国人やベトナム人、ネパール人をよく見かけるようになった。14年に安倍政権が「毎年20万人の外国人受け入れ」の検討を開始し、現在に至る。

健康保険は権利

 ところで日本の社会保険制度を都合良く使う外国人がいるとNHKなどが宣伝している。娘が日本人と結婚した海外在住の外国人女性が来日して娘の夫の扶養家族になり、日本の健康保険制度を利用して安く医療を受けた、と。また外国人労働者が80万円以上の高額な医療を受けたケースが1597件あったとし、不正に近い行為だとまで言及する記事もある。
 しかし健康保険は、日本人でも外国人でも一定の要件を満たせば誰でも強制加入で同じように保険料を負担している。生計維持+同一世帯の要件を満たせば3親等内の親族は被扶養者(配偶者・父母・子・孫は生計維持のみ)となり、被保険者である労働者と同様に医療を受けることができる。
 保険医療は当然の権利だ。そうでないなら公的医療保険を名乗る意味がないではないか。本当におかしな話だ。

 移民政策か否か、日本人労働者と競争になるとか、社会保障や医療、年金などの「社会コスト」が増大するとの排外主義的な主張が野党などからも出る危険な状況にある。
 新自由主義(グローバリズムと言っても良いが)によって世界中で労働者が10億人単位で増え、生きるために国境を超える。この中ですべての労働者は尊厳を持ち、同等の権利を持ち、何よりも同じ労働者の仲間として共に団結して労働組合で闘う。このことを基礎に考えていきたい。

ちば合同労組ニュース 第101号 2018年12月1日発行より

映画紹介『マルクス・エンゲルス』

映画紹介『マルクス・エンゲルス』

 『共産党宣言』誕生までの若きマルクスとエンゲルスの出会いと闘いを描く。
 冒頭、森林で薪拾いする農夫を窃盗として官吏が襲撃するシーンから始まる。日本昔話でもお馴染みだが、元来、森林の枯木を生活の糧とすることは住民の習慣的権利だった。当時、製鉄に木材が使われており森林所有者は政府に働きかけて木材窃盗取締法を制定し、過酷な取り締りを行ったのだ。
 ライン新聞の編集長だったマルクスは「落ちた枝は誰のものか。かつて森の恵みは民のものだった。民は窃盗という行為を続けるしかない」と厳しく告発。新聞社は官憲に包囲され、当局の怒りを恐れる青年ヘーゲル派と決裂したところで全員が逮捕されて新聞は発禁に。マルクスはパリに向かう。
 他方、資本家の息子であることに葛藤するエンゲルス、後に妻となるメアリーとの出会い。映画的には魅力的な描写だ。
 エンゲルス工場で女性工員が居眠りで機械で指を切断する事故が起き、三日三晩寝ていない状況の改善を要求したのがメアリー。その場で解雇され工場を去るメアリーを追うエンゲルス。貧民街の酒場では「おぼっちゃんの来る所じゃないよ」とぶん殴られて気絶…名著『英国における労働者階級の状態』のエピソードが語られます。
 「所有とは何か」を問うマルクス、資本家と労働者に精通するエンゲルス。2人の出会いが決定的だった。「所有とは盗みだ」と主張するプルードンやヴァイトリングとの論争も興味深い。「哲学者たちはこれまで世界を様々に解釈してきただけだ。問題は世界を変革することだ」。そして労働者階級がその変革の主体だ。完成度はともかく映画の現代的意味は大きい。

ちば合同労組ニュース 第101号 2018年12月1日発行より

1 2 3 38