西日本豪雨 自治体の「闘いなくして安全なし」

西日本豪雨 自治体の「闘いなくして安全なし」とは

 西日本豪雨で200人を大きく超える人が亡くなりました。1982年の長崎大水害以来の豪雨災害となりました。心からの哀悼とお見舞いを申し上げます。
 7月1日の国鉄集会において、偶然か、今回の豪雨で最多の犠牲者を出した倉敷市職の若い委員長が発言していました。「慢性的な人手不足で月百時間を超える残業の青年職員も多い」との訴えが印象に残っていたのですが、わずか5日後に大水害の当事者になるとはまったく思いませんでした。
 倉敷市真備町は「平成の大合併」で倉敷市に合併され、倉敷市職は真備町職を中心に組織されたとのことですが、旧真備町役場は倉敷市役所真備支所に格下げされ、職員数も半減したそうです。真備町は高齢者の割合も多く、職員削減や非正規化が住民の避難に大きな困難をもたらしたことは想像に難くありません。
 また岡山県が河川整備計画を20年間も作成せず放置していたことが明らかになっています。河原の樹木は伐採されず森林のようになり、河川の浚渫や堤防の補強などの適切な整備は無視され、巨額の利権を生み出すダム建設に議員や官僚、ゼネコンが群がる構図が多くの人命を奪う結果になったのです。
 74人が死亡した4年前の広島の豪雨土砂災害、3年前の鬼怒川決壊を思い出す。7月末の逆走台風など予想できない気象状況が生じているのは間違いないが、地方を切り捨て、災害対策に金をかけず、災害に対する抵抗力を奪っていると強く感じる。
 温暖化による気象異常やダムの問題など様々なテーマがあるが、何よりも「闘いなくして安全なし」を強く思う。自治体労働者が団結を回復し、労働運動を再生させること、民営化や非正規化と闘う中にこそ労働者と住人の生命と地域を守る道があるのではないか。直感的にもそう感じる人も多いと思っている。(S)

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テーマ 資本主義はどういう社会か

日時 8月18日(土)13時~ 講師 鎌倉孝夫(埼玉大学名誉教授)

 ちば合同労組は団体受講しています。ぜひご参加ください。次回のテーマは『資本論』。

ちば合同労組ニュース 第97号 2018年08月1日発行より

実践的に考える職場と労働法/労働組合法における「労働者」

実践的に考える職場と労働法

労働組合法における「労働者」

契約形式を超え団結権を認めせた歴史的地平

 2004年のストライキで広く知られたようにプロ野球選手会は労働組合です。プロサッカー選手会も同様です。
 何億円もの年俸を得ているプロ野球選手が労働者なの?という声もありますが、労働基準法上の「労働者」にあたるかどうかは微妙ですが、労働組合法上は労働者であると労働委員会や裁判所も認めており、プロ野球機構に対し団体交渉権を持っています。
 04年当時、経営危機に陥った近鉄がオリックスとの合併を発表し、球団数を削減す再編構想が急浮上しました。これに対し選手会は臨時大会を開き、組合員752人中賛成648票でスト権を確立します。団体交渉は決裂し、シーズン最終盤で首位が決定する局面だった8月18、19日に日本プロ野球史上初のストが決行されました。
 ちなみに米メジャーでは過去に5度の選手会によるストライキ、3度の経営側によるロックアウトがあります。

 労働組合法は、適用対象となる「労働者」について、職業の種類を問わず「賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者」と定義しています。労働基準法と比較するとかなり広い範囲で労働者を定義しています。
 まず第一に、使用者に現に使用されていることは問われません。失業者であっても労働組合には加入できます。
 第二に、報酬の面でも厳密な意味で賃金であること(労務代償性)は問われず、賃金などに準ずる収入によって生活する者であれば良いことととなっています。
 経済的に弱い立場にある労働者に団結して活動することや団体交渉を行うことを法律で積極的に認めて対等な立場での労使自治を促すことが、労働組合法の趣旨です。
 このため広い意味での経済的従属性のみを必要とし、労働基準法のように使用者の指揮命令下で労働を行っているかどうかまでは要求していないのです。

 最高裁判所の判例では、

①労働者が事業組織に組み入れられているか
②契約内容が使用者により一方的に決定されているか
③報酬が労務の対価(賃金に準ずる収入)としての性格を持つか
④業務の依頼に応じるべき関係(諾否の自由がない)
⑤指揮監督関係の存在(時間や場所が拘束される)
⑥事業者性(独立した経営判断で業務を行い、収益の管理を行っているか)

 ――基本的には①~③に該当し経済的従属性があると判断されれば、労働組合上の「労働者」に該当します。
 ①については「労働力を確保する目的で契約がなされている」「不可欠な労働力として組み入れられている」「第三者に対して自社の労働者として扱っている」などの事情があれば該当します。
 ②については、契約内容が一方的に決められ、個別に交渉する余地がない場合は該当します。業務量や時間に基づいて報酬が支払われている場合は③の労務の対価に該当します。
 業務の依頼に対して拒否権がない、不利益があるなどの事情があれば④の諾否の自由がないに該当し、業務の態様について詳細な指示があり、定期報告書なども求められる状況であれば⑤の時間や場所が拘束されるに該当します。これらの事情は労働組合法上の労働者性を肯定する方向に働きます。
 その上で、「自己の才覚で利得を得る機会がある」「他人労働力を使用する実態」「機材・材料を自己負担」などの顕著な事業者性があると、⑥の事業者性があると判断され、①~⑤に関わらず労働者性を否定されるケースもあります。

 ①~⑥を判断する上では、契約の形式ではなく就労実態をもとに判断します。
 製品設置や出張修理を個人請負化したビクターの例では、会社の朝礼に参加し、従業員行動要領を唱和し、ビクターの社名のロゴの入った作業服と名刺まで持って仕事をしていました。
 プロ演奏家でも、有名芸術家とは異なり、放送局のほぼ専属で演奏という労務の提供の対価を受けているに過ぎない場合は、支払われる契約金は生活保障給(賃金)として、労働組合法上の労働者性を認めるとの判例もあります(CBC管弦楽団労組事件など)。
 トラック持ち込み傭車運転手バイク便、コンビニエンスストらの店長(フランチャイズ契約の加盟者)などについても、広く労働組合法上の労働者性を労働委員会や裁判で認めさせています。

 「働き方改革」関連法で雇用対策法が改悪され、「非雇用型の働き方」「個人請負型の働き方」の拡大が予想されます。長い闘いの歴史でかちとった団結権(労働組合)は現状打開の大きな武器となるはずです。

ちば合同労組ニュース 第97号 2018年08月1日発行より

「生産性」の行き着く果て/無期転換制度、〝移民制度〟の導入・・

「生産性」の行き着く果て

連帯を掲げた労働組合の旗を

 安倍政権は「働き方改革」で全面的な雇用破壊を進めている。「日本から非正規という言葉をなくす」の安倍の言葉とは裏腹に非正規労働者が過去最多の2100万人に達した(総務省調査)。5年前より179万人増加し、非正規率は4割から5割へ向かって加速している。働く女性も過去最多の7割(厚生省調査)。その多くが出産離職や介護離職をしている。野田総務相でさえ「(女性活躍の)実態は人手不足の補充要員」と認めざるを得ない。

加入資格なし6割

 非正規労働者の大半は労働組合と縁がない。非正規労働者がいる事業所で「非正規に組合加入資格がある」と答える労働組合は、パートタイム(35・2%)、有期契約(37・0%)、派遣(7・4%)、嘱託(38・4%)。いずれの雇用形態でも非正規労働者には「加入資格なし」と答えている労働組合は6割以上(厚労省調査)。

無期転換権行使1/4

 いわゆる「5年ルール」も同じ状況だ。今年4月1日以降、450万人が無期転換できる状況がつくられた。しかし連合の調査によれば、無期転換権を行使した労働者は4人に1人。4分の3の労働者は、権利行使していない。
 無期転換の権利はあるが、「自分に申込権があるかないか分からない」と回答した労働者が半数近い。法は施行されてもほぼ機能していない。
 そもそも無期転換の内容を知らない労働者は68%に及ぶ。それを認知する方法がマスコミからが5割、勤務先の説明が4割。4月以降は報道もなく知る機会は少ない。
 9月末には、もう一つの「2018年問題」と言われる派遣労働者の大量解雇が狙われている。

外国人労働者の急増

 労働力人口の急減少が深刻化している。人手不足倒産も起きている。この1年間で日本の人口は約37万人減少、他方で外国人は約17万人の過去最大の増加だ。
 高齢化が進み人口減少局面に入った日本で外国人が労働力を補う構図だ。東京都では20歳代の外国人は約75万人。都の20歳代は10人に1人が外国人。日本は英国やカナダを超える「移民大国」なのだ。

〝移民制度〟の導入

 この現状に対応して安倍政権は6月15日、骨太方針で新たな移民制度を発表した。これまで建前は「外国人労働力は受け入れない」だったが、外国人労働力を受け入れる抜本的転換を発表したのだ。
 新たな在留資格や入国管理庁を創設し、外国人労働者を大々的に受け入れる。東京五輪に向けた大転換だ。
 現在、日本で働く外国人労働者は128万人。その大半が「無法地帯」に置かれる。外国人技能実習生のいる事業所で法令違反は7割に及ぶ。都内のコンビニは外国人労働者で回している。介護や農業、あらゆる業種に拡大している。今や外国人労働者の存在なくしては日本社会が回らない。労働運動の世界に巨大なインパクトを与えていることは間違いない。

 「LGBTは生産性がない」発言が猛反発をつくり出している。人間の個性や人格を「生産性」で決める――この本質は、安倍の「働き方改革」に貫かれている。この暴言は、LGBTだけではなく、結婚して子どもも産み育てる展望も失っている膨大な非正規労働者にこそ向けられているのではないだろうか。(K)

ちば合同労組ニュース 第97号 2018年08月1日発行より

働き方改革は戦後最大規模の資本攻勢だ

働き方改革は戦後最大規模の資本攻勢だ

 過労死遺族の「過労死を自己責任にする法案反対」との必死の訴えにも関わらず「働き方改革」関連法が6月29日、採決強行で成立しました。
 ところで昨年末に出た厚生労働白書を読むと、〈成長という視点から見た(労働政策を含む)社会保障〉というフレーズのオンパレードです。安倍政権の成長戦略の基軸に「働き方改革」が据えられ、少し前に「岩盤(規制)」などと非難されていた厚生労働省がいまや安倍政権の突撃部隊になっていることがよく分かります。
 簡単におさらいすると①労働時間規制を撤廃する高プロ制度や裁量労働制拡大(今回見送り)、②個人事業主やフリーランサーなど非雇用の働き方に誘導する雇用対策法の抜本的改変、③同一労働同一賃金など、戦後日本の労働政策を根本から覆す法律です。
 これは単に法律にとどまる問題ではありません。想起するのは1949年のドッジラインによる整理解雇です。GHQ財政金融顧問ドッジの指導で吉田内閣が実施した経済財政政策によって国鉄10万人首切りや東芝など民間企業の整理解雇(50万人)や中小企業の倒産(1万社以上)が起き、争議の頻発と共に下山事件や松川事件が発生し、やがてレッドパージが吹き荒れ朝鮮戦争へ向かいました。
 かつてのように大量整理解雇が直ちに焦点になっているわけではありませんが「働き方改革」「同一労働同一賃金」「AI失業時代」という形であらゆる産別・職場で大変な資本攻勢との対決が急務になっています。JR東日本では働き方改革の総本山のような攻撃が始まっています。
 他方、ストや労働組合の復権の雰囲気も出てきています。資本の攻撃と労働者の闘いは一対でもあります。労働組合復権に転換すべく運動化していきたいと思います。(B)

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テーマ 階級的労働運動について
日時 7月21日(土)13時~ 講師 片峯潤一(動労総連合書記)
 ちば合同労組は団体受講しています。ぜひご参加ください。次回のテーマは動労千葉の外注化阻止闘争。

ちば合同労組ニュース 第96号 2018年07月1日発行より

改憲阻止大行進へ討論集会を開催

〝職場から改憲反対の運動をつくろう〟

改憲阻止大行進へ討論集会

 千葉市内で6月9日、「改憲発議を許すな!6・9千葉県討論集会」を約70人で行いました。9月の「改憲・戦争阻止大行進!千葉県実行委員会」(仮称)の結成へ向けた議論を開始しました。
 この間、ちば合同労組や動労千葉、百万人署名運動千葉県連絡会や裁判員制度はいらない千葉県実行委員会、婦人民主クラブ全国協議会と〈職場から改憲反対の運動をつくるには〉〈小さくとも自分たちの手で始めよう〉と議論してきました。
 集会には、青年労働者から戦争経験者の90歳代までの幅広い層が集まり、それぞれの経験や闘いの教訓を共有できました。地域に労働組合をつくることが、市民運動も含めた地域の人々にとって大きな力になると感じました。

ちば合同労組ニュース 第96号 2018年07月1日発行より

実践的に考える職場と労働法/労働基準法における休日の規定

実践的に考える職場と労働法

労働基準法における休日の規定

休日は午前0時から午後12時まで暦日が原則

 労働基準法の規定では、使用者は労働者に毎週少なくとも1回の休日を与えなければなりません。
 労働基準法は〈1日8時間〉〈週40時間〉を法定労働時間とし、週休2日制を想定しているのですが、法律としては週休2日制を規定せず、最低基準として週1日の休日を要求するに留めています。
 労基法が定める最低限度の休日を「法定休日」と呼びます。これを超える休日は「法定外休日」と呼ばれます。所定労働時間が8時間の会社では月曜から金曜日で法定労働時間の40時間となるので、土曜が法定外休日、日曜が法定休日となるのが一般的です。
 ちなみに休日労働には、時間外労働という考えはなく、休日労働が深夜に及ばない限り何時間労働しても休日労働としての割増賃金(3割5分以上)を支払えばよいとされています。休日労働が8時間を超えても割増率6割にはなりません。深夜の場合は、6割以上になります。

「休日」とは

 「休日」とは、労働契約上、労働者が労働義務を負わない日をいいます。あらかじめ労働義務が存在しないものとされている点で単なる休業日とは異なります。
 また休日は、単なる継続24時間ではダメで、午前0時から午後12時までの暦日が原則です。ごく例外的に、交替制勤務者については,番方編成による交代制など一定の場合(勤務割表などでその都度設定されるものはNG)や、旅館業や自動車運転者に一定の特例が認められています。
 休日を与える単位となる「週」は、必ずしも日曜から土曜の暦週に限られず継続した7日間であれば良いので、就業規則などでどの曜日が週の起点となるかを定める必要があります。特に規定がない場合には日曜が起点となります。ちなみに週1回の休日を与えていれば、その曜日は問われず、日曜でなくとも法律上は問題ありません。
 「変形休日制」は、4週間を通じ4日以上の休日を与える場合には、週休1日の原則が適用除外されています。変形労働時間制と併用して残業代を減らすためにけっこう悪用されています。
 変形休日制を実施するためには、変形制の単位期間の起点を就業規則等に記載することが必要です。法律上は、4週28日の最初の4日間に休日を入れて24日連続で働かせることも可能です。もちろん法定労働時間を超えるので別の問題は生じます。

休日の振替

 休日の振替は、他の労働日(振替先)を休日(振替休日)とする一方、従来は休日であった日に労働者を労働させることをいいます。
 休日を振り替えた後の状態が週休1日の原則(変形週休制をとる場合は4週あたり4日)を満たせば、振り替えた休日の労働は、通常の労働日となり、割増賃金の支払が不要となります。とはいえ振り替えた結果、週の法定労働時間を超える場合には時間外割増賃金の支払が必要です。具体的には週をまたいで休日を振り替えると40時間オーバーで2割5分以上の割増賃金が発生することになります。
 振替先の労働日は、労働契約上あらかじめ労働義務がないものと定められた日として、休日になります。
 「使用者は労働者の個別的同意を得ずに休日振替を命じうるか」という問題がありますが、裁判例では、使用者が休日を他の労働日に振り替えることができる旨を定めた規定が存在し、振替先の労働日をあらかじめ特定すれば、使用者は労働者の個別的同意を得ずに休日振替を命じることができるとされています。
 あらかじめ振替先を指定しないで休日に労働させ、後にこれに代わる休日(代休)を与える場合は、休日の変更がなされていないので休日労働のままであり、3割5分以上の休日割増賃金が必要となります。この場合には、代休日を与えることは法律上必ずしも要求されません。

年間休日数

 年間休日数の平均は120日。土日祝日に盆・年末年始を加えるとこの数字になります。平均で月10日の休みです。1日8時間・週40時間の法定労働時間めいっぱいで働くと年間休日数は105日となります。夏休みや正月休み、祝日がないパターンです。
 統計では、自動車などの大手製造業は年間休日が多く(約130日)、外食・小売・サービス業は、土日やGW、年末年始など通常の人が休みである期間に営業するので休日が少なく、労働時間も長くなっています。
 休日手当の額
 休日に出勤した場合、会社は基本給とは別に割増賃金を支払う義務があります。1時間あたりの賃金が千円として休日に8時間働けば千円×1・35×8=1万800円。つまり時給単価×1・35×休日労働時間数で休日労働の賃金額が算定できます。

ちば合同労組ニュース 第96号 2018年07月1日発行より

労働者の命奪う働き方法案を阻止しよう

労働者の命奪う働き方法案を阻止しよう

 「働き方改革」関連法案をめぐる国会攻防が緊迫しています。5月31日に衆院本会議で採決する見込みと報道されています。同法案とカジノ法案の成立を図るため6月20日までの会期を2週間から1か月の範囲で延長する動きも出ています。少なくない人びとが必死に訴えて闘う中で少しずつ情勢が動き始めています。
 過労死遺族でつくる全国過労死を考える家族の会が5月中旬に安倍首相に面会を申し入れましたが安倍は拒絶。5月22日から首相官邸前で座り込みを始めました。
 家族の会代表の寺西さんの夫は飲食店の店長でした。夫が過労自殺した際、会社は「店長には裁量がある。勝手に働いて勝手に死んだ」と言い放ったそうです。裁量労働制の大幅拡大で、過労死が増えるだけでなく、過労死が自己責任になると危機感を訴え続けています。
 首相官邸前での「人の命を奪う法案を採択すべきではない」の訴えには、連合の神津会長も陣中見舞いに来ざるを得なくなり、連合は全国一斉行動を実施。千葉でもやっているのを目撃しました。
 連合は昨夏、UAゼンセン出身の逢見事務局長(当時)が首相官邸に足繁く通い、高度プロフェッショナル制度を容認する動きが暴露され、連合本部が抗議デモに包囲される大騒動になりました。
 自己保身的とはいえ、連合幹部らが反対のポーズを取らざるをえないほど現場・下部の組合員の危機感と怒りは噴火寸前のマグマのようになっているのです。
 高プロ制度は、第1次安倍政権の時代から何度も断念に追い込まれ、安倍にとって10年越しの悲願です。労働法制の改悪・解体は、けっして権力万能で進行するわけではなく、ギリギリの均衡状態の中での採択強行なのです。微力であっても本気で反対し、本気で行動することが状況を転換すると思います。
 東京駅自販機の順法闘争・ストの報道が象徴的ですが、労働組合の存在が少しずつ人びとの認識の俎上に上りつつある感じもします。労働者の団結と労働運動の再生を展望し、法案阻止へ6月がんばりましょう。
(S)

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テーマ 労働法制改悪との闘い

日時 5月19日(土)13時~  講師 山本志都(労働弁護士)
ちば合同労組は団体受講しています。ぜひご参加ください。次回のテーマは働き方改革関連法案です。

ちば合同労組ニュース 第95号 2017年06月1日発行より

実践的に考える職場と労働法 危険・健康障害防止の措置

実践的に考える職場と労働法

労働者の危険・健康障害防止の措置

事業主には労働者を退避させる義務がある

 労働安全衛生法は、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする法律です。
 戦争犠牲者の規模に匹敵すると言ってもよい労働災害の犠牲者と、長い労働者の闘いでつくられた法律です。労働者の血で書かれた法律です。闘いの武器として活用することは有意義だと思います。
 労働安全衛生法は、
◎安全衛生管理体制
◎労働者を危険や健康障害から守るための措置
◎機械や危険物・有害物に関する規制
◎安全衛生教育
◎労働者の健康を保持増進するための措置
 ――などについて定め、職場の安全衛生に関する網羅的な法規制を行っています。
 今回は、労働安全衛生法第4章「労働者の危険または健康障害を防止するための措置」を中心にみていきます。

労災防止の責任

 労働災害を防止する第一義的責任は、労働者を使用する事業主にあることは言うまでもありません。労災防止のための基準や規則を定めても事業主に守る気がなければほとんど実効性はありません。
 その意味では、労働者の安全衛生を確保するために必要な措置を事業主に義務づける第4章は、労働安全衛生法で最も重要な部分と言えます。
 会社に労災防止の措置を確実に行わせるためにもこの部分はしっかり覚えておいて損はないと思います。
 労働安全衛生法が定める事業主の講ずべき措置の具体的内容は、技術的細部にわたることも多く、その大部分は厚生労働省令に規定され(2100か条以上)、その内容を理解することは簡単ではありません。

事業主の義務

 20~22条は、事業主に対して次の危険や健康の防止措置を義務づけています。

(1) 機械・器具・設備による危険、爆発性の物・発火性の物・引火性の物などによる危険、電気・熱・引火性の物などによる危険

(2) 掘削・採石・荷役・伐採などの業務の危険、墜落や土砂崩落のおそれのある場所の危険

(3) 原材料・ガス・蒸気・粉じん・酸素欠乏・病原体などによる健康障害、放射線・高温・低温・超音波・騒音・振動・異常気圧などによる健康障害、計器監視・精密工作などの作業による健康障害、排気・廃液・残滓物による健康障害

 (1)は、プレス事故、足場崩落事故、塗料の爆発、配電盤接触による感電など。(2)は、トンネル掘削中の土砂崩壊、採石作業中の落石など。(3)は、電池製造時の鉛中毒、有機溶剤作業の蒸気吸引、マンホール内作業の酸欠、チェンソー作業による振動障害、計器監視による視力障害などがその具体例となります。
 こうした労働災害を防止する措置を講ずることを義務づけているわけです。
 また23条では、就業場所の通路・床面・階段の保全、採光・照明・保温・防湿、休養、避難・清潔に必要な措置など労働者の健康保持のための措置を義務づけています。
 具体例としては、山積みされた荷の上での作業、油で汚れたタイル上での作業などでの労災事故を防止するための措置規定です。
 24条は、労働者の作業行動から生ずる労働災害を防止するため必要な措置を義務づけています。具体例は、同じ姿勢による腰痛や急な動作の反動による脱臼などです。

危険急迫の退避

 今ひとつ、重要な規定として25条は、労働災害発生の急迫した危険があるときは、事業主は、直ちに作業を中止し、労働者を作業場から退避させるなどの必要な措置を講じることを規定しています。
 25条は、20~24条と比較すると生々しい規定です。もともと国会に法案が提出された際、25条はありませんでした。しかし「労働者の退避権」が議論になり、最終的に「事業者の退避させる義務」として新たに25条が設けられることになったそうです。
 重要な規定なので繰り返しますが、労働災害が発生する急迫した危険があるときは、事業主は、直ちに作業を中止し、労働者を作業場から退避させる義務があります。当然と言えば当然の規定ですが、労働者の生命と健康を守るためにも、この規定(条文)だけは覚えておいて欲しい。
 その後、25条の2に「救護に伴う労働災害の防止の措置」が追加され、建設業などで爆発や火災などが生じた場合、労働者の救護に際しての労災発生を防止するために、救護に必要な機械などの備え付け、管理が義務づけられました。
 また労働契約法第5条は、「使用者は労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする(安全配慮義務)」を定めています。損害賠償責任も負います。
ちば合同労組ニュース 第95号 2017年06月1日発行より

「会計年度任用職員制度」反対の声を

職場からの報告

「会計年度任用職員制度」反対の声を

 現在、地方自治体で任用(雇用)されている臨時職員や非常勤特別職員の多くは2020年度から新制度の「会計年度任用職員」に移行することが決まっています。
 ですが、その中身はほとんど知られていません。私が先日、参加した学習会で教えてもらった中身をいくつか紹介します。
 それは、長年にわたる非正規公務員の闘いによってかちとってきた権利や労働条件を破壊し、全面的に公務員の非正規化を推し進めるものです。早急に研究や分析を進め、認識を深めて闘いの指針を打ち立てていくことが必要だと思います。
1「フルタイム制度」と「パートタイム制度」で、給与体系と手当に差をつける。双方とも賃金は「報酬」扱いにして、いわゆる生活給の要素をなくす。期末手当も一部支給可能としている。
21日あたりの勤務時間が5分でも短い場合は「パートタイム型」の適用になる。
31年毎に再採用するという考え方になるので、毎年試用期間が設けられる。この期間中は雇いどめされる可能性が高くなるし、何年たっても時給はあがらないかもしれないし、その「権利」さえなくなってしまう。
4新制度に移管することによって犬猫飼育の指導員や学校保育専門支援員などの「非常勤特別職」が現在は持っているスト権や団体交渉権などが失われ、労働協約や毎年の継続雇用の「期待権」もなくなってしまう。
 ……こうしてみると、新制度は「待遇改善」どころか毎年の非正規職員の雇いどめが大量に行われる可能性が出てきています。民営化・民間委託化と一体で進めば、正規職員はごく一部の幹部とその候補だけになってしまいます。
 現在でも支給させている交通費や夏期・冬期の一時金などの手当の支給や、労働条件について、これを低下させない取り組みが必要です。わからないことや現場の状況について組合までお知らせください。(T分会)

ちば合同労組ニュース 第95号 2017年06月1日発行より

実践的に考える職場と労働法 意外に知らない労働・社会保険

実践的に考える職場と労働法

意外に知らない労働・社会保険

1日限りの雇用でも労災保険は給付されます

 わりとよく聞かれるテーマなので労働保険・社会保険の加入についてまとめてみます。労働保険は労災保険と雇用保険、社会保険は厚生年金と医療保険(健康保険)、介護保険を指します。5つをまとめて「広義の社会保険」と呼ぶこともあります。
 労働保険の適用は、事業所単位で正社員、パート・アルバイトを問わず労働者を一人でも雇用していれば業種・規模を問わず適用事業となり、事業主は加入手続きを行い、労働保険料を支払わなければなりません。NPOや個人事業主も加入義務があります。例外は、別の制度がある公務員や、小規模な個人事業主の農林水産業(暫定任意適用)だけです。

労災保険

 一人でも雇用すれば加入義務がありますが、実際には中小企業を中心に未手続きの事業所は相当あります。労災申請をしようとしたら未加入のケースはありえます。もちろん労働者に過失はないので労働者は保険給付を受けることができます。その場合、事業主は保険料や追徴金、給付費用の徴収を受けます。罰則もあります。
 労災保険料は全額を事業主が負担します。労災事故の発生率などで保険料率が決まるので金属・石炭鉱業と新聞・金融業では35倍以上の差があります。労災事故が生じると保険料が上がり、事故がないと下がる仕組みなのでしばしば労災隠しが発生します。
 保険料は年度ごとに会社が払った賃金総額に保険料率を掛けて事後精算する仕組みなので、きちんと契約書を交わさないような1日だけの雇用でも手続き上は問題なく労災事故になれば保険給付は行われます。たとえ不法就労者でも保険給付は行われます。中小事業主や一人親方には特別加入制度もあります。

雇用保険

 雇用保険は、従業員5人以下の個人経営の農林水産業などが任意適用となりますが原則として労働者を雇用する事業所はすべて対象となります。
 適用事業所で働く労働者で、一般被保険者の対象となるのは、週20時間以上で1か月以上働く見込みがある労働者です。アルバイト・パートでも週20時間を超えれば雇用保険に加入できます。
 ただし学生や別の制度がある公務員は適用除外となります。雇用保険では、一般被保険者のほかに、65歳以上の高年齢被保険者、季節労働者などの短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者などがあります。
 雇用保険料は労使折半で、労働者の負担分は賃金の0・3%(農林水産・建設は0・4%)です。事業主は同額+αを支払います。65歳以上の保険料は現在免除(保険給付は行われる)。日雇被保険者は一般保険料+印紙保険料を負担します。
 雇用保険財政は現在、空前の黒字で積立金は6兆円余。実は01年頃は破綻寸前でした。小泉政権は支給率や支給日数を大幅カットし、さらには自己都合退職者の受給資格を退職前半年勤務から1年に延長しました。これで資格取得のハードルが一気にアップ。1970年代半ばに5割を超えた雇用保険の受給率は2割を割り込みました。
 こうしてリーマンショックで大量失業が生じても雇用財政はまったく揺らがず今や積立金が6兆4000億円を超えるに至ったのです。

厚年・健保

 厚生年金と健康保険の適用事業は、すべての法人、国・地方公共団体、5人以上を雇用する個人事業主が該当します。農林水産など第1次産業、理容・飲食・旅館などの接客業など一部業種は5人以上でも適用除外となります。
 70歳未満の労働者は原則として強制加入です。日雇労働者や季節労働者、臨時の事業所で働く人は適用除外となります。
 短時間労働者は、通常労働者の4分の3以上の日数・時間で働く人は適用されます。さらに、501人以上の事業所では、20時間以上+賃金8万8000円以上の労働者も適用となります。
 いわゆる「130万円の壁」とは、年収がこの額を超過すると配偶者の扶養からはずれることです。職場の健康保険と厚生年金に加入できない場合は、国民健康保険や国民年金(16340円)の保険料の支払いが必要になることを指します。また年収103万円を超えると配偶者の扶養控除がなくなり、住民税・所得税が増えます。
 保険料は労使折半で、健康保険料の労働者負担分は賃金の約5%、厚生年金は9%強です。40~65歳の介護保険料は健康保険料と一緒に徴収され、労働者負担分は1%弱です。
 保険料は原則として労使折半で賃金から天引きとなります。労働保険・社会保険料が約15%天引きされ、さらに住民税と所得税も加えると手取りは額面賃金の75~80%になるはずです。(S)

ちば合同労組ニュース 第94号 2018年05月1日発行より

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