労働映画

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映画紹介『みとりし』

映画紹介『みとりし』 日本看取り士会の会長・柴田久美子の著書『私は、看取り士。わがままな最期を支えます。』を原案とする2019年公開の映画。主演は榎木孝明。 看取りは「亡くなるまでの間の介護を行い、最後を看取ること」。看取り士の役割として「患者にとって住み慣れた我が家、あるいは患者本人が希望する形に添って温かい死を迎えられるように、患者の親族をサポートしながら心に寄り添いつつ見届けること」とされて...
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映画紹介『三池 終わらない炭鉱の物語』

映画紹介『三池 終わらない炭鉱の物語』  1997年に閉山となった三池炭鉱。約150年の歴史に迫るドキュメンタリー映画。百人近い証言と約30の炭鉱関連施設の撮影など7年がかりで撮影した映画。 三池炭鉱は、福岡県大牟田市を中心に約20の坑口を持ち、坑道は有明海の下を迷路のように伸びる。その深さは海面下600㍍に及ぶ。トンネルの先端まで坑内電車を乗り継ぎ1時間かかる。全国の石炭の4分の1を生産していた...
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映画紹介『自転車泥棒』

映画紹介『自転車泥棒』  先月号に続き第2次大戦後のイタリアで作られたネオレアリズモ映画。ヴィットリオ・デ・シーカ監督の名作だ。 職業安定所で市役所のポスター広告貼りの仕事を獲得したアントニオ。仕事には自転車が必要と言われる。だが失業中で自転車は質屋に。妻のマリアがベッドシーツを引き剝がして質に入れ、その金で自転車を取り戻す。意気揚々と出勤するが無情にも自転車を盗まれる。警察には「自分で探せ」と相...
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映画紹介「越境者」

映画紹介『越境者』 『鉄道員』で有名なピエトロ・ジェルミ監督の1950年の映画。イタリア社会の底辺に生きる庶民を主人公にしたネオレアリズモ(新現実主義)作品の1つ。 映画が描くのはシチリア島の炭坑労働者と家族の一群。島は産業発展から取り残され、労働者や小作人は貧困に苦しむ。米移民も多くマフィア発祥の地となった。映画は閉鎖になる硫黄鉱山での籠城シーンから始まる。闘いは敗北に終わり、労働者たちは失業す...
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映画紹介『Winny』

映画紹介『Winny』 天才プログラマー・金子勇が開発したファイル共有ソフト「Winny」をめぐる冤罪事件を描く。 金子は02年、簡単にファイルを共有できる革新的なソフトを開発し、試用版を「2ちゃんねる」で公開した。金子が導入したP2P技術は仮想通貨の基幹技術であるブロックチェーンの先駆けとなった技術で、Winnyはファイルを細かく分散して暗号化し匿名性が極めて高いデータのやりとりを実用レベルで実...
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映画紹介『私はあなたのニグロではない』

映画紹介『私はあなたのニグロではない』 公民権運動家として著名な作家ジェイムズ・ボールドウィンの未完成原稿を基にしたドキュメンタリー映画(2016年)。メドガー・エバース、マルコムX、キング牧師の回想などを通し米国の人種差別の歴史とその闘いが描かれる。 パリで執筆活動をしていたボールドウィンは米国へ戻ることを決心する。15歳の黒人女性ドロシー・カウントの写真を目にしたからだ。生徒全員が白人の高校に...
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映画紹介『生きるLIVING』

映画紹介『生きるLIVING』 22年のイギリス映画。1952年の黒澤明『生きる』のリメイク作品。ノーベル文学賞作家のカズオ・イシグロが脚本を担当した。市役所で働く公務員のロドニーが余命半年を宣告され、自分自身の人生を見つめ直す姿を描く。 リメイク構想はイシグロの提案で、主演のビル・ナイにあてがきして脚本が書かれた。イシグロは「英国紳士というステレオタイプな人物を演じながら、イギリス人だけでなく、...
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映画紹介『大河への道』

22年5月公開の映画で主演は中井貴一(企画も兼任)。立川志の輔の創作落語『伊能忠敬物語―大河への道』が原作。立川が伊能忠敬記念館(千葉県香取市佐原)を訪れ忠敬が作成した日本地図を見た感動を落語にしたもの。 伊能忠敬は九十九里で生まれ、佐原で酒造業や金融業、運送業を営む伊能家の婿養子となり10代目当主になった人物。49歳で息子に家督を譲り、江戸に移り住んで天文学を学び測量の道に。5年後に測量事業を始...
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映画紹介『1秒先の彼女』

2020年公開の台湾映画。郵便局で働くシャオチーは何をしてもワンテンポ(1秒)早い。写真撮影では必ず目を瞑り、時計が鳴るより早く目覚める。他方、バスの運転手のグアタイは何をしてもワンテンポ遅い。 出会いのない毎日に退屈していた彼女は公園でイケメンのダンス講師ウェンセンに声をかけられ、バレンタインデーにデートの約束。当日、珍しく寝坊した彼女は大急ぎで家を出て待ち合わせのイベント会場に向かう。ところが...
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映画紹介『PLAN75』

映画紹介『PLAN75』 近未来の日本が舞台。倍賞千恵子が主演。超高齢化問題の解決策として、75歳以上の高齢者に安楽死の選択肢を与える制度「プラン75」が国会で可決・施行された…という設定。並のホラー映画より怖い話だった。 夫と死別し一人暮らしの角谷ミチ(倍賞)は78歳。ホテルの客室清掃の仕事をしているが、同僚が仕事中に倒れ、ホテルは「高齢者を働かせるのはひどい」との非難を恐れて、高齢労働者を全員...
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映画紹介『マッチ工場の少女』

映画紹介『マッチ工場の少女』 今月もフィンランドのアキ・カウリスマキ監督。本作は労働3部作の3作目。 イリスは母と継父と暮らす独身女性。両親は働かず収入はイリスが働くマッチ工場のわずかな収入だけ。しかも食事の世話も彼女が。絵に描いたように味気なく不幸な毎日。 給料日の帰り道、彼女は陳列窓に飾られたドレスを衝動買いする。両親になじられ返品を命じられるが、そのままドレスを着てディスコに行き、一流企業に...
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映画紹介『パラダイスの夕暮れ』

映画紹介『パラダイスの夕暮れ』 フィンランドのアキ・カウリスマキ監督の「労働者三部作(プロレタリアート・トリロジー)」の一つ。社会の片隅に生きる労働者・庶民こそ映画の主人公であるとの姿勢を貫く。監督がまだ20代の頃の1986年の映画。 主人公ニカンデルは首都ヘルシンキで働くゴミ収集車の運転手。ボルボ製の頑丈そうな清掃車に乗務しゴミを収集する様子が丹念に描き出される。セリフは極端に少なく素っ気ない。...
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『ここから』上映会 盛況に/関西生コン労組を支援する千葉の会

関西生コン労組を支援する千葉の会『ここから』上映会 盛況に 千葉市生涯学習センターで9月17日、「許すな弾圧!関西生コン労組を支援する千葉の会」が映画『ここから「関西生コン事件」と私たち」上映会を開催しました。ちば合同労組は準備段階から積極的に関わりました。 21年秋の映画『棘2』の上映会の後、支援運動を継続するために千葉の会が発足し、月1回の会合・学習会を継続してきました。 今回の上映会には新聞...
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映画紹介『ここから「関西生コン事件」と私たち』

映画紹介『ここから「関西生コン事件」と私たち』 関西生コン労組に対する未曽有の組合つぶし攻撃の渦中にある組合員たちの姿を描くドキュメンタリー映画。土屋トカチ監督。シングルマザーで子育てしながら生コン運転手になった松尾聖子さん、子どもを保育園に通わせるために就労証明書を会社に要求したことが強要未遂罪に問われ逮捕・勾留された吉田修さんら現場組合員、640日もの長期勾留された湯川委員長などが登場する。 ...
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映画紹介『電気工事士 Electrician』

映画紹介『電気工事士 Electrician』 2020年の英映画。素人の俳優を使い低予算で5年かけて撮影された。ロンドンの倉庫会社や建設現場で働く電気工事士マークの孤独な日常を描く。 毎朝起きて出勤し、黙々と仕事をこなし、粗末な食事をとって帰宅して寝る姿が淡々と描かれる。彼は徹底的に無口、同僚に飲みに誘われても交わらない。対照的に同僚たちの下らない会話がやたら多い。本当に下衆な内容で、マークの悪...
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映画紹介『彼女たちの革命前夜』

映画紹介『彼女たちの革命前夜』 2019年の英国映画。半世紀前の1970年のミス・ワールド世界大会の会場で女性解放を訴えるために抗議行動を行った女性たちを描く。 離婚し、娘や母親と暮らすサリーは、再び学問の道を志しロンドン大学の入学試験の面接に。面接官は男性ばかりで権威主義。入学後、ゼミでは発言を遮られ、女性労働者の視点で論文を書きたいと言うと「普遍性が必要だ」と変更を求める教授。そんな中で女性解...