連載・職場と労働法 春闘の歴史と経団連経労委報告 実践的に考える職場と労働法春闘の歴史と経団連経労委報告国鉄・私鉄で全国規模のスト闘った時期も 経団連は1月21日、「25年版経営労働政策特別委員会報告」を発表した。報告は、経団連が毎年1月、春闘を前に作成し、各企業が労働組合と交渉する際の参考資料として出す財界の「春闘方針」だ。春闘のはじまり「春闘」は、大半が企業別に組織されている日本の労働組合が新年度となる4月に向けて、産別・労組を超えて一斉に賃... 2025.03.05 連載・職場と労働法
連載・職場と労働法 若者の雇用についての考察 実践的に考える職場と労働法若者の雇用についての考察高卒就職者は90年61万人→23年14万人に 1990年代頃から若年労働市場は変容している。とはいえ新規学卒者の一括採用を特徴とする「日本型」雇用がなくなったわけではない。 少子化で新規学卒者は減少し、大学や専門学校進学率は増加。高卒就職は大きく減少した。また若者の早期離職傾向は高止まり、新規大卒者の3割が3年以内に離職する。 日本型雇用は一般的に... 2025.02.13 連載・職場と労働法
連載・職場と労働法 最近の日常的かつ過剰な学生バイト事情 実践的に考える職場と労働法最近の日常的かつ過剰な学生バイト事情奨学金(将来の負債)回避で学業を犠牲にバイト 最近、ブラックバイトや闇バイトなど学生アルバイトをめぐるトラブルが社会問題化し、また「103万円の壁」なども話題に上る。 学生バイトの「103万円の壁」は、19~22歳の学生を扶養する親の税金を計算する際に収入から一定額を差し引く扶養控除、本人の所得税の発生額を指す。 新たに「特定親族特別控... 2025.01.23 連載・職場と労働法
連載・職場と労働法 日本の労働組合の組織率の現状 実践的に考える職場と労働法日本の労働組合の組織率の現状 自治労と日教組で組合員数が大幅に減少数十年の低下傾向 今回は日本の労働組合の現状についてデータなどを少し見たい。今年6月に連合総研が発行した報告書『労働組合の未来を作る』を参考にしました。『労働組合の未来を作る』 日本の労働組合の組織率はこの数十年低下傾向が続く。これは世界的な傾向だ。 過去40年の組織率の推移を見る... 2024.12.19 連載・職場と労働法
連載・職場と労働法 自民総裁選で解雇規制の見直しが急浮上 整理解雇4要件撤廃し企業の解雇自由を狙う 実践的に考える職場と労働法整理解雇4要件撤廃し企業の解雇自由を狙う9月、経団連と小泉進次郎の会談で焦点化 9月の自民党総裁選で解雇規制・労働時間規制の緩和が争点として急浮上した。 小泉進次郎は「聖域なき規制改革を断行する。賃上げ、人手不足、正規・非正規格差を同時に解決するため、労働市場改革の本丸である解雇規制を見直す」と訴え、河野太郎も公約の柱に労働市場改革を上げ、解雇の金銭解決のルール整備(金銭... 2024.11.02 連載・職場と労働法
連載・職場と労働法 有期契約労働者の無期転換の仕組み 5年を超えたら無期雇用転換の申込権が発生 実践的に考える職場と労働法5年を超えたら無期雇用転換の申込権が発生有期契約労働者の無期転換の仕組み 「無期転換」制度は、有期雇用契約が5年を超えて更新された場合に、労働者側からの申し込みで期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換される仕組みです。 契約期間が1年の場合、5回目更新後の1年間に、契約期間が3年の場合は1回目更新後の3年間に無期転換の申込権が発生します。労働から無期転換の申し込み... 2024.10.19 連載・職場と労働法
連載・職場と労働法 利用拡大のスキマバイトアプリ 日雇い派遣の新たな手口 実践的に考える職場と労働法アプリによる管理で日雇い派遣の新たな手口利用拡大のスキマバイトアプリ スマホアプリで仕事を探せて履歴書も面接も不要、今日明日の数時間だけも可能――そんな働き方が急速に拡大している。隙間時間を活用するアルバイトとの意味で「スキマバイト」と呼ばれている。CMもよく見かける。「好きな時に好きなだけ働ける」と宣伝されている。 アプリに表示された求人一覧には、例えば明日夕方からの... 2024.09.13 連載・職場と労働法
連載・職場と労働法 労基法×労働組合モデル解体の動き 実践的に考える職場と労働法新たな労働運動を展望する立場から問題みる労基法×労働組合モデル解体の動き 厚生労働省「労働基準関係法制研究会」が急ピッチで進む。経団連も今年1月に「労使自治を軸とした労働法制に関する提言」を発表した。労働政策審議会に進むのは時間の問題です。労政審答申から法案化まで一気に進みかねないスピード感です。 少し複雑な構造ですが因数分解すると、労働基準法の適用除外を一気に拡大させ... 2024.08.19 連載・職場と労働法
連載・職場と労働法 企業組織再編と倒産・再建の諸問題 実践的に考える職場と労働法企業組織再編と倒産・再建の諸問題 近年、会社分割や合併、事業譲渡や株式譲渡などの手法を使った企業再編が活発だ。また物価高、人手不足などで企業倒産も増加傾向にある。整理解雇や労働条件の切り下げ、労使関係にも大きな影響がある問題です。 今回は、倒産や企業組織の再編をめぐる諸問題について少し考えたい。 企業倒産の手続きには、裁判所が関与する「法的整理」と、裁判以外で進められる「... 2024.07.13 連載・職場と労働法
連載・職場と労働法 化学物質の新たな管理規制体制 実践的に考える職場と労働法化学物質を原因とする労災事故が高止まり継続化学物質の新たな管理規制体制 化学物質の管理について、昨年4月から新たな規制が始まり、今年4月からは「化学物質管理者」の選任が義務付けられることになった。 化学製品は最終製品の原材料となる中間材・半製品として供給される場面が多いが、私たちの日常生活は化学製品なしでは成り立たない。 アパレルの原料である合成繊維、カップ麺の容器や化粧... 2024.06.19 連載・職場と労働法
その他 40年ぶり労働基準法大改定の動き 実践的に考える職場と労働法40年ぶり労働基準法大改定の動き経団連・厚労省が連動し研究会で急ピッチの議論 厚生労働省が「労働基準関係法制研究会」を設置し、計10人のメンバーで今年4月からスタートした。すでに6回開催された。 結論的に言って、労働基準法の歴史的な大転換、大改悪、あるいは解体という重大な事態が迫っている。新聞でも「40年に1度の大改正」(厚生労働省幹部の発言)と報じられている。 研究会で... 2024.05.07 その他連載・職場と労働法
医療・介護 医師の「働き方改革」のインチキ 実践的に考える職場と労働法医師の「働き方改革」のインチキ宿日直の偽装で労働時間リセットし連続勤務4月から医師の「働き方改革」が始まる。 一般業種は、19年から残業時間の法的な上限規制が設けられ、年間720時間以内、1か月単位で最長100時間、複数月に渡る場合は月平均80時間が上限となった。だが医師や運輸業、建設業は5年の猶予期間が設けられた。 今後、医師や運輸業は原則として年960時間(月平均80... 2024.03.20 医療・介護連載・職場と労働法
その他 経団連が労基法の規制緩和を要求 実践的に考える職場と労働法経団連が労基法の規制緩和を要求「労使自治を軸とした労働法制に関する提言」 日本経済団体連合会(経団連)が1月16日付で「労使自治を軸とした労働法制に関する提言」を公表した。同日には、経営団体側の〝春闘方針〟とも言うべき経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)も公表されている。労基法の適用緩和 提言は「働き方のニーズの多様化や企業を取り巻く環境変化などを踏まえ、時代に合った... 2024.02.03 その他連載・職場と労働法
制度・政策 社会保障制度の歴史を考える 実践的に考える職場と労働法社会保障制度の歴史を考える29年世界恐慌と第2次世界大戦を経て制度化 2回に分けて社会保障の歴史について考えてみたい。現在のような社会保障制度の仕組みができたのは、私たちが思うより歴史が浅い。 近代的な社会保障制度はヨーロッパで始まった。まず最初に資本主義が始まったイギリスで労働者の貧困問題が社会問題化して「救貧法」が作られた。 これは都市のスラム街に集まった浮浪者のうち... 2023.11.30 制度・政策連載・職場と労働法
連載・職場と労働法 実践的に考える職場と労働法/いわゆる「年収の壁」問題 実践的に考える職場と労働法 いわゆる「年収の壁」問題「106万円」「130万円」で半数が就業調整 いわゆる「年収の壁」が人手不足への対応として話題となっている。 物価高騰が続き、賃上げが喫緊の課題となっている。まったく不十分だが最低賃金も引き上げられた。ところが時給がアップしても「年収の壁」を超えないように労働時間を調整(減らす)労働者は少なくない。 厚生労働省の2021年の調査では、配偶者がいる... 2023.11.09 連載・職場と労働法
制度・政策 実践的に考える職場と労働法/いわゆるシフト制労働者について 実践的に考える職場と労働法いわゆるシフト制労働者について契約を結ぶ時、労働条件の確認は特に注意を 新型コロナに起因する休業問題などで大きな影響を受けたのがサービス業で働く「シフト制労働者」が焦点となった。厚生労働省が作成した「いわゆるシフト制により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」を使って考えたい。 「シフト制」は、労働契約の締結時点では労働日や労働時間を確定的に定めず一定期間(... 2023.08.02 制度・政策連載・職場と労働法