西日本豪雨 自治体の「闘いなくして安全なし」

西日本豪雨 自治体の「闘いなくして安全なし」とは

 西日本豪雨で200人を大きく超える人が亡くなりました。1982年の長崎大水害以来の豪雨災害となりました。心からの哀悼とお見舞いを申し上げます。
 7月1日の国鉄集会において、偶然か、今回の豪雨で最多の犠牲者を出した倉敷市職の若い委員長が発言していました。「慢性的な人手不足で月百時間を超える残業の青年職員も多い」との訴えが印象に残っていたのですが、わずか5日後に大水害の当事者になるとはまったく思いませんでした。
 倉敷市真備町は「平成の大合併」で倉敷市に合併され、倉敷市職は真備町職を中心に組織されたとのことですが、旧真備町役場は倉敷市役所真備支所に格下げされ、職員数も半減したそうです。真備町は高齢者の割合も多く、職員削減や非正規化が住民の避難に大きな困難をもたらしたことは想像に難くありません。
 また岡山県が河川整備計画を20年間も作成せず放置していたことが明らかになっています。河原の樹木は伐採されず森林のようになり、河川の浚渫や堤防の補強などの適切な整備は無視され、巨額の利権を生み出すダム建設に議員や官僚、ゼネコンが群がる構図が多くの人命を奪う結果になったのです。
 74人が死亡した4年前の広島の豪雨土砂災害、3年前の鬼怒川決壊を思い出す。7月末の逆走台風など予想できない気象状況が生じているのは間違いないが、地方を切り捨て、災害対策に金をかけず、災害に対する抵抗力を奪っていると強く感じる。
 温暖化による気象異常やダムの問題など様々なテーマがあるが、何よりも「闘いなくして安全なし」を強く思う。自治体労働者が団結を回復し、労働運動を再生させること、民営化や非正規化と闘う中にこそ労働者と住人の生命と地域を守る道があるのではないか。直感的にもそう感じる人も多いと思っている。(S)

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テーマ 資本主義はどういう社会か

日時 8月18日(土)13時~ 講師 鎌倉孝夫(埼玉大学名誉教授)

 ちば合同労組は団体受講しています。ぜひご参加ください。次回のテーマは『資本論』。

ちば合同労組ニュース 第97号 2018年08月1日発行より

実践的に考える職場と労働法/労働組合法における「労働者」

実践的に考える職場と労働法

労働組合法における「労働者」

契約形式を超え団結権を認めせた歴史的地平

 2004年のストライキで広く知られたようにプロ野球選手会は労働組合です。プロサッカー選手会も同様です。
 何億円もの年俸を得ているプロ野球選手が労働者なの?という声もありますが、労働基準法上の「労働者」にあたるかどうかは微妙ですが、労働組合法上は労働者であると労働委員会や裁判所も認めており、プロ野球機構に対し団体交渉権を持っています。
 04年当時、経営危機に陥った近鉄がオリックスとの合併を発表し、球団数を削減す再編構想が急浮上しました。これに対し選手会は臨時大会を開き、組合員752人中賛成648票でスト権を確立します。団体交渉は決裂し、シーズン最終盤で首位が決定する局面だった8月18、19日に日本プロ野球史上初のストが決行されました。
 ちなみに米メジャーでは過去に5度の選手会によるストライキ、3度の経営側によるロックアウトがあります。

 労働組合法は、適用対象となる「労働者」について、職業の種類を問わず「賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者」と定義しています。労働基準法と比較するとかなり広い範囲で労働者を定義しています。
 まず第一に、使用者に現に使用されていることは問われません。失業者であっても労働組合には加入できます。
 第二に、報酬の面でも厳密な意味で賃金であること(労務代償性)は問われず、賃金などに準ずる収入によって生活する者であれば良いことととなっています。
 経済的に弱い立場にある労働者に団結して活動することや団体交渉を行うことを法律で積極的に認めて対等な立場での労使自治を促すことが、労働組合法の趣旨です。
 このため広い意味での経済的従属性のみを必要とし、労働基準法のように使用者の指揮命令下で労働を行っているかどうかまでは要求していないのです。

 最高裁判所の判例では、

①労働者が事業組織に組み入れられているか
②契約内容が使用者により一方的に決定されているか
③報酬が労務の対価(賃金に準ずる収入)としての性格を持つか
④業務の依頼に応じるべき関係(諾否の自由がない)
⑤指揮監督関係の存在(時間や場所が拘束される)
⑥事業者性(独立した経営判断で業務を行い、収益の管理を行っているか)

 ――基本的には①~③に該当し経済的従属性があると判断されれば、労働組合上の「労働者」に該当します。
 ①については「労働力を確保する目的で契約がなされている」「不可欠な労働力として組み入れられている」「第三者に対して自社の労働者として扱っている」などの事情があれば該当します。
 ②については、契約内容が一方的に決められ、個別に交渉する余地がない場合は該当します。業務量や時間に基づいて報酬が支払われている場合は③の労務の対価に該当します。
 業務の依頼に対して拒否権がない、不利益があるなどの事情があれば④の諾否の自由がないに該当し、業務の態様について詳細な指示があり、定期報告書なども求められる状況であれば⑤の時間や場所が拘束されるに該当します。これらの事情は労働組合法上の労働者性を肯定する方向に働きます。
 その上で、「自己の才覚で利得を得る機会がある」「他人労働力を使用する実態」「機材・材料を自己負担」などの顕著な事業者性があると、⑥の事業者性があると判断され、①~⑤に関わらず労働者性を否定されるケースもあります。

 ①~⑥を判断する上では、契約の形式ではなく就労実態をもとに判断します。
 製品設置や出張修理を個人請負化したビクターの例では、会社の朝礼に参加し、従業員行動要領を唱和し、ビクターの社名のロゴの入った作業服と名刺まで持って仕事をしていました。
 プロ演奏家でも、有名芸術家とは異なり、放送局のほぼ専属で演奏という労務の提供の対価を受けているに過ぎない場合は、支払われる契約金は生活保障給(賃金)として、労働組合法上の労働者性を認めるとの判例もあります(CBC管弦楽団労組事件など)。
 トラック持ち込み傭車運転手バイク便、コンビニエンスストらの店長(フランチャイズ契約の加盟者)などについても、広く労働組合法上の労働者性を労働委員会や裁判で認めさせています。

 「働き方改革」関連法で雇用対策法が改悪され、「非雇用型の働き方」「個人請負型の働き方」の拡大が予想されます。長い闘いの歴史でかちとった団結権(労働組合)は現状打開の大きな武器となるはずです。

ちば合同労組ニュース 第97号 2018年08月1日発行より

報告書作成は業務時間外なのか?

報告書作成は業務時間外なのか?

 職場の責任者会議で、報告書の作成や練習は時間外労働の扱いとしないとの議論がなされている。
 現実には、要員不足などの理由で残業せざるを得ない現状がある。報告書の作成や残務処理は、本来の業務以外の何ものでもない。これではサービス残業の誘導だ。無賃労働であるのみならず、事故が起きたり、健康を損ねても自己責任とされなかねない問題だ。
 この件について管理者に質問すると「基本的には時間外労働とする」と回答。議事録にあるのはどういう場合なのか尋ねたところ、報告書作成に1時間半かかった例を上げた。しかし業務上、報告書は不可欠であり、そのために経験や訓練が必要だ。誰でも手際の悪い新人時代はある。それを時間外労働として認めない発想自体が言語道断だ。
 残業申請用紙に具体的内容を書けば時間外労働を認めるとの回答を得た。
 6月末、「過労死が自己責任となる」と過労死遺族が必死に訴えた高度プロフェッショナル制度など「働き方改革」関連法が成立した。労働者を守る法律が改悪されています。ちゃんと物言う労働組合が今こそ必要だ。(M分会)

ちば合同労組ニュース 第97号 2018年08月1日発行より

働き方改革は戦後最大規模の資本攻勢だ

働き方改革は戦後最大規模の資本攻勢だ

 過労死遺族の「過労死を自己責任にする法案反対」との必死の訴えにも関わらず「働き方改革」関連法が6月29日、採決強行で成立しました。
 ところで昨年末に出た厚生労働白書を読むと、〈成長という視点から見た(労働政策を含む)社会保障〉というフレーズのオンパレードです。安倍政権の成長戦略の基軸に「働き方改革」が据えられ、少し前に「岩盤(規制)」などと非難されていた厚生労働省がいまや安倍政権の突撃部隊になっていることがよく分かります。
 簡単におさらいすると①労働時間規制を撤廃する高プロ制度や裁量労働制拡大(今回見送り)、②個人事業主やフリーランサーなど非雇用の働き方に誘導する雇用対策法の抜本的改変、③同一労働同一賃金など、戦後日本の労働政策を根本から覆す法律です。
 これは単に法律にとどまる問題ではありません。想起するのは1949年のドッジラインによる整理解雇です。GHQ財政金融顧問ドッジの指導で吉田内閣が実施した経済財政政策によって国鉄10万人首切りや東芝など民間企業の整理解雇(50万人)や中小企業の倒産(1万社以上)が起き、争議の頻発と共に下山事件や松川事件が発生し、やがてレッドパージが吹き荒れ朝鮮戦争へ向かいました。
 かつてのように大量整理解雇が直ちに焦点になっているわけではありませんが「働き方改革」「同一労働同一賃金」「AI失業時代」という形であらゆる産別・職場で大変な資本攻勢との対決が急務になっています。JR東日本では働き方改革の総本山のような攻撃が始まっています。
 他方、ストや労働組合の復権の雰囲気も出てきています。資本の攻撃と労働者の闘いは一対でもあります。労働組合復権に転換すべく運動化していきたいと思います。(B)

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テーマ 階級的労働運動について
日時 7月21日(土)13時~ 講師 片峯潤一(動労総連合書記)
 ちば合同労組は団体受講しています。ぜひご参加ください。次回のテーマは動労千葉の外注化阻止闘争。

ちば合同労組ニュース 第96号 2018年07月1日発行より

実践的に考える職場と労働法/労働基準法における休日の規定

実践的に考える職場と労働法

労働基準法における休日の規定

休日は午前0時から午後12時まで暦日が原則

 労働基準法の規定では、使用者は労働者に毎週少なくとも1回の休日を与えなければなりません。
 労働基準法は〈1日8時間〉〈週40時間〉を法定労働時間とし、週休2日制を想定しているのですが、法律としては週休2日制を規定せず、最低基準として週1日の休日を要求するに留めています。
 労基法が定める最低限度の休日を「法定休日」と呼びます。これを超える休日は「法定外休日」と呼ばれます。所定労働時間が8時間の会社では月曜から金曜日で法定労働時間の40時間となるので、土曜が法定外休日、日曜が法定休日となるのが一般的です。
 ちなみに休日労働には、時間外労働という考えはなく、休日労働が深夜に及ばない限り何時間労働しても休日労働としての割増賃金(3割5分以上)を支払えばよいとされています。休日労働が8時間を超えても割増率6割にはなりません。深夜の場合は、6割以上になります。

「休日」とは

 「休日」とは、労働契約上、労働者が労働義務を負わない日をいいます。あらかじめ労働義務が存在しないものとされている点で単なる休業日とは異なります。
 また休日は、単なる継続24時間ではダメで、午前0時から午後12時までの暦日が原則です。ごく例外的に、交替制勤務者については,番方編成による交代制など一定の場合(勤務割表などでその都度設定されるものはNG)や、旅館業や自動車運転者に一定の特例が認められています。
 休日を与える単位となる「週」は、必ずしも日曜から土曜の暦週に限られず継続した7日間であれば良いので、就業規則などでどの曜日が週の起点となるかを定める必要があります。特に規定がない場合には日曜が起点となります。ちなみに週1回の休日を与えていれば、その曜日は問われず、日曜でなくとも法律上は問題ありません。
 「変形休日制」は、4週間を通じ4日以上の休日を与える場合には、週休1日の原則が適用除外されています。変形労働時間制と併用して残業代を減らすためにけっこう悪用されています。
 変形休日制を実施するためには、変形制の単位期間の起点を就業規則等に記載することが必要です。法律上は、4週28日の最初の4日間に休日を入れて24日連続で働かせることも可能です。もちろん法定労働時間を超えるので別の問題は生じます。

休日の振替

 休日の振替は、他の労働日(振替先)を休日(振替休日)とする一方、従来は休日であった日に労働者を労働させることをいいます。
 休日を振り替えた後の状態が週休1日の原則(変形週休制をとる場合は4週あたり4日)を満たせば、振り替えた休日の労働は、通常の労働日となり、割増賃金の支払が不要となります。とはいえ振り替えた結果、週の法定労働時間を超える場合には時間外割増賃金の支払が必要です。具体的には週をまたいで休日を振り替えると40時間オーバーで2割5分以上の割増賃金が発生することになります。
 振替先の労働日は、労働契約上あらかじめ労働義務がないものと定められた日として、休日になります。
 「使用者は労働者の個別的同意を得ずに休日振替を命じうるか」という問題がありますが、裁判例では、使用者が休日を他の労働日に振り替えることができる旨を定めた規定が存在し、振替先の労働日をあらかじめ特定すれば、使用者は労働者の個別的同意を得ずに休日振替を命じることができるとされています。
 あらかじめ振替先を指定しないで休日に労働させ、後にこれに代わる休日(代休)を与える場合は、休日の変更がなされていないので休日労働のままであり、3割5分以上の休日割増賃金が必要となります。この場合には、代休日を与えることは法律上必ずしも要求されません。

年間休日数

 年間休日数の平均は120日。土日祝日に盆・年末年始を加えるとこの数字になります。平均で月10日の休みです。1日8時間・週40時間の法定労働時間めいっぱいで働くと年間休日数は105日となります。夏休みや正月休み、祝日がないパターンです。
 統計では、自動車などの大手製造業は年間休日が多く(約130日)、外食・小売・サービス業は、土日やGW、年末年始など通常の人が休みである期間に営業するので休日が少なく、労働時間も長くなっています。
 休日手当の額
 休日に出勤した場合、会社は基本給とは別に割増賃金を支払う義務があります。1時間あたりの賃金が千円として休日に8時間働けば千円×1・35×8=1万800円。つまり時給単価×1・35×休日労働時間数で休日労働の賃金額が算定できます。

ちば合同労組ニュース 第96号 2018年07月1日発行より

労働者の命奪う働き方法案を阻止しよう

労働者の命奪う働き方法案を阻止しよう

 「働き方改革」関連法案をめぐる国会攻防が緊迫しています。5月31日に衆院本会議で採決する見込みと報道されています。同法案とカジノ法案の成立を図るため6月20日までの会期を2週間から1か月の範囲で延長する動きも出ています。少なくない人びとが必死に訴えて闘う中で少しずつ情勢が動き始めています。
 過労死遺族でつくる全国過労死を考える家族の会が5月中旬に安倍首相に面会を申し入れましたが安倍は拒絶。5月22日から首相官邸前で座り込みを始めました。
 家族の会代表の寺西さんの夫は飲食店の店長でした。夫が過労自殺した際、会社は「店長には裁量がある。勝手に働いて勝手に死んだ」と言い放ったそうです。裁量労働制の大幅拡大で、過労死が増えるだけでなく、過労死が自己責任になると危機感を訴え続けています。
 首相官邸前での「人の命を奪う法案を採択すべきではない」の訴えには、連合の神津会長も陣中見舞いに来ざるを得なくなり、連合は全国一斉行動を実施。千葉でもやっているのを目撃しました。
 連合は昨夏、UAゼンセン出身の逢見事務局長(当時)が首相官邸に足繁く通い、高度プロフェッショナル制度を容認する動きが暴露され、連合本部が抗議デモに包囲される大騒動になりました。
 自己保身的とはいえ、連合幹部らが反対のポーズを取らざるをえないほど現場・下部の組合員の危機感と怒りは噴火寸前のマグマのようになっているのです。
 高プロ制度は、第1次安倍政権の時代から何度も断念に追い込まれ、安倍にとって10年越しの悲願です。労働法制の改悪・解体は、けっして権力万能で進行するわけではなく、ギリギリの均衡状態の中での採択強行なのです。微力であっても本気で反対し、本気で行動することが状況を転換すると思います。
 東京駅自販機の順法闘争・ストの報道が象徴的ですが、労働組合の存在が少しずつ人びとの認識の俎上に上りつつある感じもします。労働者の団結と労働運動の再生を展望し、法案阻止へ6月がんばりましょう。
(S)

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テーマ 労働法制改悪との闘い

日時 5月19日(土)13時~  講師 山本志都(労働弁護士)
ちば合同労組は団体受講しています。ぜひご参加ください。次回のテーマは働き方改革関連法案です。

ちば合同労組ニュース 第95号 2017年06月1日発行より

実践的に考える職場と労働法 危険・健康障害防止の措置

実践的に考える職場と労働法

労働者の危険・健康障害防止の措置

事業主には労働者を退避させる義務がある

 労働安全衛生法は、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする法律です。
 戦争犠牲者の規模に匹敵すると言ってもよい労働災害の犠牲者と、長い労働者の闘いでつくられた法律です。労働者の血で書かれた法律です。闘いの武器として活用することは有意義だと思います。
 労働安全衛生法は、
◎安全衛生管理体制
◎労働者を危険や健康障害から守るための措置
◎機械や危険物・有害物に関する規制
◎安全衛生教育
◎労働者の健康を保持増進するための措置
 ――などについて定め、職場の安全衛生に関する網羅的な法規制を行っています。
 今回は、労働安全衛生法第4章「労働者の危険または健康障害を防止するための措置」を中心にみていきます。

労災防止の責任

 労働災害を防止する第一義的責任は、労働者を使用する事業主にあることは言うまでもありません。労災防止のための基準や規則を定めても事業主に守る気がなければほとんど実効性はありません。
 その意味では、労働者の安全衛生を確保するために必要な措置を事業主に義務づける第4章は、労働安全衛生法で最も重要な部分と言えます。
 会社に労災防止の措置を確実に行わせるためにもこの部分はしっかり覚えておいて損はないと思います。
 労働安全衛生法が定める事業主の講ずべき措置の具体的内容は、技術的細部にわたることも多く、その大部分は厚生労働省令に規定され(2100か条以上)、その内容を理解することは簡単ではありません。

事業主の義務

 20~22条は、事業主に対して次の危険や健康の防止措置を義務づけています。

(1) 機械・器具・設備による危険、爆発性の物・発火性の物・引火性の物などによる危険、電気・熱・引火性の物などによる危険

(2) 掘削・採石・荷役・伐採などの業務の危険、墜落や土砂崩落のおそれのある場所の危険

(3) 原材料・ガス・蒸気・粉じん・酸素欠乏・病原体などによる健康障害、放射線・高温・低温・超音波・騒音・振動・異常気圧などによる健康障害、計器監視・精密工作などの作業による健康障害、排気・廃液・残滓物による健康障害

 (1)は、プレス事故、足場崩落事故、塗料の爆発、配電盤接触による感電など。(2)は、トンネル掘削中の土砂崩壊、採石作業中の落石など。(3)は、電池製造時の鉛中毒、有機溶剤作業の蒸気吸引、マンホール内作業の酸欠、チェンソー作業による振動障害、計器監視による視力障害などがその具体例となります。
 こうした労働災害を防止する措置を講ずることを義務づけているわけです。
 また23条では、就業場所の通路・床面・階段の保全、採光・照明・保温・防湿、休養、避難・清潔に必要な措置など労働者の健康保持のための措置を義務づけています。
 具体例としては、山積みされた荷の上での作業、油で汚れたタイル上での作業などでの労災事故を防止するための措置規定です。
 24条は、労働者の作業行動から生ずる労働災害を防止するため必要な措置を義務づけています。具体例は、同じ姿勢による腰痛や急な動作の反動による脱臼などです。

危険急迫の退避

 今ひとつ、重要な規定として25条は、労働災害発生の急迫した危険があるときは、事業主は、直ちに作業を中止し、労働者を作業場から退避させるなどの必要な措置を講じることを規定しています。
 25条は、20~24条と比較すると生々しい規定です。もともと国会に法案が提出された際、25条はありませんでした。しかし「労働者の退避権」が議論になり、最終的に「事業者の退避させる義務」として新たに25条が設けられることになったそうです。
 重要な規定なので繰り返しますが、労働災害が発生する急迫した危険があるときは、事業主は、直ちに作業を中止し、労働者を作業場から退避させる義務があります。当然と言えば当然の規定ですが、労働者の生命と健康を守るためにも、この規定(条文)だけは覚えておいて欲しい。
 その後、25条の2に「救護に伴う労働災害の防止の措置」が追加され、建設業などで爆発や火災などが生じた場合、労働者の救護に際しての労災発生を防止するために、救護に必要な機械などの備え付け、管理が義務づけられました。
 また労働契約法第5条は、「使用者は労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする(安全配慮義務)」を定めています。損害賠償責任も負います。
ちば合同労組ニュース 第95号 2017年06月1日発行より

働き方改革関連法案を廃案に

労働組合の社会的復権をかけて

働き方改革関連法案を廃案に!

 働き方改革関連法案に盛り込まれた裁量労働制をめぐり調査データの偽造・隠蔽が発覚し、厚生労働省が施行時期を1年遅らせる検討に入ったことが報道されています。安倍政権は、2月下旬の法案提出を断念し、法案提出の期限とされる3月13日を目標にしたとのことです。
 法案の中味ですが次の3つが焦点です。第一は、高度プロフェッショナル制度の新設と裁量労働制の拡大です。
 高プロ制度は、米国のホワイトカラーエグゼンプションのことで、労働基準法にある労働時間規制を適用除外にする制度です。労働時間・休憩・休日・深夜労働の規制がすべて適用されなくなります。
 時間と労働の成果の関連性が高くなく年収1075万円以上の労働者を対象にするといっています。経団連は年収400万円程度が望ましいと言っています。

 裁量労働制は、実際に働いた時間ではなく、あらかじめ決めた時間で働いたとみなす制度です。残業月40時間と決めれば、実際は百時間残業しても40時間とみなされます。安倍首相は「裁量労働制の労働時間は一般より短い」と答弁しました。しかし、厚労省調査の偽造が発覚し、陳謝に追い込まれました。
 今回、裁量労働制の対象になるのは、①法人向けの営業職、②管理監督者に該当しない管理職です。②は班長・主任レベルを含むことも解釈次第で可能です。

 第二は、同一労働同一賃金です。非正規労働者のひどい現実とあいまって「同一の職務内容なら同一の賃金であるべき」のことだと思われがちですが、まったく違います。
 政府の働き方改革実現会議が16年12月に決定した「同一労働同一賃金ガイドライン案」では、職業経験・能力・業績・成果・勤続年数に違いがあれば額に差があっても容認されると書いてあります。同じ仕事でも幹部候補生とパート社員との格差は当然という主張です。ただし交通費の支給や更衣室・食堂の利用などは同一にしろということです。この間の判決などもそのような誘導を感じます。
 同一労働同一賃金の正体は賃金の個別決定化です。生活給・年齢給・地域相場など賃金の集団的決定の要素を解消し、成果主義・評価制度を徹底する方向に進みます。労働者が団結して賃上げを要求することの対極にある考え方なのです。

 第三は、雇用対策法の全面改定です。この法律は憲法の勤労権に基づく国や事業主の責務を定めた基本法で、完全雇用の達成に向け職業訓練や雇用保険など様々な雇用施策の土台になる法律ですが、労働施策総合推進法に名称変更し、「多様な就労形態の普及」と称して、非雇用型の働き方を推進するというのです。
 インターネットを通じた個人請負が拡大しています。一例を上げると、広告用イラストは以前は1点1万円~が相場だったのが、ネット経由で会社員の副業、主婦や学生の参入で、いまや1点500円~が相場になったそうです。今後、ネットによる個人請負の拡大は深刻な問題になっていきます。個人請負の場合、労働法の適用が非常に困難です(ただし、プロ野球選手会のように労働組合法の適用は比較的可能)。
 非常に問題のある法律で廃案にすべく行動を開始しなければなりません。ですが防衛的な意味だけでなく、労働者の団結と労働組合の復権に資する形で運動に取り組んでいきたいものです。(S)

ちば合同労組ニュース 第92号 2018年03月1日発行より

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テーマ 関西生コン型労働運動について

 日時 3月17日(土)13時~ / 講師 武谷新吾(関西生コン支部書記次長)
 

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雇用安定法の改定/求人詐欺に一定の規制

実践的に考える職場と労働法

求人詐欺に一定の規制 雇用安定法の改定

固定残業制や裁量労働制も募集・求人時の明示項目に

 昨年3月の職業安定法の改定により、募集・求人時の労働条件の明示項目のルールが今年1月から変わりました。(上記 図・厚生労働省PDF

 ①労働条件の明示が必要なタイミング、②固定残業代や裁量労働制の明示、③求人票と労働条件が異なる場合には変更内容の明示などです。

 改定前と比較すれば「改善」と言えるとは思いますが、実際には抜け道もしっかりあるので注意が必要です。
 企業が労働者を募集するにあたって労働条件を明示する義務があります。労働基準法にも労働条件の明示義務は規定されています。しかし、これは労働契約を締結する時点での規定です。募集時の条件提示の規制は緩く、簡単にいうと「会社としては労働者の経験や能力、熱意に応じてこれくらいは提示できます」という感じでした。
 求人広告をみて好条件だと思っていざ面接を受けるとまったく違う労働条件が提示されるケースは多く、求人情報を頼りに求職活動をせざるを得ない人には本当に苦しみの源泉でした。
 今回の法改定で、原則として、初回の面接など求人者と求職者が最初に接触する時点までに、すべての労働条件を明示すべきとなりました。さらに試用期間・固定残業制・裁量労働制などについても明記が必要となりました。
 固定残業制は、賃金の一部としてあらかじめ一定の残業代を含む制度です。「基本給20万円(5万円の定額残業代を含む)」「支払総額20万円(基本給15万円、固定残業代5万円)」などのように賃金額が高く表示されます。固定残業制を悪用する会社はこの丸括弧の部分の提示をあいまいにします。労働者には20万円の内訳(うちわけ)が不明になります。
 実際に働き始めると「(固定残業代があるから)何時間働いても残業代はない」「労働時間も記録していない」となるわけです。労働者も「そういうものかな」と誤解したり、あきらめてしまいます。
 固定残業制を厳格に運用するならば定額部分を超える残業代の支払いが当然必要であり、残業代の計算も煩雑(はんざつ)です。しかし固定残業制を悪用すれば、残業代の支払いを免れるだけでなく、労働時間の把握も残業代の計算も不必要になるのです。
 法改正に伴って作成された「指針」により、固定残業制を適用する場合には、①固定残業代を除く基本給、②時間と金額を明記した固定残業代の内訳、③固定残業代に含めた時間外労働を超えた時間外労働については、割増賃金(残業代)を追加で支給する旨の記載が必要になりました。

派遣雇用も明示に

 募集者の氏名・名称についても、募集・求人時に明示することが求められることになりました。コンビニのアルバイト募集は、フランチャイズ本部の募集ではなくオーナー(加盟店経営者)が大半です。それが判別できるようになります。 派遣労働者として雇用する場合にも明示が必要になりました。入社したら派遣労働者で実際の勤務場所は派遣先というケースも多かったのです。

求人情報誌の問題

 多くの人は、ハローワークなどの「職業紹介」の仕組みと、求人情報誌(やウェブサイト)を利用した求職活動を区別していないと思います。
 「職業紹介」は、「求人者」(雇用主)がハローワークに対して労働条件を明示することが必要です。さらにハローワークは、求職者(労働者)に対して労働条件を明示する義務があります。
 それとは対照的に、求人情報誌に掲載されているのは求人情報(求人広告)に過ぎません。雇用安定法が規定する「職業紹介」の仕組みではないのです。単なる情報提供にすぎず、求人情報誌は求職者に対して労働条件明示の義務は負いません。雇用主も、求人情報誌に労働条件明示の義務を負いません。
 微妙な仕組みで分かりにくいですが、求人情報誌での「労働者の募集」の場合、労働条件の明示は、雇用主(募集主)→求職者(労働者)の関係性の中において必要となるのです。したがって求人情報誌を見た労働者が問い合わせるなどの当事者間の連絡・交渉の中で明示すれば、一応、明示したことになるのです。
 そういう事情もあり、今回の改正では、労働条件については、「原則として、求職者等と最初に接触する時点までに」明示するとなったのです。少なくとも企業説明会や初回の面接時には明示することになったわけです。不利な労働条件の「後出し」が少し規制されることになりました。
 いずれにせよ変更明示は重要です。求人情報誌や情報サイトを印刷し、注意して確認することは大切です。

ちば合同労組ニュース 第92号 2018年03月1日発行より

雇用破壊の大攻撃に対抗し無期転換めぐる闘いへ

雇用破壊の大攻撃に対抗し無期転換めぐる闘いへ

 いよいよ4月1日から無期雇用転換制度が始まります。すでに雇い止めなどの記事がかなり出ています。ちば合同労組は、動労千葉と共に無期転換問題連絡会をつくり、「労働組合に入って無期転換を申し込もう」「雇い止めや試験制度と闘おう」「無期転換後の労働条件を改善しよう」と訴えています。
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 ところで厚生労働省が発行している『無期転換の準備、進めていますか?~有期契約労働者の円滑な無期転換のためのハンドブック~』を読むと、露骨に〝多様な正社員への転換〟〝従来の「正社員」と役割や責任を明確に区分〟と書いてあります。
 無期転換制度はそれ自体の政策意図は、いわゆる「限定社員」「準社員」を創出して、外注化や分社化、転籍などと一体で正社員・正規雇用と置き換える大変な攻撃です。安倍政権の進める「働き方改革」の核心をなす攻撃です。
 ハンドブックによれば、多様な正社員とは、勤務地や労働時間、職務などの労働条件に制約を設けた正社員です。
 厚労省や政府の様々な検討会議では、御用学者や使用者側の人間が〈事業所の移転や縮小で容易に整理解雇できるようにすべきだ〉と主張し、特に限定社員や準社員については、事業所の撤収や業務の縮小は解雇の合理的理由となるなどと議論しています。

高齢者雇用と外注化

 無期転換を考えるに際し参考になるのが高齢者雇用問題です。01年から年金の支給が段階的に65歳からの支給となり、高齢者雇用確保法などによって65歳までの再雇用や定年延長が法制化されました。さらには雇用保険の高齢者雇用継続給付などにより、低賃金の60~65歳の労働者約150万人が新たに創出されました。
 雇用保険の高齢者雇用継続給付は、定年前賃金と比較して61%以下に低下した場合、60歳以後の各月の賃金の15%を雇用継続給付金として雇用保険から支給します。例えば、定年前に賃金30万円だった人が定年後に18万円で再雇用された場合、2万7千円を支給するというものです。
 こうした政策誘導もあって各企業は再雇用者の賃金を3~4割カットし、さらに50代半ばの賃金大幅減額にも踏み込み、50~60代の低賃金労働者が大量に創出されました。
 しかも話はこれにとどまりませんでした。例えばJR東日本では、1980年代の国鉄分割・民営化の前に採用された大勢の労働者が退職期を迎えたため、それをグループ会社に再雇用して、鉄道業務の外注化(アウトソーシング)を進めたのです。
 NTTでは65歳までの定年延長とセットで50歳で地域子会社に転籍させ、しかも賃金は15~30%減額したのです。再雇用を利用して、大幅な賃下げによる人件費削減、そして分社化と転籍を押し進めたのです。NTTは数百のグループ企業に再編され、雇用形態も文字どおり〝多様〟となったのです。NTTでは壊滅的な雇用破壊が進みました。
 高齢者雇用継続制度は、外注化や分社化、転籍とセットとなることで外注化や分社化、転籍の導水路となり、やがては現役世代の雇用の破壊につながる問題でした。

無期転換で何が起きる

 無期転換制度の対象者は約1500万人とも言われます。単純計算でも高年齢労働者の10倍の規模です。個々の無期転換をめぐる問題を超えて全社会的に何が起きようとしているのか?
 いまあらためて動労千葉の闘いが重要だと思います。動労千葉が21世紀冒頭から十数年闘っている外注化は、退職者の雇用確保と引き換えに鉄道業務の外注化(やがては転籍と分社化)への協力を労働組合に迫る攻撃との闘いでした。動労千葉は数十人の退職組合員に対する再雇用拒否=解雇の攻撃を受けながらも外注化を阻止してきました。
 数年前に外注化の突破口は開かれましたが、闘いは継続し、外注先のJR千葉鉄道サービス株式会社(CTS)において労働組合を組織化する闘いに入っています。
 外注先のCTSでは、無期転換制度の開始前に就業規則を改悪し、選抜試験に合格した者だけの無期転換を認める超悪質な攻撃と闘い抜き、希望者全員の無期転換をかちとりました。現在、JR東日本のグループ企業では軒並みCTSと同様の取り扱いになっています。闘いの大きな地平です。
 無期転換は、外注化や分社化と一体となって正規雇用を〝多様な正社員〟〝限定社員〟〝準社員〟に全社会的に置き換える究極の雇用破壊攻撃です。安倍首相の言う「非正規という言葉をなくす」の意味するところです。

雇用破壊との闘いを

 30数年に及ぶ新自由主義の核心は、米レーガン、英サッチャー、中曽根に典型なように労働組合(労働者階級)を徹底的に攻撃して、賃金を抑制し、正規雇用を破壊することにあります。
 現代世界の労働者階級の状態は、この問題をハッキリさせなければ絶対に把握できません。「無期転換」「働き方改革」は、そういうレベルでの日本の労働者階級の歴史的な状態をめぐる攻防なのです。
 だからこそ無期転換に対して全力で立ち向かわなければなりません。動労千葉は、外注化阻止と一体で闘ったCTSの無期転換をめぐる闘いを全国に拡大したいと訴えています。ちば合同労組と一緒に「無期転換問題連絡会」をつくって、〝労働組合に入って無期転換を申し込もう〟を広く呼びかけることになりました。これは新自由主義の雇用破壊に対して労働組合を復権する歴史的挑戦です。
 20世紀初頭、英ロンドン港の港湾労働者のストライキから一般労組(ゼネラルユニオン)が生まれました。当時の英国では、労働組合の加入資格は熟練工に限られていました。大半の労働者は労働組合の蚊帳の外でした。その典型が港湾労働者で、百人の応募者をケンカさせ腕っ節の強い10人が仕事にありつくような状況でした。
 「このままでいいのか」との訴えから歴史的なストライキが始まりました。当初、労働者の敗北は必至と思われていたのですが、多額のカンパと世論の支持が集まり、ほとんどスト破りもなくストは勝利。現在でも英国最大の労働組合である運輸一般労働組合はこの時に誕生したのです。
 そんな労働組合の復権闘争として、動労千葉の国鉄分割・民営化反対闘争の継続=外注化阻止闘争と一体で無期転換をめぐる闘いに、ちば合同労組も取り組みます。(S)

ちば合同労組ニュース 第91号 2018年02月1日発行より

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