連載・職場と労働法

連載・職場と労働法

労基法×労働組合モデル解体の動き

実践的に考える職場と労働法 新たな労働運動を展望する立場から問題みる 労基法×労働組合モデル解体の動き   厚生労働省「労働基準関係法制研究会」が急ピッチで進む。経団連も今年1月に「労使自治を軸とした労働法制に関する提言」を発表した。労働政策審議会に進むのは時間の問題です。労政審答申から法案化まで一気に進みかねないスピード感です。  少し複雑な構造ですが因数分解すると、労働基準法の適用除外を一気に...
連載・職場と労働法

企業組織再編と倒産・再建の諸問題

実践的に考える職場と労働法 企業組織再編と倒産・再建の諸問題  近年、会社分割や合併、事業譲渡や株式譲渡などの手法を使った企業再編が活発だ。また物価高、人手不足などで企業倒産も増加傾向にある。整理解雇や労働条件の切り下げ、労使関係にも大きな影響がある問題です。  今回は、倒産や企業組織の再編をめぐる諸問題について少し考えたい。  企業倒産の手続きには、裁判所が関与する「法的整理」と、裁判以外で進め...
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化学物質の新たな管理規制体制

実践的に考える職場と労働法 化学物質を原因とする労災事故が高止まり継続 化学物質の新たな管理規制体制  化学物質の管理について、昨年4月から新たな規制が始まり、今年4月からは「化学物質管理者」の選任が義務付けられることになった。  化学製品は最終製品の原材料となる中間材・半製品として供給される場面が多いが、私たちの日常生活は化学製品なしでは成り立たない。  アパレルの原料である合成繊維、カップ麺の...
その他

40年ぶり労働基準法大改定の動き

実践的に考える職場と労働法 40年ぶり労働基準法大改定の動き 経団連・厚労省が連動し研究会で急ピッチの議論  厚生労働省が「労働基準関係法制研究会」を設置し、計10人のメンバーで今年4月からスタートした。すでに6回開催された。  結論的に言って、労働基準法の歴史的な大転換、大改悪、あるいは解体という重大な事態が迫っている。新聞でも「40年に1度の大改正」(厚生労働省幹部の発言)と報じられている。 ...
医療・介護

医師の「働き方改革」のインチキ

実践的に考える職場と労働法 医師の「働き方改革」のインチキ 宿日直の偽装で労働時間リセットし連続勤務 4月から医師の「働き方改革」が始まる。  一般業種は、19年から残業時間の法的な上限規制が設けられ、年間720時間以内、1か月単位で最長100時間、複数月に渡る場合は月平均80時間が上限となった。だが医師や運輸業、建設業は5年の猶予期間が設けられた。  今後、医師や運輸業は原則として年960時間(...
その他

経団連が労基法の規制緩和を要求

実践的に考える職場と労働法 経団連が労基法の規制緩和を要求 「労使自治を軸とした労働法制に関する提言」  日本経済団体連合会(経団連)が1月16日付で「労使自治を軸とした労働法制に関する提言」を公表した。同日には、経営団体側の〝春闘方針〟とも言うべき経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)も公表されている。 労基法の適用緩和  提言は「働き方のニーズの多様化や企業を取り巻く環境変化などを踏まえ、時...
制度・政策

社会保障制度の歴史を考える

実践的に考える職場と労働法 社会保障制度の歴史を考える 29年世界恐慌と第2次世界大戦を経て制度化  2回に分けて社会保障の歴史について考えてみたい。現在のような社会保障制度の仕組みができたのは、私たちが思うより歴史が浅い。  近代的な社会保障制度はヨーロッパで始まった。まず最初に資本主義が始まったイギリスで労働者の貧困問題が社会問題化して「救貧法」が作られた。  これは都市のスラム街に集まった浮...
連載・職場と労働法

実践的に考える職場と労働法/いわゆる「年収の壁」問題

実践的に考える職場と労働法   いわゆる「年収の壁」問題 「106万円」「130万円」で半数が就業調整  いわゆる「年収の壁」が人手不足への対応として話題となっている。  物価高騰が続き、賃上げが喫緊の課題となっている。まったく不十分だが最低賃金も引き上げられた。ところが時給がアップしても「年収の壁」を超えないように労働時間を調整(減らす)労働者は少なくない。  厚生労働省の2021年の調査では、...
制度・政策

実践的に考える職場と労働法/いわゆるシフト制労働者について

実践的に考える職場と労働法 いわゆるシフト制労働者について 契約を結ぶ時、労働条件の確認は特に注意を  新型コロナに起因する休業問題などで大きな影響を受けたのがサービス業で働く「シフト制労働者」が焦点となった。厚生労働省が作成した「いわゆるシフト制により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」を使って考えたい。  「シフト制」は、労働契約の締結時点では労働日や労働時間を確定的に定めず一...
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労災死傷者数、過去20年で最多に

実践的に考える職場と労働法 労災死傷者数、過去20年で最多に 技能実習生の労災発生率は全体の1・6倍  厚生労働省が5月23日、22年1月から12月の労働災害の発生状況を公表した。  コロナ罹患を除く労災死亡者数は774人で前年比4人減の過去最少だが、休業4日以上の死傷者数は前年比で1769人増の13万2355人となり過去20年で最多となっている。  また千葉労働局によれば、県内の労災死傷者数の特...
組合活動

中小も60時間超残業割増率5割に

実践的に考える職場と労働法 中小も60時間超残業割増率5割に 時給1000円なら60時間超は1500円に  4月1日から、月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金50%が中小企業にも適用される。中小企業で働く労働者は約3千万人、その影響はかなり大きい。5月に支給される賃金明細をしっかり確認して下さい。  中小企業かどうかは小売業は資本金5千万円以下あるいは常時使用する労働者数50人以下に該当す...
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雇用契約と労働条件通知書

実践的に考える職場と労働法 雇用契約と労働条件通知書 来年4月から契約時の労働条件明示  企業が労働者を雇う際、「雇用契約」を結ぶ。雇用契約は口頭でも成立しますが、賃金や労働時間、その他の労働条件を事前に明示する必要があります。労働条件のうち特定の事項は、労働基準法15条及び施行規則第5条の規定で明示が義務付けられています。  具体的には下記の13項目となります。 ①労働契約の期間 ②就業場所及び...
制度・政策

会計年度任用職員3年雇止め問題 雇い止め中止し、再任用を!

実践的に考える職場と労働法 会計年度任用職員3年雇止め問題 総務省解釈で全国で数十万人が雇止め対象  国や地方自治体で働く非正規公務員の多くが年度末となる3月に雇止めとなる恐れが強まっている。  2020年4月から始まった会計年度任用職員制度について、総務省が任用(雇用)契約の更新を2回までとする方針を示したため、制度スタートから丸3年となる今年3月末を前に職員の公募試験を実施するため、すでに2回...
制度・政策

裁量労働制の適用拡大の動き/解釈変更だけで適用拡大

実践的に考える職場と労働法 裁量労働制の適用拡大の動き 法律に手を加えず解釈変更だけで適用拡大  実際の労働時間にかかわらず一定の時間を働いたとみなす「裁量労働制」の適用拡大について、年末、厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会で議論が煮詰まっています。なんと法律に手を加えず〝解釈変更〟だけで押し通そうというのです。トンデモナイ話です。 捏造データ問題  覚えているでしょうか?   安倍政権時代...
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ドライバー2024年問題/運転従事者の労災過労死1位

実践的に考える職場と労働法 ドライバー2024年問題 運転従事者の労災過労死1位が続く  8月22日、名古屋で空港連絡バスが高速道路の中央分離帯に接触・横転して炎上、2人が死亡、7人が負傷する事故が起きた。バスは事故現場の数百㍍手前から蛇行し、乗客の証言では「運転手はぐったりして動かず」、死亡した運転手の体調に異変が生じた可能性と報じられている。  京成バス雇止め撤回を闘う「ちば合同労組」にもコメ...
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職場と労働法/高年齢労働者と労働災害

実践的に考える職場と労働法 高年齢労働者と労働災害 労災死亡の半数が60歳以上の労働者  昨年2021年に労働災害で死亡した60歳以上の高齢者が360人に達し、労災死亡者全体(831人)の43・3%を占めたことが報じられました。過去最高の比率で4割を超えたのは初めてとのこと。  工事現場などで、危険できつい仕事を担う高齢者が増えている現状があり、これに対する安全対策の遅れが背景にあります。  労災...