連載・職場と労働法

制度・政策

実践的に考える職場と労働法/いわゆるシフト制労働者について

実践的に考える職場と労働法いわゆるシフト制労働者について契約を結ぶ時、労働条件の確認は特に注意を 新型コロナに起因する休業問題などで大きな影響を受けたのがサービス業で働く「シフト制労働者」が焦点となった。厚生労働省が作成した「いわゆるシフト制により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」を使って考えたい。 「シフト制」は、労働契約の締結時点では労働日や労働時間を確定的に定めず一定期間(...
連載・職場と労働法

労災死傷者数、過去20年で最多に

実践的に考える職場と労働法労災死傷者数、過去20年で最多に技能実習生の労災発生率は全体の1・6倍 厚生労働省が5月23日、22年1月から12月の労働災害の発生状況を公表した。 コロナ罹患を除く労災死亡者数は774人で前年比4人減の過去最少だが、休業4日以上の死傷者数は前年比で1769人増の13万2355人となり過去20年で最多となっている。 また千葉労働局によれば、県内の労災死傷者数の特徴として、...
組合活動

中小も60時間超残業割増率5割に

実践的に考える職場と労働法中小も60時間超残業割増率5割に時給1000円なら60時間超は1500円に 4月1日から、月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金50%が中小企業にも適用される。中小企業で働く労働者は約3千万人、その影響はかなり大きい。5月に支給される賃金明細をしっかり確認して下さい。 中小企業かどうかは小売業は資本金5千万円以下あるいは常時使用する労働者数50人以下に該当するかどう...
連載・職場と労働法

雇用契約と労働条件通知書

実践的に考える職場と労働法雇用契約と労働条件通知書来年4月から契約時の労働条件明示 企業が労働者を雇う際、「雇用契約」を結ぶ。雇用契約は口頭でも成立しますが、賃金や労働時間、その他の労働条件を事前に明示する必要があります。労働条件のうち特定の事項は、労働基準法15条及び施行規則第5条の規定で明示が義務付けられています。 具体的には下記の13項目となります。①労働契約の期間②就業場所及び従業する業務...
制度・政策

会計年度任用職員3年雇止め問題 雇い止め中止し、再任用を!

実践的に考える職場と労働法会計年度任用職員3年雇止め問題総務省解釈で全国で数十万人が雇止め対象 国や地方自治体で働く非正規公務員の多くが年度末となる3月に雇止めとなる恐れが強まっている。 2020年4月から始まった会計年度任用職員制度について、総務省が任用(雇用)契約の更新を2回までとする方針を示したため、制度スタートから丸3年となる今年3月末を前に職員の公募試験を実施するため、すでに2回の更新が...
制度・政策

裁量労働制の適用拡大の動き/解釈変更だけで適用拡大

実践的に考える職場と労働法裁量労働制の適用拡大の動き法律に手を加えず解釈変更だけで適用拡大 実際の労働時間にかかわらず一定の時間を働いたとみなす「裁量労働制」の適用拡大について、年末、厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会で議論が煮詰まっています。なんと法律に手を加えず〝解釈変更〟だけで押し通そうというのです。トンデモナイ話です。捏造データ問題 覚えているでしょうか?  安倍政権時代の2018年...
連載・職場と労働法

ドライバー2024年問題/運転従事者の労災過労死1位

実践的に考える職場と労働法ドライバー2024年問題運転従事者の労災過労死1位が続く 8月22日、名古屋で空港連絡バスが高速道路の中央分離帯に接触・横転して炎上、2人が死亡、7人が負傷する事故が起きた。バスは事故現場の数百㍍手前から蛇行し、乗客の証言では「運転手はぐったりして動かず」、死亡した運転手の体調に異変が生じた可能性と報じられている。 京成バス雇止め撤回を闘う「ちば合同労組」にもコメントを求...
連載・職場と労働法

職場と労働法/高年齢労働者と労働災害

実践的に考える職場と労働法高年齢労働者と労働災害労災死亡の半数が60歳以上の労働者 昨年2021年に労働災害で死亡した60歳以上の高齢者が360人に達し、労災死亡者全体(831人)の43・3%を占めたことが報じられました。過去最高の比率で4割を超えたのは初めてとのこと。 工事現場などで、危険できつい仕事を担う高齢者が増えている現状があり、これに対する安全対策の遅れが背景にあります。 労災死亡に占め...
連載・職場と労働法

育児休業など周知・意向確認を義務化

実践的に考える職場と労働法育児休業など周知・意向確認を義務化 育児介護休業法4月から新制度 今回は、昨年6月に改定された育児介護休業法が規定する諸制度を確認したい。昨年6月に改定 育児介護休業法は、91年に「育児休業法」として制定され翌年から施行、95年に介護休業が盛り込まれました。 99年に労働基準法から女性労働者の保護規定(深夜業・時間外労働の制限など)が廃止されたことに伴い、育児・介護を行う...
連載・職場と労働法

シフト表作成における会社の横暴と対決を

コロナで焦点化シフト制の働き方シフト表作成における会社の横暴と対決を 最近、シフトをめぐる相談や課題が増えています。 例えば、新型コロナに伴う休業は、原則として使用者都合による補償義務が生じます。しかしシフト労働者の多くが休業補償を得られずにいます。一方的なシフトカットによって事実上の解雇や退職強要が行われている事例も多い。報復的・制裁的なシフトカットも問題です。 「シフト制労働」とは、1週間とか...
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金銭解雇制度導入の動き加速/解雇規制(解雇権濫用法理)転覆が狙い

金銭解雇制度導入の動き加速解雇規制(解雇権濫用法理)転覆が狙い 厚生労働省は4月12日、「解雇無効の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」の議論を取りまとめた報告書を公表しました。検討会は2018年6月に設置され、計17回の検討会が行われてきました。労働契約解消金 報告書は、「解雇された労働者が救済される選択肢を増やす」などと称して、新たに「労働契約解消金」の支払いによって労働契約を終了す...
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休業支援金の個人申請について/職場と労働法

休業支援金の個人申請について第6波で長期休業せざるを得ないケースが増加 新型コロナウイルス感染症の第6波の特徴の一つとして、保育園や小学校に通う子どもの感染者数が増加していることがあります。その影響で休校・休園も激増し、あるいは実際に子どもが感染した場合の世話などで最短で5日程度、実際には10日~2週間超の長期休業が必要になる場合も多い。 複数の子どもがいる家庭では家族で順番に感染して長期に及ぶケ...
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会計年度任用職員/毎年雇止め根本矛盾持つ非正規制度

実践的に考える職場と労働法会計年度任用職員について毎年雇止めの根本的矛盾を持つ非正規制度 2020年4月から会計年度任用職員制度が導入されました。年度末を前に各地で雇止めを通告され、地域ユニオンへの相談も増えています。 全国の自治体労働者数は、90年代半ばをピークに市町村合併や民営化などで減少し続け、さらに正規から非正規への置き換えが著しく進行しています。総務省調査では会計年度任用職員は百万人を超...
連載・職場と労働法

年次有給休暇の取得について

実践的に考える職場と労働法出勤率8割の要件は世界的にはほぼ例がない年次有給休暇の取得について 使用者は、労働者の雇入れ日から起算して6か月以上継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し又は分割した10労働日以上の有給休暇を与える義務があります(労働基準法39条1項)。これを「年次有給休暇」と言います。時季指定権・変更権 具体的な取得時季については、労働者が時季指定権を行使すること...
連載・職場と労働法

近年、焦点化する最低賃金制度

実践的に考える職場と労働法近年、焦点化する最低賃金制度当面、全国一律1500円への引き上げを 都道府県別の最低賃金が10月1日から引き上げられました。千葉県は953円。全国平均で28円となり過去最大幅、時給平均930円となりました。全都道府県で時給800円を超えました。とはいえ平均時給930円で2千時間働いても年収200万円に満たない状況です。最低賃金制度とは 「最低賃金制度」は、最低賃金法に基づ...
連載・職場と労働法

職場と労働法/不利益変更に同意しない、合理性を与えない

実践的に考える職場と労働法不利益変更に同意しない、合理性を与えない就業規則による不利益変更 今回は、就業規則の変更による労働条件の不利益変更の問題を考えます。 コロナ問題の発生から1年以上が経過し、労働条件の不利益変更、特に賃金制度の改悪や手当や退職金の改廃に関連して就業規則の変更が提案されるケースが増えています。もちろんコロナで経営が苦しくなったから当然に就業規則の改悪(不利益変更)が許されるわ...