連載・職場と労働法裁量労働制適用拡大の動きに警戒を 裁量労働制適用拡大の動きに警戒を 厚生労働省は6月25日、「裁量労働制実態調査」の結果を公表。さらに「これからの労働時間制度に関する検討会」を新設して裁量労働制やその他の労働時間制度の在り方について検討する方針を示しました。 18年1月、裁量労働制の適用対象の大幅な拡大を目指す安倍首相が「一般労働者より(裁量制の人の労働時間が)短いというデータもある」と国会で答弁。しかし、根拠とした厚労省の調...2021.09.03連載・職場と労働法
連載・職場と労働法実践的に考える職場と労働法 争議行為と賃金について 実践的に考える職場と労働法 争議行為と賃金について スト参加でマイナス人事評価は不当労働行為 争議参加者の賃金 ストライキに参加した労働者は、スト期間は労務の提供を停止したのですから、この期間中の賃金請求権はないと考えるのが原則です。 賃金請求権は労務の給付と対価関係にあり、労務の給付が労働者自身の意思によってなされない場合は、反対給付である賃金も支払われないというのが原則です。 これがいわ...2021.08.03連載・職場と労働法
連載・職場と労働法実践的に考える職場と労働法 団体行動権(争議権・組合活動権) 実践的に考える職場と労働法 団体行動権(争議権・組合活動権) 正当な争議行為の刑事免責・民事免責を規定 今回から「団体行動」について考えます。団体行動権は憲法28条(団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利)に規定されています。通常、団体行動権は「争議権」として理解されることが多いですが、日常的な組合活動も含まれます。 ストライキやピケッティング、 ボイコットなどの争議行為は...2021.07.01連載・職場と労働法
連載・職場と労働法職場と労働法 労働協約はどのような内容のものか 実践的に考える職場と労働法 労働協約はどのような内容のものか 「覚書」「議事確認書」も労働協約として成立 労働協約の内容 今回は労働協約の内容を考えます。労働組合法は、労働協約の内容について「労働条件その他」と表現しています。①労働条件その他の労働者の待遇などについての諸規定(①は労働組合法上の効力によって協約に反する就業規則や労働契約は無効となり協約の内容に上書きされる)に加え、②労働...2021.06.02連載・職場と労働法
連載・職場と労働法へき地医療機関への看護師等の派遣 医療機関以外への日雇派遣が解禁に へき地医療機関への看護師等の派遣 医療機関以外への日雇派遣が解禁に 今年4月から労働者派遣法の施行令が改定され、へき地の医療機関への看護師等(看護師・准看護師・薬剤師・臨床検査技師・診療放射線技師)の派遣と、社会福祉施設等への看護師の日雇い派遣が解禁された。 これまでも直接雇用への移行を前提とした紹介予定派遣、産休・育休の代替、社会福祉施設や保育園など医療機関ではない施設への派遣はすでに規...2021.06.02連載・職場と労働法
連載・職場と労働法菅政権 入管法改悪やデジタル監視法、改憲投票法など次々に国会に 菅政権 入管法改悪やデジタル監視法、改憲投票法など次々に国会に 緊急事態宣言のさなか菅政権は、人権や日常生活にも影響が大きい法律(極めて反動的な!)法案を次々と繰り出している。 5月11日、改憲をめざした国民投票法の改悪が衆院憲法調査会で採決が強行され、今国会(6月16日まで)の成立が画策されている。 入管法改悪については、多くの人びとの行動やSNSで批判と支援が広がり、やがて大手メディア...2021.06.02連載・職場と労働法
連載・職場と労働法実践的に考える職場と労働法 労働協約の意義と機能 実践的に考える職場と労働法 労働協約の意義と機能 組合委員長と社長のサインで有効な協約に 労働協約は、労働組合法の規定では「労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する規定であって、書面に作成され、両当事者が署名または記名押印したもの」とされています。様式はけっこう重要です。ハンコがなくても組合委員長と社長のサインがあれば労働協約として有効となります。 様式が重視されるのは...2021.04.02連載・職場と労働法
連載・職場と労働法使用者には直接会って誠実に協議する義務がある 実践的に考える職場と労働法 使用者の誠実交渉義務について 使用者には直接会って誠実に協議する義務がある 使用者には、労働者の代表者と誠実に交渉にあたる義務があります。使用者は、たんに労働組合の要求や主張を聴くだけでなく、それらの要求や主張に対しその具体性や追求の程度に応じた回答や主張をなし、必要によっては論拠を示したり、必要な資料を提示したりする義務があります。 さらに使用者には、合意を...2021.03.02連載・職場と労働法
連載・職場と労働法職場と労働法/団体交渉の対象事項 実践的に考える職場と労働法 団体交渉の対象事項 労働条件その他の待遇、労使関係の運営事項が対象 団体交渉の対象事項については、企業として処理可能なことで使用者が任意に応じる限りは、どんなことでも構いません。その上で労働組合法によって使用者に義務付けられている事項(義務的団交事項)は次のようなものです。 ところで義務的団交事項について使用者は「経営権」の主張をしばしば行いますが、法律上「経営...2021.02.03連載・職場と労働法
連載・職場と労働法団体交渉の主体・対象事項・手続 実践的に考える職場と労働法 団体交渉の主体・対象事項・手続 上部団体や下部組織にも団体交渉権がある場合も 団体交渉の主体 団体交渉の当事者は、団体交渉を自らの名において遂行し、その成果としての労働協約の当事者となる者です。労働者側は、単位労働組合および連合団体(上部団体)が当事者となります。 団体交渉の労働者側当事者として、上部団体については、単なる連絡協議機関に過ぎないものは団体交渉...2020.12.25連載・職場と労働法
連載・職場と労働法実践的に考える職場と労働法 ハラスメント 実践的に考える職場と労働法 ハラスメントの多くは職場環境の問題から発生 4月に施行されたパワハラ防止法 労働局の労働相談コーナーでは、職場のいじめ・嫌がらせの相談が増加傾向にある。全国で毎日240人がいじめで労働局に相談に来る。しかし、それでも相談に来る人は被害者のわずか2・2%、氷山の一角なのだ。 厚生労働省の「2016年度職場のパワーハラスメントに関する実態調査」では、過去3年間にパワハラ...2020.12.10連載・職場と労働法
連載・職場と労働法団体交渉の歴史と意義、その機能 実践的に考える職場と労働法 団体交渉の歴史と意義、その機能 個人加入型の地域合同労組にも団体交渉権がある 団体交渉は様々な意義や機能がありますが、もともとは「労働力の集団的取引」という形で始まりました。個々の労働者の労働条件について使用者と個々で取引するのではなくて、多数の労働者が団結して代表者を選出し、その代表者を通じて集合的に取り引きを行うというものです。 こうした集合的・統一的な取り引...2020.10.28連載・職場と労働法
連載・職場と労働法労働組合の結成、組織と運用 実践的に考える職場と労働法 労働組合の結成、組織と運用 直ちに地域合同労組に加入すればユシ協定に基づく解雇はできない ユニオンショップ 労働組合の組織拡大の手段として、組合員であることを雇用の条件とすることで組合加入を強制する協約上の制度をユニオンショップと呼びます。日本では、労働協約を有する労働組合の過半数がユニオンショップ協定(ユシ協定)を結んでいます。大企業になるほどその割合はより高くな...2020.10.02連載・職場と労働法
連載・職場と労働法TDL・成田空港など県内でも解雇激増 TDL・成田空港など県内でも解雇激増 菅政権 コロナ解雇に反撃を 9月に入りコロナ関連の解雇や雇い止めが激増している。コロナ関連の解雇者は6万人を超え、1月約1万人増のペースだ。製造業を中心に宿泊業・飲食業・小売業などの非正規雇用の労働者を直撃している。 解雇はコロナによる「仕方ない」ものではない。菅首相と関係の深い経済専門家デービッド・アトキンソンはテレビ番組で「日本のために中小企業は半分...2020.10.02連載・職場と労働法
連載・職場と労働法労働組合法上の要件と運営について 実践的に考える職場と労働法 労働組合法上の要件と運営について 労働組合の運営は規約と多数決による自治が原則 ◎主体となって 労働組合法が認める労働組合は、労働者が主体となって組織した団体であることが必要です(2条)。「主体となって」とは、労働者が構成員の主要部分を占めること、労働者が組合の運営・活動を主導することと解されています。一部に学生や専従、退職者等が参加していてもまったく問題ありません。...2020.09.02連載・職場と労働法
連載・職場と労働法労働組合法を読む、知る、考える 実践的に考える職場と労働法 労働組合法を読む、知る、考える 刑事・民事免責、不当労働行為救済などを規定 労働組合法を精読した人は意外に少ないと思います。何回かに分けて労働組合法について考えます。 労働3法の一つである労働組合法は戦後直後の45年12月に制定され、実は日本国憲法よりも先にできた法律です。 労働組合に関する法律政策は歴史的には次の4段階を経てきたと労働法の教科書ではまとめられてい...2020.08.03連載・職場と労働法