連載・職場と労働法

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個人申請できる給付制度を新設/感染症対策休業支援金

実践的に考える職場と労働法 労働者個人で申請できる休業補償給付制度を新設  新型コロナウイルスの感染拡大の影響に対応するため法律や制度がどんどん変更されています。いくつか紹介します(最新情報は厚生労働省のウェブサイトなどを参照してください)。 新型コロナ感染症対策休業支援金  事業所を介さず、労働者個人を対象とする新たな給付制度(新型コロナウイルス感染症対策休業支援金)が6月12日に可決・成立しま...
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コロナ禍で焦点あたる雇用保険

実践的に考える職場と労働法 コロナ禍で焦点あたる雇用保険 失業給付を大幅に絞ったため巨額の積立金残高  新型コロナウイルス感染拡大に伴い、雇用調整助成金など雇用保険制度が焦点になっている。今回は雇用保険の仕組みを考えたい。  企業倒産や解雇その他の失業時の所得補償などを行うのが雇用保険だ。再就職できるまでの所得補償という考え方で公共職業安定所(ハローワーク)で職業紹介、斡旋と一体的に行われている...
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感染対策の職場闘争は「闘いなくして安全なし」

実践的に考える職場と労働法 新型コロナ関連の労働問題 続き 感染対策の職場闘争は「闘いなくして安全なし」  緊急事態宣言は5月7日以降も1カ月ほど延長される方向のようだが、その後はある種の〝共存〟政策へ転換することが想定される。「闘いなくして安全なし」の原則的な立場で労働組合としてコロナ感染対策をめぐる闘いが必要となる。その一助として法律問題を検討したい。 安全配慮義務  労働契約法5条は、使用...
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新型コロナウイルス関連の労働問題/実践的に考える職場と労働法

実践的に考える職場と労働法 新型コロナウイルス関連の労働問題 コロナ理由の一方的な雇い止めや内定取り消し×  先月に引き続き、新型コロナウイルス関連の労働問題について検討します。  原則として、使用者の判断で休業する場合は、「使用者の責めに帰すべき事由による」休業となります。  したがって労働基準法の規定により休業手当が請求できます。ですので感染予防や「仕事がない」などの理由であっても使用者から自...
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実践的に考える職場と労働法/コロナ問題 職場での諸要求について

実践的に考える職場と労働法 コロナ問題 職場での諸要求について 厚生労働省「感染者に休業手当を払う必要なし」  コロナウイルスの影響が各職場に広がっています。  感染が判明した千葉在住の20代の労働者は40度の熱が1週間以上続いても中国人との接触がないとの理由で検査を拒まれ、また「簡単には仕事を休めない」と無理して通勤していたと報じています。  会社が出勤停止の措置を取った場合の賃金補償は重要な問...
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通勤手当と通勤災害を考える

実践的に考える職場と労働法 通勤手当と通勤災害を考える 通勤途中の事故やけがは労災保険が適用される  通勤手当の問題は良く相談されます。「正社員には出ているのにアルバイトには支給されない」「高速代が自腹で毎月赤字」「バス通勤で申請していたが自転車で通っていることがばれた」など。  かつて私も都内で派遣労働者として働いた際、品川駅などの集合場所までの交通費が自己負担で往復すると1000円以上になった...
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来年4月に会計年度任用職員制度 再度任用で選別

実践的に考える職場と労働法 来年4月に会計年度任用職員制度 更新上限と公募による再度任用で選別が可能に  来年4月の会計年度任用職員の施行を前に各地で交渉やストライキなどの激しい攻防が起きている。  17年に地方公務員法・地方自治法が改定され、地方自治体において「会計年度任用職員」という働き方が新設されることとなった。1950年に制定された地方公務員法としては70年間で初めて有期雇用の公務員を公式...
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労働者の私的領域や自己決定権 同意なしに録音等は人格権侵害

実践的に考える職場と労働法 労働者の私的領域や自己決定権 本人同意なしに業務の録音等の監視は人格権侵害  使用者の〝指揮命令〟を受けて働いていても生身の人間である労働者には基本的人権がある。職場において私的自由や自己決定権を有していることはいうまでもない。業務上の必要や施設管理上の「制約」とのせめぎ合いになる。組合活動や政治活動だけでなく、個人の私的領域まで幅広く問題になる。  近年は、就労中の服...
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パワハラ防止法、来年4月に施行

 実践的に考える職場と労働法 パワハラ防止法、来年4月に施行 パワハラ定義を初めて法律で規定し防止措置義務  労働相談で「パワハラ禁止法ってないんですか」とよく聞かれるが、今年5月、雇用対策法が改定され、パワハラ防止が法制化された。施行時期は来年4月と思われる(中小企業は2022年4月)。  パワハラについて初めて法律で規定され、その防止をするための措置を講じる義務を企業に課した。  近年、職場の...
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京葉線沿線で街頭アンケート活動

京葉線沿線で街頭アンケート活動 庫・工場街で労働者と対話  暑い夏の真っ盛りの7~8月、ちば合同労組は京葉線の各駅でアンケートとシール投票をメインにした街頭宣伝を行いました。  この取り組みは、〈できるだけ多くの労働者との対話する〉という目的で行いました。韓国・民主労総の非正規労働者の組織化をモデルにした取り組みです。  倉庫や工場の多いエリアである二俣新町駅での約2時間でアンケートに答えてくれた...
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会社が労働者代表を勝手に選出、不正が広がっています

実践的に考える職場と労働法 過半数代表者の選出要件を厳格化 労働基準法の施行規則に新規定 〝使用者の意向で選出された者ではないこと〟  左の新聞記事にある通り、会社が労働者代表を勝手に選出する不正や「名ばかり労働者代表」が広がっています。  なぜこんな問題が起きているのか。安倍首相が「70年ぶりの労働基準法の大改革」と言う「働き方改革」が関係しています。残業代ゼロ制度(高プロ制度)や裁量労働制など...
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介護職の労働条件の現状と課題

実践的に考える職場と労働法 介護職の労働条件の現状と課題 介護保険法に労働法違反で指定取り消しの規定  介護職場は、2000年の介護保険法の施行以降に開設された施設が多く、また要員不足も深刻なため職場環境の改善は大きなテーマです。 労働法規の違反  2016年労働基準監督年報によると、定期監督における違反事業率は、全体平均66・8%と比較して社会福祉施設は73・8%となっています。違反内容は「賃金...
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労働安全衛生法による職場環境

実践的に考える職場と労働法 労働安全衛生法による職場環境 安衛則・事務所則で空調や照明、休憩室・給水・トイレなど規定  労働者が働く事務所(建物・施設)についての衛生基準が労働安全衛生法に基づく労働安全衛生規則及び事務所衛生基準規則で定められています。  工場などは別の基準がありますので、今回は、危険物や有害物を取り扱わない事務所の衛生基準を考えます。 換気・室温  労働者が作業を行っていると室内...
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年5日の年次有給休暇(年休)を労働者に取得させることが使用者の義務

実践的に考える職場と労働法 有給休暇5日取得の義務化 義務違反は1人1罰で最大30万円の罰金  「働き方改革」関連一括法によって労働基準法が改定され、年5日の年次有給休暇(年休)を労働者に取得させることが使用者の義務となりました。年休が10日以上付与される労働者が対象です。有期雇用労働者や管理監督者も対象となります。  使用者は、労働者ごとに年休を付与する基準日(労働者ごとに日が違うと管理が大変な...
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実践的に考える職場と労働法/4月1日から新36協定制度始まる

実践的に考える職場と労働法 4月1日から新36協定制度始まる 労働時間をめぐり新たな闘いの局面に  4月から「働き方改革関連法」の施行が始まります。同一労働同一賃金などをめぐり労働者にとって重大な〝変化〟が予想されますが、なかなか幅広いテーマでもあり今後の課題とし、今回は「36協定」に絞って考えたい。  世間では「新36協定」と言われています。大企業では今度の4月から、中小企業では1年の猶予期間を...
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36協定の効力と職場代表選挙

実践的に考える職場と労働法 36協定の効力と職場代表選挙 36協定締結は労働者側の意向で決めるべき問題  多くの職場では年度末に職場代表選挙が行われます。  労働基準法は、時間外・休日労働を原則として禁止しています。職場の過半数組合(ないときは過半数代表者)と書面による協定をし、これを労働基準監督署長に届け出た場合には、協定で定めるところにより労働時間を延長し、または休日に労働させることができるよ...