連載・職場と労働法

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実践的に考える職場と労働法 ハラスメント

実践的に考える職場と労働法 ハラスメントの多くは職場環境の問題から発生 4月に施行されたパワハラ防止法  労働局の労働相談コーナーでは、職場のいじめ・嫌がらせの相談が増加傾向にある。全国で毎日240人がいじめで労働局に相談に来る。しかし、それでも相談に来る人は被害者のわずか2・2%、氷山の一角なのだ。  厚生労働省の「2016年度職場のパワーハラスメントに関する実態調査」では、過去3年間にパワハラ...
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団体交渉の歴史と意義、その機能

実践的に考える職場と労働法  団体交渉の歴史と意義、その機能 個人加入型の地域合同労組にも団体交渉権がある  団体交渉は様々な意義や機能がありますが、もともとは「労働力の集団的取引」という形で始まりました。個々の労働者の労働条件について使用者と個々で取引するのではなくて、多数の労働者が団結して代表者を選出し、その代表者を通じて集合的に取り引きを行うというものです。  こうした集合的・統一的な取り引...
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労働組合の結成、組織と運用

実践的に考える職場と労働法  労働組合の結成、組織と運用 直ちに地域合同労組に加入すればユシ協定に基づく解雇はできない ユニオンショップ  労働組合の組織拡大の手段として、組合員であることを雇用の条件とすることで組合加入を強制する協約上の制度をユニオンショップと呼びます。日本では、労働協約を有する労働組合の過半数がユニオンショップ協定(ユシ協定)を結んでいます。大企業になるほどその割合はより高くな...
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TDL・成田空港など県内でも解雇激増

TDL・成田空港など県内でも解雇激増 菅政権 コロナ解雇に反撃を  9月に入りコロナ関連の解雇や雇い止めが激増している。コロナ関連の解雇者は6万人を超え、1月約1万人増のペースだ。製造業を中心に宿泊業・飲食業・小売業などの非正規雇用の労働者を直撃している。  解雇はコロナによる「仕方ない」ものではない。菅首相と関係の深い経済専門家デービッド・アトキンソンはテレビ番組で「日本のために中小企業は半分消...
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労働組合法上の要件と運営について

実践的に考える職場と労働法 労働組合法上の要件と運営について 労働組合の運営は規約と多数決による自治が原則 ◎主体となって  労働組合法が認める労働組合は、労働者が主体となって組織した団体であることが必要です(2条)。「主体となって」とは、労働者が構成員の主要部分を占めること、労働者が組合の運営・活動を主導することと解されています。一部に学生や専従、退職者等が参加していてもまったく問題ありません。...
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労働組合法を読む、知る、考える

実践的に考える職場と労働法 労働組合法を読む、知る、考える 刑事・民事免責、不当労働行為救済などを規定  労働組合法を精読した人は意外に少ないと思います。何回かに分けて労働組合法について考えます。  労働3法の一つである労働組合法は戦後直後の45年12月に制定され、実は日本国憲法よりも先にできた法律です。  労働組合に関する法律政策は歴史的には次の4段階を経てきたと労働法の教科書ではまとめられてい...
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個人申請できる給付制度を新設/感染症対策休業支援金

実践的に考える職場と労働法 労働者個人で申請できる休業補償給付制度を新設  新型コロナウイルスの感染拡大の影響に対応するため法律や制度がどんどん変更されています。いくつか紹介します(最新情報は厚生労働省のウェブサイトなどを参照してください)。 新型コロナ感染症対策休業支援金  事業所を介さず、労働者個人を対象とする新たな給付制度(新型コロナウイルス感染症対策休業支援金)が6月12日に可決・成立しま...
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コロナ禍で焦点あたる雇用保険

実践的に考える職場と労働法 コロナ禍で焦点あたる雇用保険 失業給付を大幅に絞ったため巨額の積立金残高  新型コロナウイルス感染拡大に伴い、雇用調整助成金など雇用保険制度が焦点になっている。今回は雇用保険の仕組みを考えたい。  企業倒産や解雇その他の失業時の所得補償などを行うのが雇用保険だ。再就職できるまでの所得補償という考え方で公共職業安定所(ハローワーク)で職業紹介、斡旋と一体的に行われている。...
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感染対策の職場闘争は「闘いなくして安全なし」

実践的に考える職場と労働法 新型コロナ関連の労働問題 続き 感染対策の職場闘争は「闘いなくして安全なし」  緊急事態宣言は5月7日以降も1カ月ほど延長される方向のようだが、その後はある種の〝共存〟政策へ転換することが想定される。「闘いなくして安全なし」の原則的な立場で労働組合としてコロナ感染対策をめぐる闘いが必要となる。その一助として法律問題を検討したい。 安全配慮義務  労働契約法5条は、使用者...
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新型コロナウイルス関連の労働問題/実践的に考える職場と労働法

実践的に考える職場と労働法 新型コロナウイルス関連の労働問題 コロナ理由の一方的な雇い止めや内定取り消し×  先月に引き続き、新型コロナウイルス関連の労働問題について検討します。  原則として、使用者の判断で休業する場合は、「使用者の責めに帰すべき事由による」休業となります。  したがって労働基準法の規定により休業手当が請求できます。ですので感染予防や「仕事がない」などの理由であっても使用者から自...
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実践的に考える職場と労働法/コロナ問題 職場での諸要求について

実践的に考える職場と労働法 コロナ問題 職場での諸要求について 厚生労働省「感染者に休業手当を払う必要なし」  コロナウイルスの影響が各職場に広がっています。  感染が判明した千葉在住の20代の労働者は40度の熱が1週間以上続いても中国人との接触がないとの理由で検査を拒まれ、また「簡単には仕事を休めない」と無理して通勤していたと報じています。  会社が出勤停止の措置を取った場合の賃金補償は重要な問...
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通勤手当と通勤災害を考える

実践的に考える職場と労働法 通勤手当と通勤災害を考える 通勤途中の事故やけがは労災保険が適用される  通勤手当の問題は良く相談されます。「正社員には出ているのにアルバイトには支給されない」「高速代が自腹で毎月赤字」「バス通勤で申請していたが自転車で通っていることがばれた」など。  かつて私も都内で派遣労働者として働いた際、品川駅などの集合場所までの交通費が自己負担で往復すると1000円以上になった...
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来年4月に会計年度任用職員制度 再度任用で選別

実践的に考える職場と労働法 来年4月に会計年度任用職員制度 更新上限と公募による再度任用で選別が可能に  来年4月の会計年度任用職員の施行を前に各地で交渉やストライキなどの激しい攻防が起きている。  17年に地方公務員法・地方自治法が改定され、地方自治体において「会計年度任用職員」という働き方が新設されることとなった。1950年に制定された地方公務員法としては70年間で初めて有期雇用の公務員を公式...
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労働者の私的領域や自己決定権 同意なしに録音等は人格権侵害

実践的に考える職場と労働法 労働者の私的領域や自己決定権 本人同意なしに業務の録音等の監視は人格権侵害  使用者の〝指揮命令〟を受けて働いていても生身の人間である労働者には基本的人権がある。職場において私的自由や自己決定権を有していることはいうまでもない。業務上の必要や施設管理上の「制約」とのせめぎ合いになる。組合活動や政治活動だけでなく、個人の私的領域まで幅広く問題になる。  近年は、就労中の服...
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パワハラ防止法、来年4月に施行

実践的に考える職場と労働法 パワハラ防止法、来年4月に施行 パワハラ定義を初めて法律で規定し防止措置義務  労働相談で「パワハラ禁止法ってないんですか」とよく聞かれるが、今年5月、雇用対策法が改定され、パワハラ防止が法制化された。施行時期は来年4月と思われる(中小企業は2022年4月)。  パワハラについて初めて法律で規定され、その防止をするための措置を講じる義務を企業に課した。  近年、職場のい...
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京葉線沿線で街頭アンケート活動

京葉線沿線で街頭アンケート活動 庫・工場街で労働者と対話  暑い夏の真っ盛りの7~8月、ちば合同労組は京葉線の各駅でアンケートとシール投票をメインにした街頭宣伝を行いました。  この取り組みは、〈できるだけ多くの労働者との対話する〉という目的で行いました。韓国・民主労総の非正規労働者の組織化をモデルにした取り組みです。  倉庫や工場の多いエリアである二俣新町駅での約2時間でアンケートに答えてくれた...