昨年の千葉管内の熱中症労災は過去最多
近年の夏の暑さは、もはや労働者の命と健康を脅かす深刻な「自然災害」の域に達している。気象庁の長期予報では、今夏も全国的に平均気温が高く、最高気温が40度を超える「酷暑日」の到来が懸念される。
気象専門家等からは、台風などの自然災害と同様に、状況に応じた活動中止の手順をも検討すべきとの指摘もなされている。私たちは過去の古い常識を捨て、猛暑を明確な労働災害のリスクとして捉え直すことが必要だ。
身近な職場の問題としても深刻であり、千葉労働局管内における昨年の熱中症労災による休業4日以上の死傷者数は、前年比で6割以上も増え、過去最多の78件を記録した。その8割以上が7月と8月に集中し、建設業や製造業をはじめ広範な業種において、特に50歳以上の高年齢労働者を中心に多発している。
JR東日本の幕張車両センターでは昨年6月、再々委託でスポット雇用(タイミー)の労働者が猛暑の中で死亡する労災事故が発生した。
持病を抱えるベテラン層から経験の浅い20代の若手層にいたるまで、一歩間違えれば誰もが犠牲になり得る状況だ。また、昨今増加している単発のスポット労働者についても、安全教育の行き届かないまま過酷な環境に置かれるリスクが懸念されている。
この緊迫した状況下において、熱中症対策を「水分補給の徹底」などの労働者個人の心がけや自己責任の問題へと帰結させてはならない。労働者が健康かつ安全に働ける環境を整えることは、労働安全衛生法に基づく企業の厳格な法的義務である。

職場における対応
最新の「職場における熱中症防止のためのガイドライン」(厚生労働省)では、事業者が講ずべき措置が法定義務として具体化された。
労働安全衛生規則の条文(第612条の2)に基づき、万が一の体調悪化時に作業から即座に離脱させ、身体を冷却し、救急搬送などを行うための「緊急時手順」をあらかじめ策定し、現場の隅々にまで周知することが企業に義務づけられている。
もちろん形式的なマニュアルだけで労働者の命が守られるわけではない。実態に即した職場環境の改善を労働組合として求める必要がある。
体調不良を訴えた労働者を休憩室などに孤立させ、結果として容体が悪化するといった誤った対応がなされていないか。あるいは、訪問先や客先でトイレを借りづらいという理由から労働者が自発的に水分補給を我慢せざるを得ないような状況ではないか。現場の指揮命令系統や作業計画のレベルで、組織的な対策に取り組む必要がある。

組合で声あげよう
国の指針では、熱中症対策を進めるにあたり「衛生委員会などの労使の話し合いの場を活用し、労働者の意見を反映させながら進めること」と明記されている。
現場ごとにJIS規格に適合した暑さ指数(WBGT)計が設置され正しく実測されているか、異変を早期に察知し合える見守り体制などが機能しているか、そして何よりも、体調に異変を感じたときに「休みたい」「作業を止めたい」と躊躇なく言える職場環境があるかを、いま一度点検する必要がある。
熱中症は、適切な作業環境と防暑措置を講じさえすれば防ぐことができる労働災害である。
労働組合として労働者の命と健康を守るために真摯に声を上げ、会社に対して適切な対応と改善を求めたい。
ちば合同労組ニュース 第192号 2026年7月1日発行より

