映画紹介 『信さん・炭坑町のセレナーデ』

映画『信さん・炭坑町のセレナーデ』

n0061_03_02a『信さん・炭坑町のセレナーデ』という映画を観た。福岡の炭坑町が舞台で昭和38年(1963年)から8年間を描く。『フラガール』九州版といった感じでもあるが、ちょっと辛口な映画だ。

主人公はマモルという東京から福岡の炭坑町にやってきた小学生。母の故郷に2人で戻ってきた。襟付きの服を着て坊主頭でないマモルはいかにも東京の子で学校で浮く。そんなマモルがいじめられているのを信さんが助けてくれる。
信さんは早くに両親をなくし、炭坑で働く叔父夫婦に引き取られ、いつも疎まれ厄介者の扱いを受けていた。そんな信さんにやさしく接するマモルの母・美智代。この事件をきっかけに信さんはマモルの母に恋をする。

信さんの淡い恋や在日朝鮮人のリー・ヨンナムとの友情、信さんの妹・美代……しかし炭坑では指名解雇をきっかけに住民の対立が始まっていた。労働者の闘いを暴力団や警察が押しつぶす。これは三井三池争議がモデルで実際に跡地でロケもしている。映画ではスト破りにヨンナムの父親の姿があり、労働者たちがショックを受けるシーンもある。

『フラガール』はハワイアンセンターの成功物語に仕上げられていたが、この映画はちょっと違う感じだ。友情や家族愛の描き方もテンションが違う。ハワイアンセンターもできないし、炭塵爆発事故で信さんは死ぬ。最後はマモル母子も就職を機に炭坑町を離れる。寂しさが漂う映画ではある。
しかし炭坑町の人びとに対する眼差しは、『フラガール』よりも共感した。原作もあるので一度読んでみようか。(S)

ちば合同労組ニュース 第61号 (2015年8月1日発行)より

労働法「危機」の時代-労働学校・奧貫さん講演

労働法「危機」の時代

労働学校・奧貫妃文さん講演

昨年に続く、大学の教壇から見える風景からお話しを展開する奧貫さん。10代の学生たちを前に、安保・戦争・労働法が切迫した状況にあることを伝えるそうだ。でも、「安保、戦争って何?」という反応がほとんどだと。「ブラック企業」「ブラックバイト」という言葉がすごく流行し、バイトでの相談も多い。しかし、「自分がひどい目にあわないように」「自分さえよければ良い」という立場では、世の中の批判には向かないのだという。

奧貫さんは続けて、国会で審議されている労働法制の大改悪への警鐘を鳴らす。
残業代ゼロ法、派遣法改悪、解雇の金銭解決制度、生活困窮者自立支援法…。一つ一つが重大な問題。この説明のなかで「長時間、労働者を労働現場にしばりつける、無批判、思考させないような社会にしようとしている」という言葉は的を射ていた。戦前より、ひどい労働環境が広がっている。安保法制も労働法も本質的な部分では同じ。ひとつのものとして今の時代に登場しているととらえることが大事だという。

講義の最後に、あるエピソードが出された。外国語講師Aさんの雇い止めに対し、大学当局が講義を非組の講師がもつ講義を受講せよと圧力をかけた。
それでも「A先生の講義を受けたい」と受講する学生。さらに、別の語学講師が、「雇い止めはおかしい」とストライキに立ち上がったという。「大学はまだまだ捨てたものではない」。奧貫さんは語気を強めた。

孤立させられ、自己責任という価値観を突破した先に、労働組合、団結がある。戦争と貧困、孤立を強制する社会に立ちむかう労働組合が求められている。(K)

次回実践編は関西生コン支部

n0061_04_01a 次回の労働学校実践編(8月22日)は、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部のお話です。生コン関連産業を中心に組織する労働組合で、数年前に大手ゼネコンを相手に139日のゼネスト。大阪駅前の再開発もストップしました。
この間は、生コン業界を超えて「清掃・産廃」「医療・介護」「サービス・製造・食品」など様々な産業で労働組合を結成しています。資本と国家権力の激しい弾圧を打ち破って労働組合をつくってきた、本当に貴重な経験を聞く機会です。

ちば合同労組ニュース 第61号 (2015年8月1日発行)より

UAゼンセン知っていますか?

UAゼンセン知っていますか?

政府・与党が残業代ゼロ法案の今国会成立を断念したとニュースで言っていました。安保関連法案がギリギリでそれどころではないようです。派遣法改悪案も微妙な情勢です。
安倍政権の本命は憲法9条です。しかし反対が多く無理とみるや今度は改正手続きを定めた96条を狙いました。これも批判が厳しく断念。結局、昨年7月に集団的自衛権を閣議決定し、今国会で安保法案を強行採決しているのです。
ものすごい反対の声が起きています。街中でプラカードを持っている人を見かけました。東大や早稲田で100人規模の集会が行われたそうです。国会前に10万人が集まりました(1面写真)。世論調査でも不支持と支持が逆転しました。

そんな中、安倍首相が日本最大の労働組合UAゼンセンの会長と官邸で2時間も極秘会談を行ったことがニュースになりました。安倍首相は労働組合が大嫌いじゃないのか? 実はUAゼンセンは〈愛国・改憲・原発〉を掲げる組合なのです。

UAゼンセンは、労働争議が発生すると経営者と話を付けてユニオン・ショップ協定を結び、UAゼンセンに入らない従業員は解雇されると脅して組合に加入させ労働争議をつぶす手法で大きくなってきました。産経新聞労組もUAゼンセン傘下です。
でもほとんど組合員がUAが改憲賛成って知らないと思います。ちゃんと問題にしないとダメですね。(U)

ちば合同労組ニュース 第61号 (2015年8月1日発行)より

【編集後記】ちば合同労組ニュース第61号(2015年8月1日発行)より

先日、青年部のレクレーションでボーリング大会を行いました。ガター続出でしたが、久しぶりにリフレッシュできました。たまには体を思いっきり動かして楽しむのもよいものですね。今度はフットサルでもやりたいね、なんて声もあがっています。われこそはという方を募集しています。(A)

安保法制が参議院審議入りしました。連日、炎天下の国会前に全国から抗議をするため幅広い人びとが集まっています。安倍の支持率も急落。戦後70年の今夏が正念場です。8・6(広島)、8・15東京(錦糸町)へ青年部を先頭に行動しましょう。(K)

ちば合同労組ニュース 第61号 (2015年8月1日発行)より

国会で進行する事態と日常 いま私たちに求められているもの

国会で進行する事態と日常

いま私たちに求められているものは

n0060_01_01a 戦争へ向かってまっしぐらに突き進んでいる。国会ではおよそ考えられないような事態が進行しているが、茶の間にワイドショーでとりあげられるほど、どこか対岸の火事のような感じがしてくる。
政治の場で何が起こっていようと、このつまらない日常は変わることがない。ほとんどの人はそう思っているのかも知れない。

悪くなることこそあれ、暮らし向きが良くなることなどないと思いながらも忍従するほかないと感じている。けれどその先に戦争があるなんて現実感もない。
自分がいまどこでどう生きているのか分からない。何のために生きているのかも分からない。見えないカゴに入れられ誰かに飼われているような気がする。
目立たずに平穏に暮らしたい。でも生きた証しを残したいという気持ちもある。そしてある日突然、やるべき使命として戦争が提示される。
けれど日常から遠いところで扇動しているだけならまだ労働者の心を掴むことはない。問題はこれが日常に持ち込まれたときだ。
日本最大の労組(UAゼンセン/140万人)は徴兵制を敷けと主張している。こういうイデオロギーが職場に持ち込まれたときに何が起きるのか? 歴史は繰り返されてしまうのか?
職場の中の労働者は自分たちの権利のことなど知らされず、上が言えば黙って従うしかないと思っている。長いものには巻かれろ、労働者には力なんてないと。こういう空気感というか共通感覚とでもいうものに対抗しなければならない。

労働者が歩んできた闘いの歴史、いま置かれている状況、自分たちが本当は持っている力を知ることが重要だが、そういうものはどこか他所から与えられるものではなく、労働者自身の内にある。
戦後、雨後の筍のように次々と労働組合が作られたように、労働者は誰に教わることもなく本能的に立ち上がるものだ。
労働者を外に対置しないで、徹底的に大衆討議をし、団結していく姿勢が、いま私たちに求められていることではないか。(A)

ちば合同労組ニュース 第60号 (2015年7月1日発行)より
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新たな〝ちば合同労組を〟

ちば合同労組が設立当初から掲げていた組合員のそれぞれの職場に分会をつくるという目標が着実に実現される展望が生み出されています。
ちば合同労組の多数の分会とちば合同労組が関わって結成された労働組合が共同で千葉の労働運動の流れに一石を投じる状況が始まっています。
国鉄分割・民営化以降も28年間にわたり闘いを継続してきた動労千葉と共に闘おうを合言葉にしてきましたが、その真価が問われる段階に入っています。
秋の定期大会に向かって今まで以上の行動力をもった若々しい団結の力で新しいちば合同労組をつくろう!

ちば合同労組ニュース 第60号 (2015年7月1日発行)より

公開講座 「安倍政権が狙う労働規制緩和」講師 奧貫妃文さん

公開講座 「安倍政権が狙う労働規制緩和」

講師 奧貫妃文さん(大学講師・労働法)

n0060_02_01a奧貫さんの教え

暑い夏が始まりました。昨年、「すき家スト」の熱が醒めやらない中、刺激的な労働学校の講義がありました。奧貫妃文さんの講演です。
「私たちのポリシーは合同労組にありがちな“ひとりでも入れる労働組合”を標榜しないことです」「もちろん個人加盟の組合員もいますが、あくまでも『職場の団結』『職場の組織化』こそ労働組合が優先すべきことです」

このフレーズを聞けば、思い出す人もいるだろう。あれから一年――。社会情勢は一変しました。私たち組合員自身も色々 な経験を重ねてきました。昨年より、グレードアップした労働学校になる期待大です。

労働法制の転換

派遣法改悪法をはじめ労働法制の大改悪が始まっています。“3年で解雇され続ける社会”これが安倍の言う「世界一ビジネスしやすい国」です。奧貫さん自身の職業である大学講師(非常勤講師)も、4、5年の任期を3年に変えられているそうです。これからの時代に立ち向かう労働運動を考えるうえで、これ以上ない機会です。

団結はアートだ

労働組合とは、こぶしを振りあげるだけではなく、一人ひとりの意見を大事に、個性と自主性を尊重し、お互いを豊かにする。こういう考え方が奧貫さんのモットー。
だからこそ、境遇の異なる多国籍の外国人労働者や女性たちから信頼をかちえています。私たちの持つ“狭いあり方”をもう一つ広げる意味でも多彩で刺激的な講義になると思います。(K)
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公開講座(労働学校実践編)

 労働法と労働組合のはなし

講師:

田中康宏(動労千葉委員長)

奥貫妃文(大学講師・労働法)

日時: 7月11日(土)13時~ DC会館2階(JR東千葉駅前)

ちば合同労組ニュース 第60号 (2015年7月1日発行)より

新基地建設反対 沖縄県民大会に参加

新基地建設反対 沖縄県民大会に参加

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沖縄の本土復帰から43年となる5月16~17日と沖縄に行ってきました。日米両政府は辺野古に新たな基地を建設しようとしています。17日には辺野古新基地建設に反対する県民大会が行われ、多くの労働者・市民・学生が沖縄に集まりました(発表3万5千人)。

沖縄のほとんどを占める米軍基地。事故や事件が絶えない沖縄…。青年のほとんどが非正規で働き…学生は学費を払うためにダフルジョブ…。
那覇市にある国際通りでのデモでは、たくさんのビラが受け取られ、話になり、デモに合流してくる青年もいた。〈非正規職撤廃! 基地撤去! 解雇撤回! 人間らしく生きていこう!〉の訴えに共感を得られたと感じることができたデモでした!

県民大会では6・7国鉄集会を訴える宣伝紙を配ったり、韓国のゼネストを報じる新聞をまいたりしました。
国鉄1047名解雇撤回を訴える署名と、沖縄の仲宗根君の解雇撤回を求める署名も集めました。
沖縄のおばあが、「いま声をあげなければまた沖縄が犠牲になって戦争になる。沖縄だけで止まるとは思えない。子や孫のためにわったーは命を懸けて行動するさー」と言っていました。
戦争を止めるため、命を守るため、誇りをもって生きていくための怒りの声が、全国の闘いが辺野古新基地建設反対の闘いとひとつになって、県民大会で爆発している! と確信することができました。

労働組合が先頭になって戦争反対の闘いを今こそ行わなければならない。戦前、労働組合が戦争に加担してきたから戦争は止められなかった。解雇もされてきた。
安倍政権は本気で戦争をやろうとしている。絶対に止めなければならない。
自分の職場でできることから始めていこう。戦争立法に対してどう思うと話をしてみよう。その一歩が戦争を止める最大の力です。(F)

ちば合同労組ニュース 第60号 (2015年7月1日発行)より

連載・介護労働の現場から 〈26〉 相談窓口

連載・介護労働の現場から 〈26〉

相談窓口

会社都合で解雇できないとなると雇用関係の助成金なのだろう。
介護事業は、国から介護保険サービス指定業者として許可を受けている。

私が会社都合で退職して何らかの是正勧告とかを受けると、絶対まずい、そういう危機感を社長がもっている。労組をつくり解雇撤回闘争をやった挙句、施設をつぶすという選択肢もあるなと、ちらっとアタマをかすめた。
でも、そんな弱みをぽろっと言ってしまう甘ちゃん社長にそれほど憎しみはない。これまで、直訴すれば、数々の労働条件を飲んでくれた。労務整備が不備なままフランチャイズを始めてしまったのだ。働いている労働者がどんな気持ちなのかも教えてあげなきゃと思った。

「ケガで仕事ができないから即クビ、管理者は自分のことしか考えていない。私の立場からいえば、ケガしてるだけでもつらいのに、働けないから給料入らない、病院代はかかる…、三重苦ですよ」
「それに、自己都合で退職届を書いたとしても、その本当の理由がケガだと、その退職届は無効です。解雇理由がケガや病気というのはありえません」
法的に無効かどうかわからなかったが、人権の立場から判断すれば、無効だ。
社長との話し合いは平行線に終わり、家に帰って労働基準監督署とか、県の労働相談窓口に電話相談をした。どちらも混み合っていて長く待たされた挙句、答えは「それは退職勧奨にすぎないので辞めなきゃいいんです」だけだ。
もう辞めたいから、会社都合にする方法や法的根拠を教えてくれと言ったのに、専門家は紋切り型の返事しかしない。

辞めないで、このままケガのまま出社しても、会社休んでも、代わりの人が働いていて、管理者に追い返される。追い返されたら、施設に向かってハンドマイクで解雇撤回運動…、いや、自宅近くでそんなことやって、近所中に知れ渡りウワサの種になる。
リスクを考えたら、時間とカネの無駄だ。社労士、弁護士とか労組とかの連中も合理的な解決にはならないと思った。
n0060_03_01a 生活防衛上の損得からいえば、退職日までは有給支給と傷病手当金が給料の代わりになる。退職日からすぐ雇用保険が支給されれば困ることがない。
相談するのは労組なんかではなくハローワークだと思った。受給適用課に行った。窓口はお笑い芸人風だったが、すぐこちらの立場を理解してくれて、「ケガしてクビにするなんてひどい会社だ。ケガ退職は〈特定理由退職〉と言って、雇用保険の待機期間はありません。会社都合と同じ扱いです」ときっぱり。いいね、労基署より頼りになる。
「でも、受給するためには雇用期間が足りません。」
そんなはずはない。
(あらかん)

ちば合同労組ニュース 第60号 (2015年7月1日発行)より

安保法制―労働組合がいかに闘うかがカギ!

安保法制―労働組合がいかに闘うかがカギ!

「戦争国会今すぐ閉会!」「安倍は退陣!」連日、日本中でデモや集会が開催され、多くの人びとが安保国会への危機感と怒りを燃やしています。

憲法学者の「違憲」表明を契機に、一気に潮目が変わってきました。
6月24日、国会包囲に3万人が集まり、全国的に若者や年配者まで、それぞれの言葉で安倍に“NO!”の声を上げはじめました。安倍の支持率は低下、自民党や維新の中に動揺が走っています。みんなが立ち上がれば、戦争法は葬り去ることができる。

この中で、作家の百田直樹が「沖縄の2紙を潰さないといけない」と発言しました。百田は、NHK経営委も経験してきたメディアに精通している人物。
沖縄の地元紙は、労働者が労働組合や地域に組織され、沖縄の労働者民衆に密着した独特のメディアをつくっています。5月17日に開催された県民大会もマスコミ労働者の大活躍がありました。だから、百田発言は「労働組合を潰せ!」と言っているに等しい意味を持っています。

原爆投下から70年目の8月6日、広島。この日、改憲派の集会企画に抜擢された櫻井よし子が行う講演の演題は、「反核平和70年の失敗」。戦後一貫して、労働組合を中心に闘われてきた反戦平和運動が“失敗”で、UAゼンセンのように「核や徴兵制を容認する労働組合になれ」とでも言うのだろうか。沖縄や広島をはじめ、労働組合がいかに闘うかが問われる夏になります。(G)

ちば合同労組ニュース 第60号 (2015年7月1日発行)より

書評『沈みゆく大国アメリカ〈逃げ切れ!日本の医療〉』

『沈みゆく大国アメリカ〈逃げ切れ!日本の医療〉』

市場原理が徹底した介護の実態

n0060_04_01a 5月に出版された『沈みゆく大国アメリカ〈逃げ切れ!日本の医療〉』(堤未果著)を読んだ。

米国の老人医療や介護産業の実態などを暴露し、医療と介護をビジネスにするモンスター「医産複合体」が次に狙うのは日本の医療と介護だ、と警告を発している。
米国の医療費は総額2・8兆㌦(200兆円)。製薬会社と保険会社、そしてウォール街が結託する「医産複合体」は、病気を抱える弱い立場の人々を標的に天文学的な収益を上げている。
日本のような国民皆保険制度がない米国では医療や介護には莫大な費用がかかる。
盲腸手術200万円、ケガで一針縫って30万円……。
近年、投資家のビジネスの種になっているのが介護産業だ。日本同様、第2次大戦直後に生まれたベビーブーマー世代が高齢期を迎え民間老人ホームの需要を爆発的に押し上げているのだ。

米国の介護の実態

市場原理が制圧した介護職場の恐るべき実態とは?
全米500カ所以上の施設を持つある大型チェーンの老人ホーム。
施設の最大の特徴は、介護スタッフが最低以下の人数に抑えられており、時給は平均5・5㌦(600円程度)。一晩で50人以上の高齢者を1人の介護スタッフがみることも日常茶飯事。死亡・虐待事件で訴えられるのも頻繁という。
米国における高齢者介護施設は、営利企業であっても、建設から設備投資、施設内でのサービスから介護関連機器まで莫大な政府補助を受けることができる。このため民間老人ホームが乱立され、それが頭打ちになると、今度はウォール街の銀行と投資家が利権のにおいをかげつけた。

投資家たちの手口

投資家が率いる持ち株会社が医療法人チェーンを設立し、地域の介護施設や老人ホーム、診療所や中小病院をまとめて買収して傘下に入れてショッピングモールのように統合する。彼らの目的は資産価値を高めて株主利益を増やすことだ。
病院では、利益率が低くて医療事故のリスクが高い小児科や産婦人科、救急部門は次々に廃止する。逆に、人工透析や緩和ケアなど儲かるところを充実させるのだ。
老人ホームでは、①スタッフ削減、②給与削減、③入居者の回転率を速める――この3つを徹底的に推進することで事業の資産価値を高める。そして約5年で施設を売却し多額の売却益を得るのだ。
日本でも優良老人ホームのM&A(企業売買)が活発になってきている。以前、村上ファンドの村上世彰が高級老人ホームを買収したことがニュースになっていた。
日本でも政治家や地域ボス、建設業界が福祉利権に群がる構図があるが、それが牧歌的に思えるような重大かつ深刻な状況が迫っているのかもしれない。
――そんな感想を持ちました。介護労働運動からも世の中の核心が見えるのかもしれません。(S)

ちば合同労組ニュース 第60号 (2015年7月1日発行)より

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