「自爆営業」は違法です!

労働組合に入って立ち上がろう!

2014年11月

 11月2日、動労千葉が呼びかける労働者集会に5700人が集まり、外注化・民営化、非正規職化反対の声をあげました。安倍政権は秋の臨時国会で、労働者の総非正規職化をもたらす派遣法改悪・残業代ゼロ法を成立させようとしています。今こそ労働者の団結した力で解雇自由・労働規制緩和に反撃しよう。

私たち、ちば合同労働組合は、動労千葉とともに千葉地域でつくる合同労組(ユニオン)です。私たちは千葉県下で、次々と労働組合を結成しています。ゼンショー・すき家をはじめ「ブラック企業」で勇気をもって労働組合を立ち上げた組合員もいます。ぜひ郵政職場でも闘う労働組合をつくりましょう。

「自爆営業」は違法です!

今年も郵政職場で、年賀はがきのノルマ営業がはじまっています。昨年、郵政の「自爆営業」の実態が社会的に明らかにされ、大問題になりました。埼玉の郵政職場では、自爆年賀で労働者が自殺に追い込まれ、遺族が裁判を起こしています。これは殺人です!
もはや「慣習の」ようになっていますが、営業ノルマの強制は拒否できます。労働組合をつくれば、自爆営業はやめされられます。郵政職場でも労働相談をおこなっています。

介護労働の現場から〈18〉とうとう腰痛

介護労働の現場から〈18〉
2014年11月01日

とうとう腰痛

井村さんは入居2カ月過ぎるとガンの痛みが強くなり食が進まなくなった。家族は再三の連絡にも応じず、やっと来所したかと思うと「(痛いのは)寝違えたんでしょ」「こんど寿司食いに行こうか」と能天気。寝違えただけで体全体痛くはならない、ミキサーでムース状にしてやっと数口の病人が寿司なんて喰えるかと言い返したいところをぐっとこらえて説得し、病院診察をお願いする。
これまでにスタッフは井村さんの精神状態の回復に合わせながら、ベッドで寝たきりだった井村さんを車いすに乗せる、トイレ、食堂の椅子に移動する試みを重ねてきた。痛みの少ない日は浴槽の入浴もした。井村さん自身も本来の明るくて快活なところを発揮し、みんなの人気者になり、得意の美空ひばりをカラオケに合わせて歌い、踊りの振り付けを上半身だけで披露した。
でも、家族はこれまで面会に1回30分足らず来所しただけで、そのときの井村さんしか知らない。もう治ってきたと思っている。しかし毎日看てきたスタッフが医療が必要だと判断しているのだ。
責任者が「看取り介護はやっていませんので」とお願いして、やっと病院に行けることになった。井村さんは帰ってこなかった。入院し1週間で亡くなった。家族に対する3か月分50万足らずの入所費用の回収はなんと1年かかったそうだ。未払いで赤字になると責任者はスタッフに経費節約宣言、光熱費、ティッシュや、調味料の量などをうるさく言ったり、サービス残業させようとする。
そのころ私は、介護職経験6カ月にして腰から腿にかけて痛くなり、休んでも回復せず、身体介護がきつくなった。大柄な井村さんの移動の介助が原因だと思われた。整形外科に行くと、「坐骨神経痛」「ヘルニア」と診断が定まらない。医者は加齢や介護職などを理由にして詳しく診察しようとしない。力石は「誰だって腰痛持ちだよ、この仕事は。大丈夫、大丈夫」と聞き流す。でも痛いのだ。寝ていても痛い。介護職というのは、自分の身体までも犠牲にして尽くさなければならないのか。辞めようこんな仕事と思ったが、待てよ、仕事で腰を痛めたのだから、労災ではないのか?と思った。
医者に労災の診断書を依頼したら、「介護など重量物を扱う仕事で、徐々に腰を痛めた場合というのは、事件性がないから労災は認められないみたいだよ」と言う。事件性? まるで警察が市民の訴えを却下するような…冷めた物言い。「じゃ、たとえばどのような事件性があればいいの?」。
若い医者だった。
「う~ん、例えば腰痛だと、重量物を持ち上げたとたん、ぎっくり腰になったとかだと労災は認められやすいです。そもそも、厚労省は重量物を扱う場合は成人男性は体重の40%、女性はさらに男性の60%という指針を出してますからね。それだと対象20㌔以上でもう重量オーバーですからね。」
そうなのか。いいね、若い医者。
…このあと続く。
(あらかん)
(ちば合同労組ニュース52号から)

組合ニュースNo.52(2014/11/01)

ちば合同労組ニュース 第52号

p0052_01_01 2014/11月号

p0052_04_01

ちば合同労組と動労千葉の共催で地域集会開く

10月に入り気候の変化もある中、みなさんは体調を崩されていませんか?
台風が迫っていた10月5日、ちば合同労組と動労千葉の共催で「ちば労働者集会」を開催しました(写真)。3回の実行委員会を開催し、集会内容なども議論し、労組訪問や街頭宣伝を行い、ただ参加してもらうだけではなく共に運営していく仲間になってもらいながら準備をしてきました。
集会には130人が集まりました。ちば合同労組は委員長があいさつし、新分会結成の宣言をした仲間が発言し、1分間アピールの場では現在職場で闘っている仲間からの発言もありました。
集会の全体を一つにまとめあげたのは、動労千葉の10・1ストでした。
外注先であるJR千葉鉄道サービス(CTS)の仲間を守るために闘ったこのストが「外注化に反対して闘っているのは動労千葉だけ。だから動労千葉に入った」という感動的な発言も引き出していました。
車輪を削る仕事でCTSに出向になっていた労働者がJRに戻されることになったそうですが、経験も知識もまだこれからのCTSの労働者がすべての業務を行うことになるのです。JRは外注化をいっそう進めるために出向者を元に戻すと決めたのです。
これは安全を無視し、いつ事故が起きても、いつ労働者が事故によって命を奪われても関係ない、金儲けができればいいという資本主義社会のあり方の典型です。
動労千葉は国鉄分割・民営化と闘い27年間、「解雇撤回」を掲げて職場で闘い、外注化阻止・非正規職撤廃を掲げて闘っています。
その動労千葉と新たな分会を準備している仲間や、解雇撤回をかちとったデンヨー分会、追い出し部屋攻撃に負けずに闘っている仲間など、多くが非正規で闘っている「ちば合同労組」が共に集会を行ったことは大きな意義があると思います。
動労千葉のような闘いを作り出し、共に闘うことで〈正規と非正規労働者の団結〉を作り出せることを示せた集会だったと思っています。
9月の定期大会から10月の闘いはとても内容の濃い闘いであったと思います。
この闘いのすべてを11・2全国労働者総決起集会につなげていくことがとても重要です。職場のある組合員は職場の労働者に「あなたと共に生き、闘う仲間になりたい」ということと「自分の生き方・気持ち」をそのまま訴えれば、必ず相手に伝わります。
勇気を出して一歩踏み出してみましょう。今まで見えなかったものが必ず見えます。退職されている組合員のみなさんは街頭に出てどんどん訴えていきましょう。
11月2日、東京・日比谷野外音楽堂に1万人の労働者を集め、戦争・改憲に突き進む安倍政権を打倒しましょう。未来は私たち労働者の手の中にあります。
——————————————————–

Continue reading →

幕張本郷駅で派遣法ハンタイ。連日行動

p20141029a
(写真 遣法法大改悪案の審議が国会で始まった昨日につづき街宣と署名活動を行う【10月29日 幕張本郷駅前】)
 派遣法の大改悪案の審議が臨時国会で始まった翌10月29日、ちば合同労組は幕張本郷駅で派遣法ハンタイのチラシを配りました。
 前夜にニュースを見た人も多いようで手応えを感じました。
 国会で座り込みも始まったようです。

廃案以外にアリマセン!

派遣法は雇用に誰も責任を取らない最低最悪の法律

派遣法の大改悪、国会審議入りに緊急街頭宣伝

p20141028a

(写真は10月28日 千葉駅【モノレール駅通路】で帰宅する労働者とりわけ非正規の労働者へビラ【ちば合同労組案内、派遣法改悪反対ビラ、11・2集会案内】を手渡しマイクで呼びかけを行う【18時ころ】)

臨時国会で派遣法の大改悪案の審議が始まりました。

安倍首相は、「世界一ビジネスのしやすい国にする」と言っています。
この法案は、派遣の全面解禁法・生涯ハケン法ともいうべきもので、
派遣を使いたい企業に圧倒的に有利で、労働者にはなんのメリットもないものです。

ちば合同労組は、労働相談を通じて派遣労働者の問題についてたくさん取り組んできました。
企業と団体交渉を行い、労働局にも通いました。

派遣法は、労働者の雇用に誰も責任を取らない最低最悪の法律です。
労働基準監督署も派遣法は管轄外だと門前払いです。

派遣改悪を止めるためできることは何でもしたいと思っています。

派遣法改悪ハンタイ

改悪法反対ビラ (PDF)

anti-haken-low-sm

安倍首相「世界一ビジネスがしやすい国にする」

→  ハケン全面解禁/残業代ゼロ/解雇しやすい正社員

派遣法改悪ハンタイ

安倍政権は「世界一ビジネスがしやすい国にする」として臨時国会に労働者派遣法のダイ改悪案を提出しました。
派遣法改正案は、生涯ハケン法・ハケン全面解禁法です。  「世界一働きにくい国」「世界一労働者に過酷な国」――これが安倍政権の労働政策です。

anti-haken-low (クリックで拡大)

生涯ハケンで3年ごとクビ

今まで派遣は、通訳や秘書など専門業務の他は、原則1年で最大3年でした。制限期間を超える場合は直接雇用です。
今回の改悪案は、派遣の対象を全業務に解禁し、期間について企業は3年ごとに労働者を入れ替えれば、いくらでも派遣労働者を使い続けることができることになります。
これまで派遣は「例外的 ・一時的」が原則でした。派遣社員の年収は正社員の半分です。今回の改悪が通れば、多くの派遣労働者は生涯ハケンのままで、しかも3年ごとにクビを切られることになります。

残業代ゼロに解雇自由化も

安倍政権は、生涯ハケンのままの派遣解禁だけでなく、残業代ゼロ制度やクビ切りしやすい社員制度、金さえ払えば解雇できる制度など、これまでの労働者を保護する法律を軒並み闇に葬ろうとしています。
現行の労働基準法には〈1日8時間/1週40時間〉という労働時間の規制があります。これ以上の労働には割増賃金が必要ですが、一定収入以上の労働者については労働時間規制の対象外にする制度を導入しようとしています。
この制度が導入されれば、残業代がゼロになり、労働時 間の管理は意味がなくなります。過労死が続出することは確実です。世の中すべてがブラック企業化します。
あるマンガで〈長女は生涯ハケンで低賃金、長男は残業代ゼロの過労で休職、父は解雇自由化で定年前リストラ、母は限定社員でスーパーをクビ〉というシーンがありました。
労働者が生涯ハケンで低賃金、使い捨ての労働力にされるの指をくわえて黙っていることはできません。

一緒に反対の声をあげよう

「ちば合同労働組合」は、派遣法の改悪に反対します。安倍政権の進める労働政策すべてにノーの意思表示をします。
私たちは労働相談を通して派遣労働者の問題にも取り組み、企業と団体交渉を行い、労働局にも通ってきました。派遣法は労働者の雇用に誰も責任をとらない 最悪の法律です。
この状況を変えるのは私たち労働者自身の力しかありません。物事には決定的瞬間があります。今です。一緒に声をあげましょう。

—————————————————————————

*労働相談(無料)

【電話】043(225)2207

【メール】chiba_goudou@yahoo.co.jp

職種や産業、雇用形態を問わない 個人で加入できる 地域一般合同労働組合
ちば合同労働組合 〒260-0017 千葉市中央区要町2-8DC会館

組合に入って立ち上がろう!郵政職場でもたたかおう

労働組合に入って立ち上がろう!

2014年10月

 10月1日、JRの運転手や検査修繕部門で働く労働者でつくる労働組合・動労千葉が鉄道の安全を掲げてストライキを闘いました。幕張車両センターでは、JRが外注先に丸投げ外注化し、生命に関わるような重大な事故が頻発しています。動労千葉は非正規職(CTS)の労働者とともに外注化阻止を闘っています。
私たち、ちば合同労働組合は、動労千葉とともに千葉地域でつくる合同労組(ユニオン)です。すき家をはじめ「ブラック企業」で労働組合を立ち上げた組合員もいます。労働者にたいする劣悪な現実に対して、もう黙っておくことはできません! ぜひ郵政職場でも闘う労働組合をつくりましょう

組合ニュースNo.51(2014/10/01)

n0051_01_01a

(写真 動労千葉は10月1日にストライキを行いました。ちば合同労組も支援に駆けつけました)

第8回定期大会 職場分会づくりを軸に活動を

9月14日の定期大会において職場分会づくりを軸に据えて活動していくことが確認されました。特に拠点となる分会を建設することが、他の分会・組合全体・地域の労働運動を活性化し、推し進める上で重要な課題です。

そのような拠点を私の職場につくることを決意し、新たに副委員長に就任しました。
私が働く介護職場では、2000年の介護保険法の施行以降、介護が金儲けの手段にされ、そこで働く労働者も低賃金・要員不足・過酷な夜勤など劣悪な労働条件に置かれています。
すき家ストと同様、介護業界においても労働者の不満と怒りが満ちています。新たな介護労働運動をつくり出す条件は成熟しています。個々の不満や怒りを労働組合に組織できれば、あたかもレンズで陽の光を集めるがごとく、資本を焼き尽くす強い力となります。
介護の場合、「背景資本」は市町村であり、やりようによっては全日建連帯労組関西地区生コン支部のように集団交渉をしたり、中小の経営者を組織させて行政と対決させることも夢ではない。それを実現するには相当頭をフル回転させないといけないが、まずは一つの職場を固めることが重要。
私自身、未経験なことばかりです。この1年、失敗を積み重ねる覚悟で臨みたいと思います。みなさん、どうぞよろしくお願いします。

動労千葉は10月1日にストライキを行いました(写真)。ちば合同労組も支援に駆けつけました。
動労千葉が呼びかける11・2全国労働者集会には、同じように労働組合をつくろうという仲間が全国から集まります。ちば合同労組も組合として参加します。組合員のみなさん、集会への参加をお願いします。(A)

———————————————————

Continue reading →

介護労働の現場から〈17〉介護とジェンダー

介護労働の現場から〈17〉
2014年09月01日
介護とジェンダー

介護職はその8割近くが女性だ。生計を維持できない低賃金だから女向け? また、介護される側は男性より女性を圧倒的に希望しているからという理由もある。

しかし、私は介護という仕事にジェンダーに基づく偏見を強く感じる。男性介護士には言わないが女性には平気な物言いの数々。
便落としを拭いていると「あんた、エタ(被差別部落民)の女やったんか…」。入浴中「おーい、ソープのおねぇちゃんは~」。
塩分控えめの薄味には「これは味がついてないよ。女ならちゃんとメシつくれよ」。
大正~昭和初期生まれの高齢者がエロく封建的というだけでない。介護する者が身分が低く(つまり女)バカだと思うことによって、無意識に介護される側の羞恥や負担を取り除こうとしているのだが、差別を受けるほうはたまらない。無視していても腹が立つ。

介護が外部化されたのは50年代、戦後復興の只中であった。養老院が圧倒的に不足し、地方自治体レベルで、生活保護の男性単身世帯(傷痍軍人など)に戦争未亡人による「家庭奉仕員」を派遣する一石二鳥の窮民政策。燃料のマキもなく、その生活支援労働は過酷を極めた。報酬は当時の平均賃金の約半分で、政府は60年には国庫補助事業としたが、景気がよくなるにつけ就労する女性が減り、頓挫。63年に国レベルで老人福祉法ができ、介護はまがりなりにも「福祉」の地位を獲得する。
その後約半世紀たち、介護保険制度ができ、介護はまがりなりにも「社会化」されたが、介護職はいまだに専門職として社会的、経済的承認も得ていない。看護師と違って、主婦なら誰でもできる家事労働だから無償でもいい…まさしく、現場では時代遅れのジェンダー規範が支配している。

さて、井村さんだが、自分ががんで余命3か月と知っていた。しかし、その整理のつかない気持ちを周囲にわがままを言ってぶつける。食事、おむつ介助、着替え、入浴拒否。眠っていない時は、医者や家族の悪口を一人でしゃべり続ける。スタッフは「女王様」と呼び、敬遠していたので、私が担当することにした。
とにかく彼女が精神的に落ち着いてくれなくては身体介護はおぼつかない。とりあえず彼女の話を聞く。資格講習の授業では「配慮と気遣い」「何を言われても顔はいつも笑顔」というジェンダーバイアスのかかった低度の感情労働を教わった。そんなことしてもバレバレで却って信用されなくなってしまう。利用者には召使になってはだめだと思った。井村さんの感情に巻き込まれないようにして悲しみや苦悩を聴く、それだけだ。
それで1週間たったある日、私が「苦労したんだねぇ」と言うと、「そうでもないよ」と井村さんが答えた。ドアが開かれたような気がした。こだわらない、満足する、というのは余生を幸せにする。井村さんから「おいしい」「めんどうかけるね」という言葉が出るようになった。
(あらかん)
(ちば合同労組ニュース51号から)

介護労働の現場から〈16〉ホスピスの召使い

介護労働の現場から〈16〉
2014年09月01日

ホスピスの召使い

トイレを使えるようになった宇田川さんは入居して1か月を過ぎて自宅に戻った。宇田川さんの暴力や暴言で何人もの利用者が来なくなったので責任者がやむなく継続使用を断ったからだ。宇田川さんは夫が迎えにくると「家に帰るんや」と大喜び、私は今後の夫との生活を思うと手放しで喜べない気持ちだったが正直ほっとした。
そのあと、稼働率を回復するために、介護度の高い人が2名入所した。そのうち井村さんは、余命3か月のすい臓がん。病院は回復が見込めない患者は退院させる。病院は治療施設であって、療養施設でないというのがその理由だが、ようするに儲からないのだ。介護保険制度ができて、老人病院も廃止された。
末期がんは痛みが伴うし、食事や精神面でも、細心のケアと医療知識が必要だ。到底、こんな難民キャンプの折り畳みベッドで過ごせる容態ではない。第一、個室がないのだ。みんながテレビを見たりしているリビングの片隅をスクリーンで区切り、寝てもらう。
入居時に付き添ってきた井村さんの二人の子どもは「仕事があるんで、こんな重病人をみる時間がないんです」。そして「食べるものにもうるさくて、すぐ痛いというし、いろいろわがままで、手におえないんですよ」。
傍らで聞いていたという和田さんが、「そんな人、引き受けてもいいのかねぇ」と私に言う。訪問医療もなければ提携医療機関もない。責任者は「なにかあったら救急車」が口癖だ。紹介したケアマネジャーは、「痛みはモルヒネ系の薬で対応。入浴できないので清拭で。食事はおかゆでもいいよ」
対応を間違えれば、命に関わる行為を、介護経験数か月、医療面ではまったくの素人の和田さんと私が、ほかの利用者をみながら、ターミナルケアをやる。
井村さんは、明るくてハキハキしている性格。大柄で声も大きく、末期がんなんて信じられない。しかし、わがままというのは当たっていた。食事の好き嫌い。薬も「いらない。どうせ死ぬんだから」「痛~い」「暑い」「寒い」「眠れない」・・・。訴えるばかりで、ケアする人間の言うことなんかまるで聞かない。こういう状況での介護のつらさ。逃げ出したくなる。和田さんは一日に何度も「辞めようかな」。
ケアマネが「移動は車いす可能、排せつの立位」と言っていたが、本人は「もう死ぬから動きたくない。世話して。それが仕事でしょ」と、ベッドの上の介助でも自分で体を動かそうとしない。おむつ替えでもちょっと自分の腰を浮かせてくれるだけで、介護者の腰の負担が軽くなるのに。
介護をする人間を奴隷のように思っている利用者は多い。「そこの女中」とか「お手伝いさん」と呼ぶひともいる。何をいわれても、認知症利用者の愛情表現? そんなこと到底思えない。傷つき、どうやって自分のメンタルを維持したらいいのか途方に暮れる。井村さん、私は召使いではないのだよ。
(あらかん)
(ちば合同労組ニュース50号から)

1 29 30 31 32 33 37