いま声をあげるとき! 黙っていたら医療が消える

医療

「医療限界社会」NHKが医療危機を特集

NHK特番が話題に

日本の医療現場は深刻な危機に直面している。6月冒頭、NHKが相次いで医療特集番組を放送した。全国病院の6割が赤字で、約半数が破綻懸念にあり、「地域医療の崩壊」の現実がリアルに示された。

 『NHKスペシャル 医療限界社会』(6/1放送)を紹介したい。番組の舞台は済生会江津総合病院。島根県西部で重要な役割を担う中核病院で19の診療科と240床を有し、年間4万7000人の患者を受け入れる。

 だが28人いた常勤医は現在12人。2年前から外科医不在でオペ室は閉鎖。高齢医師に頼らざるを得ない現場では医療ミスが続発。そして今春、看護師1割にあたる15人が一斉退職。矛盾は若手医師に集中、夜間救急で睡眠3時間。

 医療の未来を担う若手医師は宿日直制度のもとで「自己研鑽」名目のタダ働きを強いられる。04年の新臨床研修制度で若手医師は地方の激務の診療科(外科・小児科・救急科)を避け、比較的働きやすい都市部の診療科へ流れる傾向が顕著となった。その典型例が「直美(美容整形へ直行)」で、医師数は10年で10倍に。

 24年の江津総合病院の赤字は4億7千万円に。特に救急医療が危機的な状況で、2次救急の機能を維持することが困難に。もはや選択肢は、病床数を計画的に減らし病院の規模を縮小する「撤退戦」しかない。その矛盾を背負い込まされるのは患者だ。

都市部でも進む危機

 番組は、医師偏重の都市部の大病院の「医療の限界」も紹介した。都市部の病院は地方の1・6倍の赤字を抱える。原因は高齢者の急増と救急患者の受け入れ。

 この中で、救急受け入れを医師に促し、売上(収益)に躍起な病院にスポットをあてた。元看護師は、「患者をどんどん受け入れ数をこなすことが目的に」「医師の対応が追いつかず、患者は長時間待たされるだけでなく、必要な説明すら受けられないケースも」と話す。

 内部資料から診療科ごとに設定される手術件数のノルマも明らかになり、利益優先で動く実態が赤裸々に報道された。医療崩壊下でもなお利権を貪る病院で翻弄されるのは医療労働者と患者だ。

政治が危機に拍車

 政治の責任は大きい。6月、自公維の3党は、全国の医療機関の11万床削減で合意した。全国の病床の1割を削減すれば1兆円の医療費を削減できると彼らは豪語する。11万床もの大規模な削減が進めば、コロナ感染症のような非常時に対応できず、医療崩壊が急激に進みかねない。病院の廃業と統合が進み、地域はもっと過疎化していく。

 全国の病院は、コロナ禍を超える危機にある。病院倒産が問題になってくる。国は医療を現場を見殺しにし、矛盾を現場の医療労働者に押し付けようとしている。国民皆保険制度は崩壊し、貧乏人は医療にアクセスできない時代がもうそこまで来ている。

 物価高騰や世界の軍事化、外国人への憎悪……、これらと医療崩壊の現実は一つに絡み合う。レベルを超えた医療崩壊の現実に対し、現場と地域から声をあげよう。

ちば合同労組ニュース 第180号 2025年7月1日発行より

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