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働き方改革は戦後最大規模の資本攻勢だ

働き方改革は戦後最大規模の資本攻勢だ

 過労死遺族の「過労死を自己責任にする法案反対」との必死の訴えにも関わらず「働き方改革」関連法が6月29日、採決強行で成立しました。
 ところで昨年末に出た厚生労働白書を読むと、〈成長という視点から見た(労働政策を含む)社会保障〉というフレーズのオンパレードです。安倍政権の成長戦略の基軸に「働き方改革」が据えられ、少し前に「岩盤(規制)」などと非難されていた厚生労働省がいまや安倍政権の突撃部隊になっていることがよく分かります。
 簡単におさらいすると①労働時間規制を撤廃する高プロ制度や裁量労働制拡大(今回見送り)、②個人事業主やフリーランサーなど非雇用の働き方に誘導する雇用対策法の抜本的改変、③同一労働同一賃金など、戦後日本の労働政策を根本から覆す法律です。
 これは単に法律にとどまる問題ではありません。想起するのは1949年のドッジラインによる整理解雇です。GHQ財政金融顧問ドッジの指導で吉田内閣が実施した経済財政政策によって国鉄10万人首切りや東芝など民間企業の整理解雇(50万人)や中小企業の倒産(1万社以上)が起き、争議の頻発と共に下山事件や松川事件が発生し、やがてレッドパージが吹き荒れ朝鮮戦争へ向かいました。
 かつてのように大量整理解雇が直ちに焦点になっているわけではありませんが「働き方改革」「同一労働同一賃金」「AI失業時代」という形であらゆる産別・職場で大変な資本攻勢との対決が急務になっています。JR東日本では働き方改革の総本山のような攻撃が始まっています。
 他方、ストや労働組合の復権の雰囲気も出てきています。資本の攻撃と労働者の闘いは一対でもあります。労働組合復権に転換すべく運動化していきたいと思います。(B)

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労働学校へご参加を

テーマ 階級的労働運動について
日時 7月21日(土)13時~ 講師 片峯潤一(動労総連合書記)
 ちば合同労組は団体受講しています。ぜひご参加ください。次回のテーマは動労千葉の外注化阻止闘争。

ちば合同労組ニュース 第96号 2018年07月1日発行より

改憲阻止大行進へ討論集会を開催

〝職場から改憲反対の運動をつくろう〟

改憲阻止大行進へ討論集会

 千葉市内で6月9日、「改憲発議を許すな!6・9千葉県討論集会」を約70人で行いました。9月の「改憲・戦争阻止大行進!千葉県実行委員会」(仮称)の結成へ向けた議論を開始しました。
 この間、ちば合同労組や動労千葉、百万人署名運動千葉県連絡会や裁判員制度はいらない千葉県実行委員会、婦人民主クラブ全国協議会と〈職場から改憲反対の運動をつくるには〉〈小さくとも自分たちの手で始めよう〉と議論してきました。
 集会には、青年労働者から戦争経験者の90歳代までの幅広い層が集まり、それぞれの経験や闘いの教訓を共有できました。地域に労働組合をつくることが、市民運動も含めた地域の人々にとって大きな力になると感じました。

ちば合同労組ニュース 第96号 2018年07月1日発行より

実践的に考える職場と労働法/労働基準法における休日の規定

実践的に考える職場と労働法

労働基準法における休日の規定

休日は午前0時から午後12時まで暦日が原則

 労働基準法の規定では、使用者は労働者に毎週少なくとも1回の休日を与えなければなりません。
 労働基準法は〈1日8時間〉〈週40時間〉を法定労働時間とし、週休2日制を想定しているのですが、法律としては週休2日制を規定せず、最低基準として週1日の休日を要求するに留めています。
 労基法が定める最低限度の休日を「法定休日」と呼びます。これを超える休日は「法定外休日」と呼ばれます。所定労働時間が8時間の会社では月曜から金曜日で法定労働時間の40時間となるので、土曜が法定外休日、日曜が法定休日となるのが一般的です。
 ちなみに休日労働には、時間外労働という考えはなく、休日労働が深夜に及ばない限り何時間労働しても休日労働としての割増賃金(3割5分以上)を支払えばよいとされています。休日労働が8時間を超えても割増率6割にはなりません。深夜の場合は、6割以上になります。

「休日」とは

 「休日」とは、労働契約上、労働者が労働義務を負わない日をいいます。あらかじめ労働義務が存在しないものとされている点で単なる休業日とは異なります。
 また休日は、単なる継続24時間ではダメで、午前0時から午後12時までの暦日が原則です。ごく例外的に、交替制勤務者については,番方編成による交代制など一定の場合(勤務割表などでその都度設定されるものはNG)や、旅館業や自動車運転者に一定の特例が認められています。
 休日を与える単位となる「週」は、必ずしも日曜から土曜の暦週に限られず継続した7日間であれば良いので、就業規則などでどの曜日が週の起点となるかを定める必要があります。特に規定がない場合には日曜が起点となります。ちなみに週1回の休日を与えていれば、その曜日は問われず、日曜でなくとも法律上は問題ありません。
 「変形休日制」は、4週間を通じ4日以上の休日を与える場合には、週休1日の原則が適用除外されています。変形労働時間制と併用して残業代を減らすためにけっこう悪用されています。
 変形休日制を実施するためには、変形制の単位期間の起点を就業規則等に記載することが必要です。法律上は、4週28日の最初の4日間に休日を入れて24日連続で働かせることも可能です。もちろん法定労働時間を超えるので別の問題は生じます。

休日の振替

 休日の振替は、他の労働日(振替先)を休日(振替休日)とする一方、従来は休日であった日に労働者を労働させることをいいます。
 休日を振り替えた後の状態が週休1日の原則(変形週休制をとる場合は4週あたり4日)を満たせば、振り替えた休日の労働は、通常の労働日となり、割増賃金の支払が不要となります。とはいえ振り替えた結果、週の法定労働時間を超える場合には時間外割増賃金の支払が必要です。具体的には週をまたいで休日を振り替えると40時間オーバーで2割5分以上の割増賃金が発生することになります。
 振替先の労働日は、労働契約上あらかじめ労働義務がないものと定められた日として、休日になります。
 「使用者は労働者の個別的同意を得ずに休日振替を命じうるか」という問題がありますが、裁判例では、使用者が休日を他の労働日に振り替えることができる旨を定めた規定が存在し、振替先の労働日をあらかじめ特定すれば、使用者は労働者の個別的同意を得ずに休日振替を命じることができるとされています。
 あらかじめ振替先を指定しないで休日に労働させ、後にこれに代わる休日(代休)を与える場合は、休日の変更がなされていないので休日労働のままであり、3割5分以上の休日割増賃金が必要となります。この場合には、代休日を与えることは法律上必ずしも要求されません。

年間休日数

 年間休日数の平均は120日。土日祝日に盆・年末年始を加えるとこの数字になります。平均で月10日の休みです。1日8時間・週40時間の法定労働時間めいっぱいで働くと年間休日数は105日となります。夏休みや正月休み、祝日がないパターンです。
 統計では、自動車などの大手製造業は年間休日が多く(約130日)、外食・小売・サービス業は、土日やGW、年末年始など通常の人が休みである期間に営業するので休日が少なく、労働時間も長くなっています。
 休日手当の額
 休日に出勤した場合、会社は基本給とは別に割増賃金を支払う義務があります。1時間あたりの賃金が千円として休日に8時間働けば千円×1・35×8=1万800円。つまり時給単価×1・35×休日労働時間数で休日労働の賃金額が算定できます。

ちば合同労組ニュース 第96号 2018年07月1日発行より

書評『ルポ保育格差』小林美希著(岩波書店)

書評 『ルポ保育格差』小林美希著(岩波書店)

保育現場からの迫力のレポート

改善進むぬ実態

 『看護崩壊』『看護の質』などを描いた社会派ジャーナリスト小林美希氏が保育園の実態を克明に捉える。本書は『ルポ保育崩壊』から3年経った保育現場を描いた〈続編〉だ。
 「待機児童解消」「保育士の処遇改善」の名のもとで保育園は変わったのか? 現場はまったく逆であることを本書は教えてくれる。
 それは「委託費の弾力的運用」のもとに進められる極限の規制緩和・民営化だ。急激に増加する保育施設の間には、質の格差が大きく広がり始めている。まさにタイトルどおり「保育格差」だ。
 本書で圧巻なのは、保育の質を「改善」するために出される公費が目的通りに使われていない実態を、具体的な数字を挙げて浮かび上がらせていることだ。
 例えば「ブラック保育園」を表す一つ指標として、「保育者人件費比率」を紹介。国は、公費の7~8割を保育士の人件費に掛けることを想定しているが、実際には5割にも満たず、わずか2割の施設もたくさんある。そういう都内の「ブラック保育園」が実名で上げられている。
 いくら法制度を変えても保育士への人件費には回されず、施設側が儲けるかに回される現実がある。保育士は月収15万円に対し、園長は月収100万円以上という施設も多くあるそうだ。
 巻末では、著者が全国の先進的な取り組みを紹介し、労働組合による改善も呼びかけている。

 

保育所ストライキ

 こうした中で保育所でもストライキの動きが起きている。ストが準備されたのは、宮城県の保育所。この保育所は、賃金は基本給が14万円。そのうえ園長のパワハラがひどく、保育士が全員退職したこともある。園長の気分で方針が変わり現場は混乱。保育士への教育や指導も適切になされない結果、保育環境が崩壊する結果に陥ったのです。
 保育士たちは辞める選択肢も考えたそうですが、労働組合の存在を知り、「いい保育園にしたい」との思いで仲間を募って組合に加入。要求書を提出し、団体交渉を開始しました。
 団体交渉の結果、園長のパワハラは改善されましたが、賃金未払いや保育の質について不誠実な対応を続けたため、労働組合は市役所への申し入れや、保護者への署名運動で園に改善を迫りましたがまたも無視。やむなくストライキを決意し、予告。 
 ストを安全に実施するために、実施日にはできるだけ子どもを預けないよう保護者に呼びかけ、労働組合側で保安要員を配置するなど体制も整えました。
 すると、市役所は強く指導を行うと約束し、運営会社はスト実施前に改善案を労働者に提示しました。未払い残業代はタイムカードの通りに支払い、休憩時間もきちんと確保し、パワハラを止めることなどを約束させました。
 地べたからの労働者、労働組合の闘いこそが必要です。
(組合員K)

ちば合同労組ニュース 第96号 2018年07月1日発行より

映画紹介/「下町の太陽」

映画紹介「下町の太陽」

 倍賞千恵子主演、山田洋次監督の1963年の映画。同タイトルのヒット曲を映画化したもので東京都墨田区曳舟の近くにあった資生堂の工場とその周辺が舞台だ。
 寺島町子(倍賞)は石鹸工場で働き、同じ工場の事務職員の毛利と交際中。毛利は本社勤務を目指して正社員試験の勉強に励む。正社員になって下町を出て郊外の団地に住むのが夢だと語る毛利に町子は少し違和感。ある日、町子は同じ町の鉄工所で働く北良介から告白される。
 町子の住む長屋は、井戸端会議で笑い声が絶えず子どもたちが路地を駆け回る典型的な下町暮らし。ある日、中学生の弟が万引き事件を起こし母代わりの町子は思い悩む。弟と話すよう毛利に頼むが試験勉強を理由に断られ、弟を知る北に相談するため鉄工所を訪ねる。汗だくになって溶鉱炉に向き合う北の様子に感動する町子。弟のことを理解する北は「あいつは悪い子ではなくいい奴だ」。
 いよいよ試験。毛利は不合格となり、同じ工場で働く処世術に長けた金子が合格する。慰める町子に対し金子を悪く言う毛利。二人の間に空虚な空気が流れる。数日後、金子が交通事故を起こし、これ幸いと毛利は会社に密告し繰り上がりで正社員に。すっかり得意げな毛利は町子に求婚する。しかし町子は聞き返す。「もし試験に落ちても、あたしと結婚の約束するつもりだった?」「愛情だけじゃ結婚できないのかしら」。
 まるでプロパガンダ映画だと批判的な声もあるが、1時間半に満たない映画でステレオタイプな描き方になるのは仕方ない。〝自分の頭で考える〟主人公像は、現在的にも啓発的で面白かったです。

ちば合同労組ニュース 第96号 2018年07月1日発行より

2018年夏保養を開催します

2018年夏保養を開催します

 震災から7年。原発事故はいまだ収束していません。過酷な事故が起きた経験にもかかわらず、全国で原発が再稼働されようとしています。いまだ5万人を超える人たちが避難生活を強いられ、1万5千人が保養を必要としています。小児甲状腺がんは204人を超えています。放射能汚染はさらに見えにくくされています。
 これらは福島の人たちだけの問題ではなく、私たちが「無関心」でいいはずがありません。
 今年の3・11、保養者と共に「原発いらない」の声を上げました。保養を通じて家族同士が手を取り合って福島・千葉で大きな運動になっていくことが私たちの願いです。
 私たちの保養は、組合員の皆さんをはじめ、千葉の多くの人びとに支えられ、今夏で14回目を数えます。今夏も福島から8家族と多彩なボランティアを迎えます。ぜひ皆さんの参加をお待ちしています。

とき 7月21日(土)~25日(水)/ ところ 千葉県勝浦市 民宿・神田
※問い合わせは組合まで

ちば合同労組ニュース 第96号 2018年07月1日発行より

【編集後記】ニュース 第96号 2018年07月1日発行より

【編集後記】

芸人の年収比較やAKB総選挙など、ひたすら序列化にしのぎを削る風潮が加速している。TVの影響というよりTVが世情を反映しているのだろう。それは「スクールカースト」と呼ばれ子どもの世界にも及ぶ。しかし物事は必ず逆作用も生じる。団結を甦らせる時代が来た。(T)

ちば合同労組ニュース 第96号 2018年07月1日発行より

労働者の命奪う働き方法案を阻止しよう

労働者の命奪う働き方法案を阻止しよう

 「働き方改革」関連法案をめぐる国会攻防が緊迫しています。5月31日に衆院本会議で採決する見込みと報道されています。同法案とカジノ法案の成立を図るため6月20日までの会期を2週間から1か月の範囲で延長する動きも出ています。少なくない人びとが必死に訴えて闘う中で少しずつ情勢が動き始めています。
 過労死遺族でつくる全国過労死を考える家族の会が5月中旬に安倍首相に面会を申し入れましたが安倍は拒絶。5月22日から首相官邸前で座り込みを始めました。
 家族の会代表の寺西さんの夫は飲食店の店長でした。夫が過労自殺した際、会社は「店長には裁量がある。勝手に働いて勝手に死んだ」と言い放ったそうです。裁量労働制の大幅拡大で、過労死が増えるだけでなく、過労死が自己責任になると危機感を訴え続けています。
 首相官邸前での「人の命を奪う法案を採択すべきではない」の訴えには、連合の神津会長も陣中見舞いに来ざるを得なくなり、連合は全国一斉行動を実施。千葉でもやっているのを目撃しました。
 連合は昨夏、UAゼンセン出身の逢見事務局長(当時)が首相官邸に足繁く通い、高度プロフェッショナル制度を容認する動きが暴露され、連合本部が抗議デモに包囲される大騒動になりました。
 自己保身的とはいえ、連合幹部らが反対のポーズを取らざるをえないほど現場・下部の組合員の危機感と怒りは噴火寸前のマグマのようになっているのです。
 高プロ制度は、第1次安倍政権の時代から何度も断念に追い込まれ、安倍にとって10年越しの悲願です。労働法制の改悪・解体は、けっして権力万能で進行するわけではなく、ギリギリの均衡状態の中での採択強行なのです。微力であっても本気で反対し、本気で行動することが状況を転換すると思います。
 東京駅自販機の順法闘争・ストの報道が象徴的ですが、労働組合の存在が少しずつ人びとの認識の俎上に上りつつある感じもします。労働者の団結と労働運動の再生を展望し、法案阻止へ6月がんばりましょう。
(S)

労働学校へご参加を

テーマ 労働法制改悪との闘い

日時 5月19日(土)13時~  講師 山本志都(労働弁護士)
ちば合同労組は団体受講しています。ぜひご参加ください。次回のテーマは働き方改革関連法案です。

ちば合同労組ニュース 第95号 2017年06月1日発行より

団体交渉に応じよ 動労千葉、県労働委員会に申立て

JRは解雇撤回せよ! 団体交渉に応じよ!

千葉県労働委員会に申立て

 動労千葉は5月28日、JR東日本に「1047名解雇撤回」「団体交渉の開催」を求め、千葉県労働委員会へ申し立てを行いました。
 15年6月の最高裁決定でJR不採用基準の策定が不当労働行為であることが法的に確定しました。これを指示したのがJR設立委員長です。JR東日本には解雇撤回と団交応諾の責任があります。
 国鉄1047名解雇撤回闘争の新たな闘いの始まりです。

ちば合同労組ニュース 第95号 2017年06月1日発行より

実践的に考える職場と労働法 危険・健康障害防止の措置

実践的に考える職場と労働法

労働者の危険・健康障害防止の措置

事業主には労働者を退避させる義務がある

 労働安全衛生法は、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする法律です。
 戦争犠牲者の規模に匹敵すると言ってもよい労働災害の犠牲者と、長い労働者の闘いでつくられた法律です。労働者の血で書かれた法律です。闘いの武器として活用することは有意義だと思います。
 労働安全衛生法は、
◎安全衛生管理体制
◎労働者を危険や健康障害から守るための措置
◎機械や危険物・有害物に関する規制
◎安全衛生教育
◎労働者の健康を保持増進するための措置
 ――などについて定め、職場の安全衛生に関する網羅的な法規制を行っています。
 今回は、労働安全衛生法第4章「労働者の危険または健康障害を防止するための措置」を中心にみていきます。

労災防止の責任

 労働災害を防止する第一義的責任は、労働者を使用する事業主にあることは言うまでもありません。労災防止のための基準や規則を定めても事業主に守る気がなければほとんど実効性はありません。
 その意味では、労働者の安全衛生を確保するために必要な措置を事業主に義務づける第4章は、労働安全衛生法で最も重要な部分と言えます。
 会社に労災防止の措置を確実に行わせるためにもこの部分はしっかり覚えておいて損はないと思います。
 労働安全衛生法が定める事業主の講ずべき措置の具体的内容は、技術的細部にわたることも多く、その大部分は厚生労働省令に規定され(2100か条以上)、その内容を理解することは簡単ではありません。

事業主の義務

 20~22条は、事業主に対して次の危険や健康の防止措置を義務づけています。

(1) 機械・器具・設備による危険、爆発性の物・発火性の物・引火性の物などによる危険、電気・熱・引火性の物などによる危険

(2) 掘削・採石・荷役・伐採などの業務の危険、墜落や土砂崩落のおそれのある場所の危険

(3) 原材料・ガス・蒸気・粉じん・酸素欠乏・病原体などによる健康障害、放射線・高温・低温・超音波・騒音・振動・異常気圧などによる健康障害、計器監視・精密工作などの作業による健康障害、排気・廃液・残滓物による健康障害

 (1)は、プレス事故、足場崩落事故、塗料の爆発、配電盤接触による感電など。(2)は、トンネル掘削中の土砂崩壊、採石作業中の落石など。(3)は、電池製造時の鉛中毒、有機溶剤作業の蒸気吸引、マンホール内作業の酸欠、チェンソー作業による振動障害、計器監視による視力障害などがその具体例となります。
 こうした労働災害を防止する措置を講ずることを義務づけているわけです。
 また23条では、就業場所の通路・床面・階段の保全、採光・照明・保温・防湿、休養、避難・清潔に必要な措置など労働者の健康保持のための措置を義務づけています。
 具体例としては、山積みされた荷の上での作業、油で汚れたタイル上での作業などでの労災事故を防止するための措置規定です。
 24条は、労働者の作業行動から生ずる労働災害を防止するため必要な措置を義務づけています。具体例は、同じ姿勢による腰痛や急な動作の反動による脱臼などです。

危険急迫の退避

 今ひとつ、重要な規定として25条は、労働災害発生の急迫した危険があるときは、事業主は、直ちに作業を中止し、労働者を作業場から退避させるなどの必要な措置を講じることを規定しています。
 25条は、20~24条と比較すると生々しい規定です。もともと国会に法案が提出された際、25条はありませんでした。しかし「労働者の退避権」が議論になり、最終的に「事業者の退避させる義務」として新たに25条が設けられることになったそうです。
 重要な規定なので繰り返しますが、労働災害が発生する急迫した危険があるときは、事業主は、直ちに作業を中止し、労働者を作業場から退避させる義務があります。当然と言えば当然の規定ですが、労働者の生命と健康を守るためにも、この規定(条文)だけは覚えておいて欲しい。
 その後、25条の2に「救護に伴う労働災害の防止の措置」が追加され、建設業などで爆発や火災などが生じた場合、労働者の救護に際しての労災発生を防止するために、救護に必要な機械などの備え付け、管理が義務づけられました。
 また労働契約法第5条は、「使用者は労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする(安全配慮義務)」を定めています。損害賠償責任も負います。
ちば合同労組ニュース 第95号 2017年06月1日発行より

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