時代の転換点となった参議院選――いま労働組合の復権こそが必要

参政党ヘイト

参政・国民の伸張

 参議選は時代の分岐点を感じる異例の選挙となった。当初は経済対策(物価対策や減税など)を各党が主張していたが、選挙本番になると「外国人問題」が大きな争点に。

 人びとの怒りは自公政権を大幅議席減に追い込む一方で、「日本人ファースト」を掲げる参政党、「手取りを増やす」を訴えた国民民主党が議席を増やした。特に比例票は国民・参政が立憲民主党や公明党を抑えて急増した。

 コロナ後に急増した円安と外国人旅行者の急増で多くの人たちが日本の貧しさ、将来の不安を実感するようになった。豊かな旅行者の豪遊を横目に、主食(コメ)さえ節約しなければならない肌感覚を背景にしている。

 SNSや動画配信を活用したポピュリズム的手法も大いに影響している。石丸現象や兵庫県知事選で見られた影響が全国化したと言える。また埼玉県在住のクルド人に対するヘイトに端を発する「外国人が日本の税金や社会保険にタダ乗りしている」などのデマ言説が一気に浸透し、新しい状況が到来したと言える。

貧困と閉塞感

 労働組合としては労働者階級の現実から出発し分析したい。30年間にわたり「先進国」の中で唯一労働者の賃金が上がっていない現実、物価高騰やコメも買えない現実、経済成長のない日本経済。今回の選挙はこれらが一つの限界を超えつつあることを示した。

 おそらく「日本人ファースト」を数年前に言っもここまでウケなかった。これらの排外主義的主張を受け入れる土壌がじわじわと作られていった。社会的な閉塞感が過激な主張の土壌をつくった。

「心地よい現実」

 参政党は日本経済の低迷の原因を「外国人」に見出した。国民民主党は高齢者に原因があるかようなイメージを流布した。根拠も合理性もないデマ宣伝だ。外国人排斥は根本的に間違っている(新聞などのファクト・チェックも参考にしてほしい)。

 しかし多くの人たちが真実より「信じたい現実」を受け入れる心境に陥っている。事実を検証する感情的、時間的、経済的余裕がない。参政党に対し「差別をやめろ」のカウンター行動は重要だ。しかし、これだけではなく排外主義を一旦受け入れる状況にもある労働者の現実(経済的土台)もまた変えなければならない。極右が伸張する欧米と同様に、移民労働者と共に闘う左派、労働組合の力ある登場が必要だろう。

イギリスで反極右デモが、各地で数千人規模でおこなわれた(24年)

労働運動の現状打破を

 他方、立憲・共産などの主張は「現状維持」と受け止められ支持を得られなかった。また既成政党を支えてきた中間団体(連合、農協、商工会議所など)が高齢化・弱体化し、現役世代の個人化も伺える。労働組合もその使命を30年間なんら果たしていない。自民党政権と癒着・一体化してきた連合の体制内化が、参政・国民の台頭を作り出したと言える。

 最低賃金の近くで働く労働者はこの10年間で急増し、約700万人に及ぶ。労働者の生存権のために会社に要求を突きつけ賃上げをかちとる、最低賃金を大幅にあげることが必要だ。

 参政党は本質的に極右・ファシズム政党だ。排外主義が吹き荒れる時代が予想される。それは戦前のように労働者がより貧しく生活苦になる時代でもある。行き着く先を戦争にしてはならない。ちば合同労組は、労働組合として反戦と一体で反差別の旗を掲げ、女性蔑視と立ち向かい、外国人労働者と連帯する取り組みも強化しきたい。

ちば合同労組ニュース 第181号 2025年8月1日発行より

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