現代の戦争危機と歴史の警鐘

戦後80年の節目で「戦間期」を考える
今年は戦後80年の節目の年で、例年に比べて戦争や平和に関する報道が多かった。ウクライナ戦争やガザ虐殺、さらには米国によるイラン攻撃など、きな臭い国際情勢も背景にある。
日本では毎年8月に年中行事のように戦争関連の報道が集中する。「8月ジャーナリズム」との批判もある。しかし、戦争を考える契機を得ることは大切と思うし、むしろ戦後50年、60年、70年、今回の80年と節目ごとに社会の論調がどう変化してきたのかを、粘り強く検証することも意義があると考える。

「戦間期」とは
新たな核戦争の危機、日米安保体制や沖縄・南西諸島の軍事要塞化、そして岸田政権の下で始まった大規模な軍拡――単なる時事問題を超え、戦後日本のあり方そのものを問うテーマである。
学者やジャーナリストの間では、近年の世界情勢について「現代は再び戦間期に似ているのではないか」と分析する論調が増えている。「新たな戦前」との言説も増えた。
戦間期とは、第一次世界大戦(1914〜18年)の惨禍を経て「もう二度と戦争を起こさない」という〝誓い〟が語られた時期である。その「理念」により国際連盟が設立され、ワシントン体制による海軍軍縮条約や不戦条約が取り結ばれた。しかし現実には、29年の世界恐慌を契機に経済的混乱と社会不安が世界規模で拡大していった。
米国では、国際協調路線を唱えたウィルソンに代わって「アメリカ・ファースト」を掲げるハーディング大統領が登場し、移民制限や平均税率38%の高関税政策を導入した。さらに富裕層や大企業を優遇する減税策を実施し、国家予算も大幅に削減した。トランプ大統領に酷似する。
米国第一政策で初期には国民総生産(GNP)が45%も増加、株価も連日上昇し、人びとは「空前の繁栄が続く」と信じて疑わなかった。しかし29年10月24日、「暗黒の木曜日」と呼ばれる株価の大暴落が発生、世界恐慌が始まり(写真)、やがて各国は世界戦争へと突き進んでいった。

満州事変と世論
当時の特徴は、国際秩序の動揺、経済危機とブロック化、関税・制裁の応酬、権威主義や排外主義の台頭、軍拡競争の激化にあった。そして日本の満州事変、イタリアのエチオピア侵略、スペイン内戦といった出来事がまさに世界大戦の前哨戦となった。現代で言えば、ロシアによるウクライナ侵攻、ガザでの戦争、台湾海峡をめぐる緊張などが、第三次世界大戦の「前哨戦」との見方も少なくない。
もちろん、戦間期と現代には相違点も多い。核兵器という人類破滅につながる兵器も存在する。歴史は単純に繰り返されるわけではないが、国家間競争が激化し、同時に国内で分断や対立が深まる構図は、戦間期と現代をつなぐ共通点として無視できない。
戦間期の日本では、満州事変から日中戦争に至る過程で世論自身が徐々に戦争を求める方向に動かされていった。政府や軍部だけではなく、社会の空気そのものが戦争を後押しした。その歴史を踏まえるなら、今日の日本と世界の状況を前にして、私たちはより批判的に「戦争と平和」を考え直さなければならない。

ちば合同労組ニュース 第182号 2025年9月1日発行より
