実質賃下げ打破!26春闘を闘おう

静かな退職、スキマバイト、AI代替

 年頭から米トランプ政権のベネズエラ侵攻やグリーンランド領有要求、ICE(移民関税捜査局)を動員した国内暴力支配。日本では〈国論を二分する政策の全権委任〉を掲げた解散総選挙…。この激動の中で労働者の困窮は置き去りだ。今回は日本の労働者政策について少し考えたい。

働きたくても

 衆院選でも連呼される「働いて、働いて、働いてまいります」。高市首相の「働きたい改革」とは、労働力の不足を長時間労働で補うものだ。しかし、実際に長時間働きたい人は1割程度。その理由は「生活していけない」。

 昨春闘は5%の賃上げ率(連合)と言われるが、非正規労働者やエッセンシャルワーカーは放置されたまま。最低賃金の引き上げも含めてこの間の賃上げは物価高に追いつけず実質賃金は11カ月連続マイナスだ。今年は、家賃上昇や3月ダイ改のJR運賃の値上げなどが控える。

 18年から数年で、週40時間働く労働者は約300万人も減少した。子育てや介護、健康面など様々な理由で、働きたくても実際に働ける人は減っている。昨年の流行語「静かな退職」のようにがんばって働いても損という価値観が若者に浸透し、展望が見いだせない時代となっている。

 生活費の補填で多くの人が頼るのが「スキマバイト」。副業従事者は17年の268万人から332万人(22年)に増加。正社員の11%が副業を行う。スキマバイトの登録数は約3400万人。最大手のタイミーの昨年の経常利益は67億円(同時期比約20%増)。

 スキマバイトを利用する企業は人手不足を解決する一方で、社会保険料や雇用保険の支払い逃れの「一石二鳥」。

 これを厚生労働省は「新しい働き方」と美化し、脱法を容認し、自治体も後押し。もはや「国策」だ。しかしスキマバイト業態は「新しい産業」でもなんでもなく、長引く物価高と労働者の生活困窮が生み出した異常な社会現象だ。

黒字リストラ

 人手不足の一方で「黒字リストラ」と呼ばれる新たな手法も。業績好調でも、早期退職や希望退職を募って辞めさせる企業が増加。「黒字リストラ」は25年は1万3千人を超えた。その7割がパナソニックや三菱電機など業績好調の上場企業。これらの会社では人材コンサルが跋扈し、50代の社員を狙い撃ちで「去るか残るか」の退職勧奨。リストラした会社ほど評価額が上がり、株高になる仕組みが作られている。

 AI時代の到来を見越しての人員削減とも言われる。ILO(国際労働機関)は、4分の1が生成AIによって雇用が失われると指摘。NTTでは、5年後に34万人の業務の半分がAIに置き換わると予測。日経新聞の分析では、コールセンターや会計・経理の事務職などで働く非正規労働者が「雇用が急減する職種」として影響が出る。今後、労働市場において劇的な展開がみられることは間違いない。

 高市政権はこうした未来予測を先取りし、「労働時間緩和」も含めた労基法改悪法案が提出を狙う。「解雇の金銭解決」制度の審議も昨年末から厚生労働省で進む。今年は労働法規をはじめ、あらゆる意味で大きな転換期と言える。

ちば合同労組ニュース 第187号 2026年2月1日発行より

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