映画紹介『白い暴動』

 70年代後半の英国で人種差別反対を訴えた若者たちの運動「ロック・アゲインスト・レイシズム(RAR)」を題材にした映画。『白い暴動』は、イングランド出身のパンクバンドの曲名。英国ではセックス・ピストルズやダムドと並ぶ人気バンドだ。社会腐敗や失業問題、人種差別や警察の横暴、サッチャーの新自由主義に対して強烈な批判を加えた。

 映画の舞台はサッチャー政権前夜。産業が衰退し若者が失業に苦しみ「英国病」と呼ばれた時代。戦後の英国には世界の旧植民地から多数の移民が流入した。人々の不安や不満は、戦後に増加した移民たちに転嫁された。

 労働党政権による人種差別禁止法に反対して保守党議員パウエルは、街中で増加する移民に対する暴力事件を「血の川」に例えて扇動。さらに極右組織「イギリス国民戦線(NF)」が登場し若者の支持を集める。黒人サッカー選手やシク教徒の少年など人種差別を背景とする殺人事件が頻発した。

 エリック・クラプトンやデビッド・ボウイら著名人も「英国が黒人の植民地になるのをとめるべきだ」などと発言し大きな論争に。数人の若者たちが立ち上げたRARは「本当の敵が誰なのかを知っている音楽を求める」「音楽を愛し人種差別を憎む」の力強いメッセージを発し、パンクやレゲエ音楽と結びつき支持を広げていった。

 その頂点が78年4月30日にロンドンで敢行された伝説的なデモ行進とライブ。国民戦線の拠点であるビクトリアパークまでの行進し野外ライブを決行。10万人の反ファシズム行動となった。半世紀前の運動だが、まさに現在の世界と日本に大きな示唆を与える。

ちば合同労組ニュース 第181号 2025年8月1日発行より

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!