労働映画

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映画紹介『パラダイスの夕暮れ』

映画紹介『パラダイスの夕暮れ』  フィンランドのアキ・カウリスマキ監督の「労働者三部作(プロレタリアート・トリロジー)」の一つ。社会の片隅に生きる労働者・庶民こそ映画の主人公であるとの姿勢を貫く。監督がまだ20代の頃の1986年の映画。  主人公ニカンデルは首都ヘルシンキで働くゴミ収集車の運転手。ボルボ製の頑丈そうな清掃車に乗務しゴミを収集する様子が丹念に描き出される。セリフは極端に少なく素っ気な...
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『ここから』上映会 盛況に/関西生コン労組を支援する千葉の会

関西生コン労組を支援する千葉の会 『ここから』上映会 盛況に  千葉市生涯学習センターで9月17日、「許すな弾圧!関西生コン労組を支援する千葉の会」が映画『ここから「関西生コン事件」と私たち」上映会を開催しました。ちば合同労組は準備段階から積極的に関わりました。  21年秋の映画『棘2』の上映会の後、支援運動を継続するために千葉の会が発足し、月1回の会合・学習会を継続してきました。  今回の上映会...
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映画紹介『ここから「関西生コン事件」と私たち』

映画紹介『ここから「関西生コン事件」と私たち』  関西生コン労組に対する未曽有の組合つぶし攻撃の渦中にある組合員たちの姿を描くドキュメンタリー映画。土屋トカチ監督。シングルマザーで子育てしながら生コン運転手になった松尾聖子さん、子どもを保育園に通わせるために就労証明書を会社に要求したことが強要未遂罪に問われ逮捕・勾留された吉田修さんら現場組合員、640日もの長期勾留された湯川委員長などが登場する。...
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映画紹介『電気工事士 Electrician』

映画紹介『電気工事士 Electrician』  2020年の英映画。素人の俳優を使い低予算で5年かけて撮影された。ロンドンの倉庫会社や建設現場で働く電気工事士マークの孤独な日常を描く。  毎朝起きて出勤し、黙々と仕事をこなし、粗末な食事をとって帰宅して寝る姿が淡々と描かれる。彼は徹底的に無口、同僚に飲みに誘われても交わらない。対照的に同僚たちの下らない会話がやたら多い。本当に下衆な内容で、マーク...
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映画紹介『彼女たちの革命前夜』

映画紹介『彼女たちの革命前夜』  2019年の英国映画。半世紀前の1970年のミス・ワールド世界大会の会場で女性解放を訴えるために抗議行動を行った女性たちを描く。  離婚し、娘や母親と暮らすサリーは、再び学問の道を志しロンドン大学の入学試験の面接に。面接官は男性ばかりで権威主義。入学後、ゼミでは発言を遮られ、女性労働者の視点で論文を書きたいと言うと「普遍性が必要だ」と変更を求める教授。そんな中で女...
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映画紹介『キネマの神様』

映画紹介『キネマの神様』  原田マハの長編小説を山田洋次監督が映画化し、2021年8月に公開された。当初は志村けんと菅田将暉が主演の予定だったが、志村のコロナ感染による辞退とその後の急死、政府による緊急事態宣言を受けて撮影が中断された。  その後、沢田研二を代役に撮影が再開された。おそらく脚本は志村けんで当て書きされたまま撮影され、セリフや仕草も沢田が志村を演じる感じになっている。東村山音頭を歌う...
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映画紹介『事件記者』

NHKのテレビドラマ(1958年~66年)の映画化第1弾。警視庁詰めの新聞記者が所属する「警視庁桜田クラブ」を舞台に特ダネを狙う事件記者を描く。「事件記者」の単語はこのテレビドラマで定着したらしい。  警視庁の記者クラブには各社から腕利きの記者が派遣されている。映画は2人の新人記者の配属シーンから始まる。その日、品川駅で新宿のヤクザの親分が撃たれる。新宿と六本木の縄張り争いか!? だが重傷を負った...
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映画紹介『怒りの葡萄』

映画紹介『怒りの葡萄』  スタインベックの小説を映画化。舞台は世界大恐慌後の30年代末の米国。大規模な資本集約型農業が拡大し、米中西部で深刻化したダストボウル(開墾で発生した砂嵐)で耕作が不可能となり流民化する農民が続出、社会問題となっていた。本作は、さらなる機械化を進める資本家と土地を追われカリフォルニアに移っていった貧農たちとの闘争を材料に故郷オクラホマ州を追われたジョード一家を描く。  トム...
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映画紹介『家族を想うとき』

映画紹介『家族を想うとき』  前から見たかった映画だが数多いケン・ローチ作品の中で観ていて一番ツライ気持ちに。名匠ケン・ローチが引退表明を撤回して撮った映画がこれほどツライ内容にならざるを得ない。これが新自由主義とグローバリズム経済の世界の現実なのか。もちろん希望を紡ぐ場面も随所にあるのですが…。  英国の東北部の工業都市ニューカッスルに住むある家族を描く。主人公リッキーは、マイホーム購入の夢を叶...
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映画紹介『ベトナムの風に吹かれて』

映画紹介『ベトナムの風に吹かれて』  松坂慶子主演の日本とベトナムの合作映画(2015年)。ベトナムで働く日本語教師が80歳を過ぎた認知症の母親と共にベトナムでの生活を綴ったエッセイ『ベトナムの風にふかれて』が原作。実話とのこと。  ベトナムの首都ハノイで日本語教師として働く佐生みさお(松坂慶子)のもとに父の訃報が届く。故郷の新潟で目の当たりにしたのは認知症のため夫の死さえ理解していない母(草村礼...
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映画紹介『海すずめ』

映画紹介『海すずめ』  2016年公開の愛媛県宇和島が舞台の「ご当地映画」。  主人公の赤松雀(武田梨奈)は宇和島市立図書館で自転車課で働いている。自転車で図書を市民に配達する仕事だ。主人公の雀が図書館自転車課という仕事を通じて故郷とその歴史を知り、成長していく姿を描く。  雀は夢だった小説家として華々しくデビューしたが2作目が書けず故郷に戻って挫折感を持った中途半端な日々を過ごしている。地元は宇...
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映画紹介『定められし運命』

映画紹介『定められし運命』  2012年のフランス映画。時代は第2次世界大戦。ナチスドイツに占領されたアルザス出身の17歳の少女アリスとリゼットは家族から引き離され労働奉仕施設での軍事訓練後に弾薬製造工場で働くことに。  アリスは聡明で気が強くドイツ人に屈しない。他方、リゼットは従順な態度で親衛隊の上司からも評価される。アリスはそんなリゼットが大嫌いだった。しかし、脱走に失敗したアリスをリゼットが...
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映画紹介『富士山頂』/台風観測のため巨大レーダー建設

映画紹介『富士山頂』  石原裕次郎が主演の1970年の映画。原作は新田次郎。  富士山頂にある富士山測候所に台風観測のための巨大レーダーを建設する様子を描いた作品。昭和初期から1950年代にかけて伊勢湾台風など巨大台風が来襲し甚大な被害をもたらした。しかし当時は気象レーダーも気象衛星もなく日本列島から海上の台風を捉えることは困難だった。富士山頂に巨大レーダーを設置すれば800㌔先の台風を監視できる...
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映画紹介『群衆』

映画紹介『群衆』  ゲイリー・クーパー主演の1941年の米映画。時代設定は第2次世界大戦の開戦(39年)前後と思われる。  新聞社の経営者が交代し大リストラが始まる。解雇通告された記者アンは腹いせに架空の人物ジョン・ドゥーからの投書を題材に最後のコラムを書く。皆に職がないのは腐敗した政治のせいで抗議としてクリスマスイブの夜に市庁舎の屋上から飛び降りる、と。ジョン・ドゥーは「名無しの権兵衛」のような...
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映画紹介『鉄路の闘い』

映画紹介『鉄路の闘い』  1946年のフランス映画。監督は『禁じられた遊び』『太陽がいっぱい』など日本でも有名なルネ・クレマン。ナチス占領下のフランス国鉄の機関区が舞台。フランスの鉄道労働者たちが独軍の列車運行を阻む抵抗運動を描く。出演者の多くはプロの俳優ではなく実際にレジスタンス運動に加わった本物の鉄道労働者で、本物の列車や駅、機関区を使ってドキュメンタリー映画の手法で撮影されている。  燃料を...
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映画紹介『モリーマグワイア(邦題・男の闘い)』

映画紹介『モリーマグワイア(邦題・男の闘い)』  1969年制作の米映画。1870年代の米ペンシルバニアの炭坑が舞台。アイルランド移民の抗夫は労働組合に結集したが、さらに秘密結社「モリーマグワイア(モリーズ)」が組織され、過酷な労働と生活のために闘った。  そんな中、ジェームスという労働者が仕事を求めて鉱山にやってきた。新顔に対し、モリーズの指導者キーオたちは警戒し喧嘩になるが次第に彼を信用するよ...