映画紹介『フロントライン』

映画紹介

 今年6月に公開された本作は、新型コロナウイルス発生時の実話をベースとした物語だ。舞台は20年2月、横浜港に入港し、新型コロナの集団感染が明らかになった豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号。乗員・乗客約3700人が14日間、船内で待機することに。3月1日の下船までに感染者は延べ706人に上り、4人が死亡した。神奈川県庁が対策本部を設置し、DMAT(災害派遣医療チーム)へ出動を要請するところから物語は進んでいく。

 映画では、国内に感染を持ち込まないことを第一とする厚生労働省の方針と、乗客らの生命を最優先するDMATとの対立が描かれる。感染患者の搬送には保健所などの事務手続きが必要となるなど、様々なルールが障壁となって立ちはだかる様子も映し出される。

 登場人物は実在の人物がモデル。DMATのリーダー結城(小栗旬)をはじめ、船内の実動部隊を指揮する医師(窪塚洋介)、DMATとの窓口役となる厚労省の役人に松坂桃李、最前線の若手医師(池松壮亮)、乗客の対応にあたった客船クルー(森七菜)など各俳優の演技が光る。

 大きな対立軸として登場するのが感染症専門医の六合医師。当時、モデルとなった医師の告発動画は大きな衝撃を与えた。他方、それが現場の隊員への批判を招き困難な状況をもたらす様子も描かれる。映画は、苦悩しながら現場で格闘を続けた医療従事者たちを丁寧に描く。

 まだ5年しか経っていませんが、当時の緊迫した雰囲気を思い出した。当時の印象と映画での描かれ方の違いを確認しつつ観たいノンフィクション映画だ。

ちば合同労組ニュース 第186号 2026年1月1日発行より

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