映画紹介『イゴールの約束』

 1996年制作、ダルデンヌ兄弟監督の作品。父親の従属下にあった少年が自立していく姿を「不法移民」問題を絡めて描く。舞台はベルギー、主人公は15歳の少年イゴール。父親は不法移民のブローカーで、外国人を粗末なアパートに高額で住まわせ、「不法就労」を斡旋して手数料を得ている。

 住民の一人アミドゥは、西アフリカのブルキナファソから来た妻アシタと生後間もない赤ちゃんと再会し、共に暮らし始める。母親を知らないイゴールはこの一家が気になる。

 ある日、移民局の査察情報を受け建設現場の不法就労者たちは身を隠す。しかし慌てたアミドゥが足場から転落。「妻と娘を頼む」と告げ意識を失う。救急車を呼ぼうとするイゴールを父親が制し隠すよう命ずる。移民局には何事もなかったよう対応し、夜になって遺体をセメントで埋める…

 アミドゥの失踪に不安を募らせる妻アシタに対し「借金で雲隠れしたのかも」と言い訳するが、良心の呵責からイゴールは借金を肩代わり。「警察に行く」と言うアシタを父親が妨害し、ついには偽電報を使って娼館に売り飛ばそうとする。それに気づいたイゴールはは、父が車を離れた隙に運転席に乗り込み、アシタと赤ん坊を連れて逃亡する。

 母子はイタリアの叔父の元を目指すことに。ここで再び父親に見つかるがイゴールは初めて父の言いつけを明確に拒絶し母子と共に駅へと向かう。最後の場面、アシタに真実を告げると、彼女は黙って来た道を戻り、イゴールはその背を追う。2人はどこに向かっていくのか。監督は「この映画はイゴールが罪悪感を獲得するまでの道程を描いた」と語っている。

ちば合同労組ニュース 第182号 2025年9月1日発行より

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