映画紹介『スクール・オブ・ナーシング』

熊本県人吉市を舞台に看護学生が病院実習を通じて成長する姿を描く2016年の映画。
主人公のあかねは、幼少期に母を亡くした経験から看護師を志す。採血や聴診、排泄ケアなどの基礎演習を経て、学生たちはいよいよ一人の患者を受け持つ「病院実習」へと進む。そこで待ち受けていたのは、教科書の知識が通用しない現実だった。余命宣告や家族の問題、一癖ある患者たちとの交流。膨大なレポートと睡眠不足に追われながら、学生たちは互いに励まし合う。
学校の仲間の背景も多様だ。大学を中退した若者、再起をかけるシングルマザー、リストラを機に居酒屋店長から転身した30代の男性。それぞれ事情を抱えた同期たちが、共に看護師を目指していく。
あかねが担当するのは、榎木孝明が演じる余命宣告を受けた患者・古村。自らの葬儀を予約するほど達観していた古村だが、あかねの些細な一言をきっかけに心を閉ざしてしまう。実は大きな葛藤を抱えていたのだ。あかねは、その真の願いを叶えるべく行動を起こす。
本作は公開後、看護学校の教材や上映会でも活用されている。医療ドラマにありがちな「天才医師の活躍」ではなく、看護の実践や成長に焦点を当てている点が支持されているのだろう。やや物語が予定調和に感じられたり、演技に拙さが残る場面もあるが、榎木孝明の圧倒的な存在感や、舞台となった人吉の美しい風景が作品を支えている。
看護師養成課程に関心がある人はぜひ観て下さい。
ちば合同労組ニュース 第188号 2026年3月1日発行より
