介護労働の現場から〈04〉白鳥の水かき

介護労働の現場から〈04〉
2013年07月06日

白鳥の水かき

介護は24時間で4交代が多いが、私の勤務先は日勤と夜勤の2交代で、日勤は9時から6時まで。
一息つくひまもない激務のタイムスケジュールを紹介しよう。繰り返すが、スタッフは2名。利用者は最大10名までの仕事である。
9時に出勤して夜勤からの申し送り後、1名(A)は車でデイサービスの迎えに行く。その間、1名(B)は泊りの利用者の見守りをしながら、掃除と洗濯物干し、入浴準備、庭の水やりをする。
10時前後からデイサービスが開始。Aが飲み物提供、体操、その間にBは入浴介助。11時からAは昼食作り、Bは排せつ介助と口腔体操と配膳。12時から昼食。Aは休憩。Bは食事介助、12時30分に管理者が入り、Bも休憩。1時に休憩が終わったAが下膳、食器洗い。服薬介助と口腔ケア、排せつ介助。臥床介助など一連の食事介助が終わるのは2時。

それから、Aが入浴介助、Bはレクレーション、散歩、買い物などAと協力して行う。3時からはおやつの時間で、離床や移乗介助をして利用者をリビングに集める。食事介助、口腔ケア、食器洗い。4時になると、デイサービスは退所の時間でAは家庭への連絡ノート書きや着替えや荷物などの準備に追われる。Bは洗濯ものを取り入れ、利用者を車で送り、その間に、5時からはAは夕食づくり。Bは帰ってきて記録書き。5時45分から夜勤への申し送り。夕食は6時からなので、日勤は配膳して仕事を離れる。

利用者は、ほとんど全員認知症なので、時間がきてもスタッフの指示が入らないことが多い。だからといってほっておくことはできない。食べたくない人に食べてもらい、トイレや入浴を拒否する人もほってはおけない。口腔ケアひとつにしても、やらなければ、口の中に残した食べかすで嚥下障害、窒息を起こすこともある。薬も吐き出したり、便をもてあそんだり……。すんなりと何事もなく、スケジュールをこなせる日なんてほとんどない。徘徊癖のある人があれば、スケジュールはめちゃくちゃになる。

それに、臥床、入浴、排泄などの介助の前後に準備や片づけがはいる。それが結構手間取る。介護は大変な仕事だ。減らしていいような仕事はどこにも見当たらない。さすがにスタッフはみんなへとへとで、夕方になるとロレツも回らなくなる。仕事が終わって着替えようとして、ズボンに足を入れ損ね、ころんでしまったとか、帰りの電車でつり革につかまって寝てしまうとか、限界労働が続き、2人のスタッフが辞めてしまった。仕事がまわっていかなくなり、経験も資格もない管理者が現場に入ることになった。

「忙しくても、バタバタしないでゆったりと利用者に接してね。白鳥は水面下では必死で水かきをしてるけど、見た目は優雅でしょ」有言実行、やってみろ! 管理者。

(あらかん)
(ちば合同労組ニュース36号から)