戦争問題特設ページ

●はじめに 時代は戦時下に入っている。

 2024年12月。岸田首相(当時)は、安保三文書を閣議決定。防衛費を2倍化させ、日本を「戦争のできる国」へと一挙に変貌させました。その防衛費は、5年間で48兆円。その税金はどこから来ているのでしょうか? 私たちの税金です。物価が高騰し、コメも買えない時代になり、「減税」という声が満ち溢れました。
 しかし、「財源がない」と言いながら、この国の税金を湯水のように軍事費に投入しています。これは世界共通の問題です。トランプ大統領は、「日本の防衛費を2→3%、5%にせよ」と言い出しています。
 これを「台湾有事は日本有事」と言い、具体的な中国との戦争(中国侵略戦争)へ突っ込もうとしています。ウクライナ戦争、ガザ侵略戦争が繰り広げられ、世界は戦争モードに突入しています。成長しなくなった資本主義国、権威主義的な支配者たちは、戦争という力に訴えてでもその利害を追求しようとしています。
 私たちは労働組合としてこのような戦争には真っ向から反対します。そして、行動を起こします。かつて日本の労働組合は戦争に協力し、朝鮮・中国・アジアの人々を虐殺し、戦死していきました。このような悲劇を繰り返すまいと、戦後の労働組合・労働運動は、「反戦」を掲げ、原水禁運動などに取り組んできました。原発反対や公害反対の取り組みなど、社会運動を引っ張ってきました。私たちは、このような戦後果たしてきた労働運動の伝統を継承し、発展させます。今、目の前に迫った戦争、大軍拡と対決し、戦争反対の行動に立ち上がります。

【1】切迫する中国侵略戦争

日米共同作戦 ――実践化する演習

 24年末、「台湾有事」への対応として日米共同作戦計画が完成するに至った。沖縄の地元紙は「日米の対中作戦計画が固まる」「南西諸島が戦域に」「攻撃で住民犠牲の恐れ」と危機感を報道した。
 この作戦計画にもとづいて図上演習(キーン・エッジ)がおこなわれ、この図上演習にもとづいて実働演習(キーン・ソード、レゾリュート・ドラゴン)がおこなわれた。24年2月のキーンエッジ24では初めて中国を敵国と名指しし、本物の地図を使って演習したと報じられた。

 この軍事作戦のカギは、EABO(エアボ、遠征前方基地作戦)である。高機動ロケット砲システム・ハイマース、を運用する米海兵隊の海兵沿岸連隊(MLR)が、琉球弧の島々に臨時の攻撃拠点を構築し、島々を移動しながら中国軍を攻撃するという作戦だ。今年から無人の小型軍用車両(ネメシス)も導入。

 しかもこの作戦に自衛隊が米軍と一体で動いていく。すでに上記のような日米共同演習では自衛隊と米軍が演習をやっています。すでに琉球弧では自衛隊のミサイル基地が建設され、実戦さながらの訓練をおこなっています。
 靖国参拝などがおこなわれ、実際に死ぬことが想定された訓練がおこなわれています。
 そしてここにきて「徴兵制」が検討されています。
 

 日米両政府は、中国との「長期戦」を想定します。日米の文書では「継戦能力」ということがうたわれ、中国との戦争は「半年~1年」(防衛研究所)を想定しています。これを想定した長射程ミサイルを大量に配備しようとしています。防衛省は2024年度予算案に、沖縄をはじめとする九州や北海道、京都などに計14カ所の弾薬庫を新設する建設費222億円を計上しています。今年度から12式地対艦誘導弾の能力向上型と呼ばれる長射程ミサイルを九州に配備する計画です。さらにアメリカから巡航ミサイル「トマホーク」400発を約2540億円で購入し、25年度から前倒しで配備しようとしています。

南西諸島の軍事化

 安倍政権が安保戦争法を強行採決する裏側で、沖縄をはじめ南西諸島(宮古島・石垣島など)では、自衛隊の基地建設が急ピッチで進められてきました。これは「台湾有事」を想定したものです。
 従来、自衛隊の拠点は沖縄本島が中心でしたが、中国の活動活発化を受け、南西シフトと呼ばれる防衛政策が進展。これらの島々に、長射程ミサイル部隊を配備することにありました。
 先島諸島から、本土に避難する訓練などもおこなわれています。

  • 与那国島(2016年):沿岸監視部隊
  • 奄美大島・宮古島(2019年以降):地対艦・地対空ミサイル部隊、警備部隊
  • 石垣島(2023年):ミサイル部隊、警備部隊

社会保障を解体し、膨大化する軍事費

●軍拡と一体で儲ける防衛産業

●軍拡と大増税

 立憲民主党など野党も、これらの軍事予算に賛成しています。

【4】ウクライナ、ガザ 戦争化する世界

 2024年の世界の軍事費は前年比9.4%増の2兆7180億ドル(約390兆円)で、10年連続で過去最高を更新し、東西冷戦終結後最大の増加率となりました。増加の主な要因は、ロシアによるウクライナ侵攻を受けた欧州各国の軍事費拡大と、軍備増強を進める中国への対応として周辺国が増額したことです。上位はアメリカ、中国、ロシアで、この3カ国は世界全体の軍事費の約6割を占めています。

 トランプ大統領は世界に戦争をしかけています。6月冒頭、イランにたいする空爆をしかけました。核施設にたいする攻撃でした。国際法も国内の議会をも無視して、大作戦でした。これらの戦争は世界に衝撃を与えています。

長期化するウクライナ戦争

 2022年から始まったウクライナ戦争は3年を超えて長期化しています。ロシアの死傷者は約70万人とも言われています。北朝鮮の兵士にまで頼らなければならないような現状です。一方で、ウクライナ兵の脱走兵が20万人をこえています。ロシアでもウクライナでも、戦争への怒り、厭戦気分はピークに達しています。

 ウクライナ戦争は、ロシアは、NATO(北大西洋条約機構)が東方へ拡大し、自国の安全保障を脅かしていると認識しています。突然、勃発したわけではなく、2014年のマイダン革命など欧州をめぐるウクライナ、東欧地域の勢力圏争いにありました。このウクライナ戦争は、全面的にアメリカが支援しています。「24時間でウクライナ戦争を終わらせる」と言ったトランプも、ウクライナの資源権益の取引やロシアの弱体化のために戦争を継続しています。日本も武器支援という形で、このウクライナ戦争に加担しています。根本的な問題をとらえなければなりません。

 ウクライナ戦争は停戦どころか、ヨーロッパでは歴史的な大軍拡が始まっています。ドイツでは徴兵制の復活が始まっています。これはナチスドイツを生み出した敗戦後の制約を完全に突破するものです。

 ウクライナ戦争のなかで、最大の利益を得たのが防衛産業・軍需産業です。第一次、第二次世界大戦の中心であったヨーロッパの歴史が大きく転換しています。

ガザ虐殺をやめろ! パレスチナと連帯を

 23年10・7蜂起をもって、イスラエルのガザ侵攻・ジェノサイドが激化しています。10・7のハマースをはじめとするガザの武装抵抗勢力による蜂起(アルアクサ洪水作戦)が始まりではありません。つねにイスラエルは、1948年ナクバ以来、パレスチナ全土を占領するための作戦を継続してきました。オスロ合意は、ユダヤ人入植地を拡大させ、パレスチナを包摂するものでした。ガザ・西岸が分断され、ガザは「天井のない監獄」として、完全に制圧されてきたのです。これらにたいする積もり積もった怒りとして、10・7蜂起がありました。イスラエルはハマスによるテロと言って非難しています。しかし、これまで何人ものパレスチナ人を殺戮してきたのでしょうか? 

 これまで6万人が虐殺されています。カウントされている死者以外にも、病死や飢餓による死者はその6倍にも達すうると予測されています。また国外離散も合わせると、ガザの人口は、150万人位になっているとも言われています。

 これにたいし、トランプ政権はガザの完全制圧、大量「移送」が狙われています。これは歴史上ない民族浄化そのものです。一方で、ヨルダン河西岸地域への入植者の暴力、入植地の拡大が一挙におこなわれています。

【5】戦争と差別

 参議院選では「日本人ファースト」を掲げる参政党が「躍進」しました。しかし、この主張は労働者民衆を分断し、外国人を差別する言説となって問題化しています。
 また国民民主党は、「現役世代から手取りを増やす」と掲げ、議席を伸ばしました。これは若者と高齢者を分断し、対立させて票をとるというポピュリスト的手法でした。
 これらは外国人や高齢者が日本経済を圧迫させ、生活を苦しているような言説です。これは事実にもとづかない主張です。これは新聞各社がファクトチェックをおこなっています。しかし、30年にわたる日本経済の低迷、賃金がまったく上がらない構造のなかで、労働者は大きな怒りや不安を抱えています。これを安倍政権以来の日本の政治の失政から目をそらすために周到に準備、利用されたのです。
 このなかで、クルド人をはじめ外国人ヘイトや女性蔑視のバックラッシュが起きています。これをゆるせば戦争です。
 かつて、関東大震災の混乱の時期に乗じて、デマが流され、在日朝鮮人が数千人が虐殺されました。この悲劇は、日本が朝鮮を植民地占領するなかで、日常的に差別が温存された延長線上にありました。
 また参政党は、「発達障害はない」「LGBTは存在しない」など、これまでの社会では考えられないような主張をおこなっています。これらの勢力が一定の議席を持ち、政権入りするようなことがあれば、これらが物質力をもってきます。
 戦争は、差別と一体です。人を人とも思わなくなる時、戦争が起きます。日本の労働組合は、かつて朝鮮半島から動員された朝鮮人労働者と団結をつくれず、侵略の先兵になっていきました。労働組合は差別と対決します。技能実習生をはじめ、在日外国人労働者と連帯していきます。

【6】立ち上がる労働者階級 国際連帯で戦争をとめよう!

世界の労働者は戦争に反対!

労働組合の役割

 戦争にたいして、労働組合が「戦争反対」を訴えるのは政治的すぎるのでは? 労働組合は、職場のことだけやればいい。経済的な利害しか考えなくていいのではないか?という意見があります。

 しかし、戦争になれば労働者の権利や暮らしは壊されます。戦争になれば、労働者はどんどん貧困になっていきます。これは歴史を見れば明らかです。

 戦前の労働組合の組織率は最高で約8%に達していました。1917年ロシア革命の後、労働組合運動は高揚局面に達しましたが、治安維持法の下で労働組合が徹底的に弾圧されました。逮捕を恐れずに、非正規と連帯して闘う労働者がいました。戦争突入するなかで、これまでストライキを構えて闘う組合が、戦争に協力してしまいました。労働組合が闘う力を失って国や資本が力を持つと、戦争へ突き進む準備が整い、労働者は無権利状態に置かれます。 総力戦体制のもとで、軍需工場に動員された労働者は無権利状態でした。当時の工場法、労働に関する法令が適用除外され、無制限に働かされました。賃金も国が統制しているので労働者の闘いによる賃上げの余地はありません。