労働組合の意義を広めたロイヤルリムジン争議

組合活動

パンデミック下の労働運動

労働組合の意義を広めたロイヤルリムジン争議

 600人一斉解雇で社会に衝撃を与えたタクシー会社・ロイヤルリムジン。4月8日、屋外に集められた約80人の従業員を前に金子社長は「非常に重い決断をしました。4月7日付で全員を解雇するという形をとらせていただきました」「失業保険の方がメリット」と解雇を発表。
 この衝撃的解雇事件は、タクシー業界をはじめ全社会を駆けめぐった。「テレビやネットで自分の解雇を知った」「いつものように出社したら、いきなり解雇合意書にサインを求められた」「何の説明も受けず、わからないままサインしてしまった人も多い」と怒りの声が上がった。
 労働局には、全員解雇のことを知った経営者から『この手があったか』と問い合わせが急増。業績が悪化の一途をたどるタクシー業界は、ロイヤルリムジンを真似した会社が続出した。
 このメチャクチャな解雇に対して600人のうち10人が労働組合に加入し、社長と直接対峙した。これが一つの求心力となり、社会的反撃となった。合同一般労働組合全国協議会の仲間も会社の近く(亀戸)で情宣を行い、タクシービラをつくって組織化に踏み出した。
 20日の団体交渉で労働者に取り囲まれるや社長は、「解雇という意図で考えていなかった。解雇はしていない」として10人全員の解雇撤回。さらに5月16日から30台のタクシーで一部再開するので「協力してほしい」と泣き言をわめいた。社長は謝罪の言葉は一言もなく、天災だから仕方ないという態度だったと担当弁護士は言う。
 パンデミック(世界的大流行)の大惨事に便乗したショックドクトリンの象徴とも言える大量解雇、計画倒産が増えている。他の業種で、「コロナ情勢で業績が悪化した」ということを理由に、解雇が急増している。この中で、〈労働組合で団結して反撃する〉ことが一つのモデルになりつつある。困難な時代だからこそ、あらためて労働者の団結こそが唯一の突破の道だ。
 5月以降、失業の波が厳しさを増す。そして、このパンデミックは長期にわたる。ちば合同労組でも、この時代と立ち向かうため、本格的な準備を始めたい。(組合員K)

(写真=団体交渉の申し入れに向かう運転手ら)

ちば合同労組ニュース 第118号 2020年05月1日発行より