映画紹介『三池 終わらない炭鉱の物語』

労働映画
映画紹介『三池 終わらない炭鉱の物語』
 
 1997年に閉山となった三池炭鉱。約150年の歴史に迫るドキュメンタリー映画。百人近い証言と約30の炭鉱関連施設の撮影など7年がかりで撮影した映画。
 三池炭鉱は、福岡県大牟田市を中心に約20の坑口を持ち、坑道は有明海の下を迷路のように伸びる。その深さは海面下600㍍に及ぶ。トンネルの先端まで坑内電車を乗り継ぎ1時間かかる。全国の石炭の4分の1を生産していた。
 戦前・戦争中には、囚人労働や強制連行された朝鮮人や中国人、捕虜兵士による強制労働の歴史もある。
 1960年の三池争議は会社側ロックアウトと無期限ストライキの対決になった。第二組合の就労や石炭を貯蔵するホッパーをめぐり1万人の警官隊と2万人の労働者が対峙する「総労働対総資本」と呼ばれる闘いに。危険と背中あわせで共に働き、同じ炭鉱住宅に住む仲間が対立する話は苦しい。
 63年の炭塵爆発事故。坑口から約500㍍の構内で爆発し、爆風と炎は落盤を引き起こし、さらに一酸化炭素が構内に充満した。死者458人の戦後最大の炭鉱事故となった。
 三池争議は組合側が敗北し大規模な合理化が進んだ。炭塵爆発を防ぐには清掃と散水が必要だ。簡単な防止策だが、争議後は生産第一主義で保安要員が削減され放置された。
 救出作業の遅れもあり構内はCOが高濃度となり長時間滞留した労働者はCO中毒の後遺症で苦しむことに。事故当初、後遺症は残らないとの言説で3年で労災保障が打ち切られた。しかし、脳の萎縮などで記憶を失い、人格が変わり、家族に暴力を振るった場合も。その後の損害賠償請求訴訟などもまた長く苦しい闘いとなる。