介護保険改悪

貧乏人は介護してくれないの?

介護保険制度ができてから13年。9月に社会保障審議会介護保険部会が制度見直しの具体案を示した。論点の「在宅介護の充実と経済成長への寄与」をあらかん流に読み解きします。主な見直し内容は以下の通り。

①要介護1~5、要支援1~2の認定があるが、要支援は保険給付からはずし、市町村の事業に移す。

②特別養護老人ホームへの入居は要介護3以上

③所得(年金280万円以上)により、利用料を現在の一割から2割に引き上げ

④低所得者でも、家や財産があれば、施設入居の家賃や食費の補助をしない。

 これはつまり、介護度の低い高齢者は、施設にも入れず、保険給付からも外して、市町村やNPO・ボランティアが面倒みましょうということ。丸投げの受け皿がどこにある? 家族介護が無理な高齢者は介護難民になるだけ。

現在でも介護にかかるお金は、保険給付9割でも、施設は24時間介護で月10万円ほど利用者負担。それに対し、24時間在宅介護は保険給付だけでは無理で、自己負担が加わり、月30万程度必要。だから、訪問介護より施設入居希望者が多い。
しかし、その施設の建設も、特養は補助金削減、介護保険が使える有料老人ホームは介護保険料拠出の総量規制で建設が抑制されている。高齢者増加でも施設は増えない。
介護保険料を年金から天引きしておきながら、いまの制度では、介護保険を使いたくても使えない人が多い。

介護保険改悪で介護難民が増えるが、利用できない介護保険…。それで近い将来どうなる。あらかんの予想では、TPPをバックに、外資系生命保険会社が民間型「介護保険」を売り出し、対応する介護施設をどんどん造る。それがアベノミクスの経済成長ってわけよ。そこに貧乏人が入れるかどうか? おそらくNOだね。

最後に、介護労働者からいえば、改悪で、利用料の引き上げによる事業所の収入減。給料を減らされるかもしれないし、さらなる労働強化とサービス低下は必至。なによりもお年寄りから「金がないから、介護してくれないの」と言われるのが何よりもつらい。(あらかん)