制度・政策

制度・政策

社会保障制度の歴史を考える

実践的に考える職場と労働法 社会保障制度の歴史を考える 29年世界恐慌と第2次世界大戦を経て制度化  2回に分けて社会保障の歴史について考えてみたい。現在のような社会保障制度の仕組みができたのは、私たちが思うより歴史が浅い。  近代的な社会保障制度はヨーロッパで始まった。まず最初に資本主義が始まったイギリスで労働者の貧困問題が社会問題化して「救貧法」が作られた。  これは都市のスラム街に集まった浮...
制度・政策

低賃金と人手不足の打破を

低賃金と人手不足の打破を 施設系の利益率はすべてマイナスに  今年7~9月に実施した全国老人福祉施設協議会の調査結果によると全国の特別養護老人ホーム(特養)1600施設のうち6割で22年度の収支が赤字でした。赤字施設の割合は前年度より20ポイント近く増え、コロナ前と比べて2倍近く、05年度の調査開始以降で最大となっています。  補助金を除く収支が赤字だったのが62%で、前年度の43%から大幅に増え...
制度・政策

給食の民営化・非正規化の破綻

給食の民営化・非正規化の破綻 全国150施設で給食・食堂が停止に  全国各地で学校給食や寮の食事が提供されない事態が9月冒頭に問題となった。8月末に突然、担当者や調理員が打ち合わせに来ないなどの緊急事態が生じた。委託先だった広島市の会社「ホーユー」は9月25日、広島地裁で破産手続き開始決定を受けた。  同社は1994年に設立され、北海道から沖縄まで22都道府県の学校や官公庁など150施設で給食を提...
制度・政策

大阪万博 建設遅れで残業規制緩和の動き

大阪万博 建設遅れで残業規制緩和の動き  25年に開催予定の大阪・関西万博のパビリオン建設が停滞している問題をめぐり、博覧会協会が、建設労働者に対して24年から適用される残業時間規制を対象外とすることを政府に要望していることが明らかとなった。  大阪万博は、日本維新の会の旗振りで大阪府と大阪市が深く関与してきた。万博会場は、かつてゴミが埋め立てられ「負の遺産」とも言われた人口島・夢洲。橋本徹がこの...
公務員・教育

深刻化する教員不足と長時間労働

実践的に考える職場と労働法 深刻化する教員不足と長時間労働 給特法の撤廃―労働時間の把握と増員は必須  教員の働き方をめぐり中央教育審議会(中教審)の特別部会が8月28日、〈危機的な状況にあり、社会全体で取り組むべき〉だとする緊急提言を取りまとめた。  具体的には、「登校時対応」「校内清掃」「休み時間の対応」など14業務について、地域やスタッフなど教員以外への分担や負担軽減を進め、年間の授業時間数...
制度・政策

千葉 最低賃金1026円に

千葉 最低賃金1026円に 大幅引き上げ求め審議会にちば合同労組が異議を申立  千葉地方最低賃金審議会が8月、千葉県の最低賃金を42円引き上げる時給1026円の答申を行った。中央審議会が示した目安41円を1円超える42円は前例がないようだ。タクシー業界団体(使用者側)は「企業の支払い能力を超える」との異議申し立てもしたようだ。  各都道府県で39〜47円の引き上げとなり、全国の平均時給は22年度よ...
制度・政策

実践的に考える職場と労働法/いわゆるシフト制労働者について

実践的に考える職場と労働法 いわゆるシフト制労働者について 契約を結ぶ時、労働条件の確認は特に注意を  新型コロナに起因する休業問題などで大きな影響を受けたのがサービス業で働く「シフト制労働者」が焦点となった。厚生労働省が作成した「いわゆるシフト制により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」を使って考えたい。  「シフト制」は、労働契約の締結時点では労働日や労働時間を確定的に定めず一...
公務員・教育

学校現場 多忙化と教員不足、残業代ゼロ

学校現場 多忙化と教員不足、残業代ゼロ 非正規問題が事態の核心の一つ  最近、学校現場の教員不足、残業代、非正規問題などが焦点化している。『先生が足りない』(4月14日/岩波書店)、『先生がいなくなる』(5月16日/PHP新書)、『先生を、死なせない』(昨年8月)など、物騒なタイトルの出版が続いている。「学級崩壊」「いじめ」など学校をめぐる問題はいろいろあったが、特に教員の働き方が問題になっている...
制度・政策

入管法改悪に反対の声を

入管法改悪に反対の声を 改悪で申請者の強制送還が可能に  入管法改悪案が参院で審議されている。法案の焦点は、3回以上の難民申請者の送還を原則可能にすることだ。  現行法は、難民保護の観点から「難民認定の申請中は強制送還しない」の規定がある。もし改悪されれば、送還で生命に危険があると訴えている人も強制送還できるようになり、難民申請者にとって極めて不利な内容です。日本は難民認定率がきわめて低く、「難民...
制度・政策

入管法改悪案の国会審議続く

入管法改悪案の国会審議続く 技能実習制度の存続も画策  入管法改悪案の国会審議が始まっている。また外国人技能実習生制度の見直しの議論も有識者会議で行われている(秋に最終報告書の予定)。  技能実習制度は30年以上も続き、「国際貢献」「技術移転」などの名目で外国人労働者を受け入れるものだ。 (写真 新潟のニット工場で働くベトナム人実習生)  だがその実態は、最低賃金以下の低賃金や未払い、長時間労働や...
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労災認定に事業者の異議申し立て権/労災制度の根幹破壊する重大問題

実践的に考える職場と労働法 労災認定に事業者の異議申し立て権 労災保険制度の根幹を破壊する重大な問題  一般財団法人「あんしん財団」が職員に対する労災支給処分の取り消しを求めた裁判で東京高裁が同法人の原告適格を認め、審理を東京地裁に差し戻した。  この裁判は、職種変更や遠隔地への異動命令、過大なノルマから精神疾患となった2人の女性労働者の労災認定について、法人が「虚偽に基づく労災認定だ」と主張して...
制度・政策

会計年度任用職員3年雇止め問題 雇い止め中止し、再任用を!

実践的に考える職場と労働法 会計年度任用職員3年雇止め問題 総務省解釈で全国で数十万人が雇止め対象  国や地方自治体で働く非正規公務員の多くが年度末となる3月に雇止めとなる恐れが強まっている。  2020年4月から始まった会計年度任用職員制度について、総務省が任用(雇用)契約の更新を2回までとする方針を示したため、制度スタートから丸3年となる今年3月末を前に職員の公募試験を実施するため、すでに2回...
制度・政策

裁量労働制の適用拡大の動き/解釈変更だけで適用拡大

実践的に考える職場と労働法 裁量労働制の適用拡大の動き 法律に手を加えず解釈変更だけで適用拡大  実際の労働時間にかかわらず一定の時間を働いたとみなす「裁量労働制」の適用拡大について、年末、厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会で議論が煮詰まっています。なんと法律に手を加えず〝解釈変更〟だけで押し通そうというのです。トンデモナイ話です。 捏造データ問題  覚えているでしょうか?   安倍政権時代...
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保育労働者 深刻化する人手不足と過酷な労働環境

保育労働者 深刻化する人手不足と過酷な労働環境 一斉退職や組合加入しストライキの事例も  園児を虐待したとして静岡県で保育士3人逮捕、富山で2人が書類送検など、保育所をめぐる事件や報道が増えている。県内でも松戸市の認可保育所について同様の事件が報じられた。2021年の認可保育園における重大事故(死亡・30日以上の治療)件数は過去最多。  保育の現場は常に人手が足りず、ギリギリの状態で運営しているこ...
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労災認定、事業主の不服申し立て制度の新設の動き

労災認定、事業主の不服申し立て制度の新設の動き  労災に関する2021年度のデータ公表があり、年末は労災に関する報道が多かった。アスベストの労災認定は1011人。発症までの潜伏期間が長く、今も毎年1千人前後が労災認定されている。  精神障害による労災の請求件数も増加傾向で21年度は2346件。またトラック運転手の過労死労災は全産業でもっとも多いことが、残業時間が規制される「2024年問題」と合わせ...
制度・政策

都労委がウーバー社に団交命令

実践的に考える職場と労働法 実態からウーバー配達員の「労働者性」認定 都労委がウーバー社に団交命令  東京都労働委員会が11月25日、ウーバーイーツ配達員が労働組合を作って団体交渉を求める権利があるとする決定を出しました。ウーバーイーツユニオンは運営会社に対し配達中に事故があった場合の補償や報酬の決め方の透明性などについて団体交渉を要求していました。しかし会社が拒否していたため、一昨年3月に都労委...