公務員総非正規化の制度
20年4月実施 会計年度任用職員
本年4月1日の無期転換問題と並んで焦点になるのが会計年度任用職員。2017年5月に地方公務員法・地方自治法が改定されて、2020年4月実施で「会計年度任用職員」という採用類型が新設され、「臨時職員」「特別職非常勤」「一般非常勤」などの非正規の事務職員を、これに統一することとなった。
従来、臨時・非常勤職員は、臨時的・補助的にのみ用いられるという建前であったが、実際には全国の自治体職員の3割を超えるのが現実であり、その多くが自治体の基幹的業務を担っている。ある調査では、全国の自治体で事務補助職員が約10万、教員・講師が約9万人、保育士が約6万人など約64万人。
「会計年度任用職員」の新設は、臨時・非常勤職員の雇用の安定や処遇改善にその目的があるのではなく、非正規公務員の身分のまま公然と恒常的・本格的な業務に充てることである。
任用期間はその名の通り会計年度の末日までの最長1年。一般職なので人事評価の対象にもなる。
フルタイム型とパート型に2区分され、所定時間が1分でも短ければパートに区分される。両者は給与体系がまったく違う。フルタイム型は生活給としての給料と扶養手当や退職手当など各種手当が支給できるとしている。パート型は、報酬と費用弁償に加えて6か月以上勤務者には期末手当のみを支給できる。手当は条例が必要。
総務省は「任用の更新ではない」「新たな職に改めて任用された」というスタンスを強調している。総務省は、会計年度任用職員という名称は「新たな任用」と言いやすいと考えているだろう。
だが、なぜ同じ労働者が何年も働き続けるのか。そこに恒常的な業務があり、その労働者が必要な経験や技術、知識が蓄積しているからである。「新たな任用」論は詭弁以外のなにものでもない。
また公務員は雇用ではなく任用という理由で労働契約法やパート労働法も適用されない。だから無期転換や雇用期間を長くすることを規定する法律もない。パート労働法も非適用となる。
会計年度任用職員は、毎回の任用のたびに、その採用はすべて条件付きとなる。その期間は1か月。つまり会計年度任用職員は、再度任用されるたびに1か月の試用期間が設定されるのである。初回の使用期間も不愉快だが、毎年4月に試用期間が設定されるというのだ。従前、一般職非常勤職員は更新すれば身分保障と審査請求ができた。実務上も気持ちの上でも本当に不条理だ。
総務省は、会計年度任用職員は空白期間を置かない運用ができると説明している。しかし、常勤の会計年度任用職員が空白期間をおかずに6か月を超えて雇用されると退職手当請求権が発生する。だからあの手この手で空白期間をつくる動きは続く。
パート型については兼業を自由化するという。低賃金なのでダブルジョブで稼げということなのだ。
この重大な攻撃が「非正規にも一時金支給へ」とだけ報道されている。しかし、核心は公務員の総非正規化攻撃である。安倍政権が進める「非正規という言葉をなくす」=非正規の標準化の攻撃である。無期転換問題と合わせて本気で立ち向かなければならない課題だ。(組合員S)
ちば合同労組ニュース 第90号 2018年01月1日発行より