労働組合法上の要件と運営について

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労働組合法上の要件と運営について

労働組合の運営は規約と多数決による自治が原則

◎主体となって

 労働組合法が認める労働組合は、労働者が主体となって組織した団体であることが必要です(2条)。「主体となって」とは、労働者が構成員の主要部分を占めること、労働者が組合の運営・活動を主導することと解されています。一部に学生や専従、退職者等が参加していてもまったく問題ありません。
 地方自治体で、労組法が適用されない非現業公務員と、労組法が適用される現業などの公務員を共に組織する混合組合は、裁判等では労組法の労働組合として判断されています。人数の割合なども関係ありません。

◎自主的に

 さらに労働者が自主的に組織する団体である必要があります。特に使用者から独立していることが重要です。これは結成や運営について使用者の支配を受けている労働組合は労組法の保護を受けないことを意味しますが、使用者の支配の判断は微妙で御用組合がすべて労組法の保護を受けないとすることは乱暴であり、多くの問題は「支配介入」の不当労働行為として対処すべき問題です。
 具体的には、使用者の利益代表者の参加はNG。取締役などの役員、人事権を持つ上級管理者、労務・人事部課の管理職、社長秘書などです。
 また「経理上の援助」もNGですが、労働時間内における有給での使用者との協議・交渉、組合の福利厚生基金への寄付、最小限の事務所の供与は、「経理上の援助」に該当しません。

◎目的・団体性

 労組法上の労働組合の目的としては、「労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ること」を主たる目的とすることが要求されています(2条)。
 とはいえ付随的であれば共済事業その他福利厚生事業、政治運動・社会運動も目的とすること構いません。
 労組法の定める最後の要件として「団体又はその連合団体」であることが必要です。つまり複数人の組織で、規約を持ち、運営のための組織(意思決定機関・業務執行機関・役員・会費)を持っていることが必要です(社団性)。
 ただ、仮に組合員が1人になってしまった場合でも、組合員増加の努力がなされる可能性がある限り団体性は失わないと解されています。
 規約については、「名称」「主たる事務所の所在地」などに加えて、組合運営に組合員が参加する権利、平等の取り扱いを受ける権利、人種や宗教、性別などで組合員の資格はく奪の禁止、役員選挙の直接無記名投票や総会の開催、会計監査と報告、スト権投票の直接無記名投票の過半数決定、規約改正の手続きなどを、規約にきちんと定めることが必要です。

◎資格審査

 上記の要件を満たせば、労働組合は法人格の取得、不当労働行為の救済などを受けることができます。多くの場合、不当労働行為の申立てや救済の前提として資格審査が問題となり、併行審査となり、書面上の補正などの指導が行われるケースが多いです。

組織と運営

◎基本は組合自治

 労働組合の運営については組合規約と多数決による自治(自主的運営)が原則です。基本的に組合自治で運営するということですが、法的にいくつか問題になります。
 第一に、労組法は11条で法人格取得の規定を置き、法人である労働組合は代表者を定め、代表者は法人である労働組合のすべての事務について労働組合を代表します。ですが、規約の規定に反することはできず、総会の決議に従わなければなりません。
 第二に、組合民主主義の問題として、組合幹部や一部の集団が独断専行を行うことを防止するために、①組合員が組合運営に平等に参与し、平等の取り扱いを受ける権利、②組合員の言論の自由、③規約・規定の遵守、④組合運営上の重要事項の組合員の直接参与の手続き、⑤労働組合の統制権の限界づけ――などの規定が要求されます。

資格の得喪

◎加入

 労働組合は労働者が自発的に結成する任意団体なので、構成員資格を得るには加入という自発的行為が必要です。
 他方で、労働組合の側は加入資格をどのように制限できるかという問題はあります。
 組合は、産業・企業・工場・職種など労働者の利害関係の違いを基準として加入資格を制限することは、それぞれの組織形態の問題で、組合自治に委ねられます。もちろん人種等を理由の加入を拒否することは不公正や差別的取り扱いとされます。

◎脱退

 組合員に脱退の自由はもちろんあります。組合員の脱退に執行委員会や大会の承認を必要とするなどの規定は無効と解されます。加入・脱退に関する例外としてユニオン・ショップ協定がありますが次回以降に紹介します。

 ちば合同労組ニュース 第122号 2020年09月1日発行より