実践的に考える職場と労働法-賃金/賃金闘争の闘い方

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賃金/賃金闘争の闘い方

賃金は、労働者にとって生活を成り立たせるための重要なものであり最重要の労働条件の一つです。
労働基準法には、労使が対等の立場で決定することを原則としつつ、法律でその支払い方法などについて様々な保護規定を置いています。
労働基準法では、賃金については、労働契約の締結時と就業規則において労働者に必ず明示しなければならない事項として規定されています。
「賃金規定」「給与規定」を就業規則とは別の規則として作成し、社員に見せない使用者がいます。賃金規定も就業規則の一部なので周知義務もあります。もちろん、その作成・変更にあたっては所定の手続きが必要となります。つまり、賃金規定の改定は一方的にはできないのです。
労基法では、労働協約・就業規則・労働契約であらかじめ支給条件が明確になっているもの(慣行も含む)は、すべて賃金とされ、以下の法的保護を規定しています。
とはいえ、最低賃金の設定や各種差別待遇の禁止などの規制はありますが、賃金の決定そのものについては、つまり賃金体系・ベースアップ・定期昇給・人事考課などは、労使で自主的に決めることになります。

賃上げ春闘

従来、日本の労働者の賃金は、定期昇給とベースアップが昇給の一般的な形態でした。定昇は、一定の時期に年齢や勤続年数、職能資格の上昇に伴って賃金額が年功的に上昇する仕組みです。ベースアップは、賃金の基準額(賃金表)そのものを改定し賃金の全体的底上げを行うことを指します。
日本では、1955年ごろから全国一斉の春闘が始まりました。鉄鋼・電機・造船・自動車などの民間主要企業で妥結された結果が「春闘相場」を形成し、この相場が他産業・他社の交渉、組合のない企業の賃上げ額などにも影響を与えました。公務員の賃金(人事院勧告)にも連動しました。
かつては春先になると春闘ストライキで交通機関が止まるニュースが流れました。街中に組合の赤旗がたなびきました。春闘ストを指導したとして日教組の委員長が逮捕されこともあります。
動労千葉の中野前委員長は、労働者を分断する一番基本的でオーソドックスな手段は賃金であると指摘し、それを賃金闘争の重要性の理由としています。「賃金闘争で一番大事なことは、賃金と賃金闘争を通しての分断攻撃を許さないこと」と言っています(中野洋著『甦る労働組合』)。
近年、賃金の集団的決定が著しく後退し、個別賃金化が進んでいます。これを打ち破る賃金闘争が求められています。確かに会社は、労働者には容易に把握できない複雑怪奇な賃金体系をつくります。
これによって「会社の言うことを聞けば賃金を上げる(逆も)」「会社が儲かれば労働者もよくなる」という考えに染まっていきます。労働者の分断を打ち破って団結を生み出す大幅一律賃上げの闘いが必要です。
千葉県の最低賃金は10月1日から時給842円となりました。東京は932円。これ以下の労働契約は無効となり、最低賃金額に書き換えられます。罰金は50万円。

賃金の支払方法

賃金を確実に支払わせるための4原則は以下の通り。

1通貨払原則 通貨による賃金支払いを義務づけ、価格が不明瞭で換金に不便な現物支給を禁止しています。労働者が真に自主的に同意すれば銀行口座への振込はOK。労使協定で定期券の現物支給などもできます。

2直接払原則 親権者・親方・仲介人・代理人など第三者による中間搾取を防止するための規定です。賃金の差し押さえも4分の3の部分は禁止されています。

3全額払原則 戦前の芸娼妓契約が典型ですが、親が多額の金銭を借り受け、子どもが無報酬で働いて借金を返すような不当な人身売買・労働者の足止め策は、労基法17条で禁止されていますが、直接払・全額払原則にも違反します。

4毎月一回以上一定期日払原則

休業手当

使用者の責めに帰すべき理由による休業の場合、使用者は、平均賃金の6割以上の休業手当を支払う必要があります。民法では、賃金全額を請求できます。
労基法上の休業手当は、労働者の生活保障のために、使用者の帰責事由をより広い範囲で認めています。使用者に故意や過失がなく防止が困難なものであっても、使用者側の領域で生じた、機械の故障や検査、原料不足、官庁による操業停止命令なども含むと解釈されています。
未払い賃金の時効は2年、退職金は5年です。労働基準監督署に申告して指導・勧告させることもできます。
倒産した場合、労働者健康福祉機構の未払賃金立替払制度が倒産した企業に代わって8割を支払ってくれます。

ちば合同労組ニュース 第77号(2016年12月1日発行)より