感染対策の職場闘争は「闘いなくして安全なし」

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新型コロナ関連の労働問題 続き

感染対策の職場闘争は「闘いなくして安全なし」

 緊急事態宣言は5月7日以降も1カ月ほど延長される方向のようだが、その後はある種の〝共存〟政策へ転換することが想定される。「闘いなくして安全なし」の原則的な立場で労働組合としてコロナ感染対策をめぐる闘いが必要となる。その一助として法律問題を検討したい。

安全配慮義務

 労働契約法5条は、使用者の労働者に対する安全配慮義務を定めている。
 さらに労働安全衛生法は、事業者には労働災害を防止する義務があり、また快適な職場とするよう努める義務を規定している(3条1項)。
 常時50人以上の労働者を使用する事業場では衛生委員会の設置義務がある。事業者は、衛生委員会を月1回以上開催し、職場衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関して議論しなければならない。議事録は労働者に公開する必要がある。
 新型コロナ感染の脅威については周知のとおりで使用者は職場における感染リスクを把握・分析・評価し、対策を講じることが必要となる。
 感染対策は、最新の知見の入手や訓練等も必要であり、業務のあらゆる領域に関わる。衛生委員会や団体交渉等を通じて議論をしっかりと行い、具体的な対応策を公表させなければならない。
 特に職場が医療機関の場合は、職務の性格上、労働者が新型コロナウイルスに罹患する可能性が高い。
 業務中に発生した災害は労災となる。労災保険から療養費(医療費)、休業補償、死亡時には遺族補償年金等を受けることができる。労災申請には感染経路の証明が必要となる。個人では対応が困難だ。労働組合として組織的に取り組むことも必要となる。
 マスクの着用なども恒常的に必要になる。その場合、会社の制服と同様に会社に準備させなければならない。

通勤への配慮

 職場が再開しても、基礎疾患を持つ労働者、高齢の労働者、妊娠中の労働者など、朝、混雑した電車やバスに乗って通勤することが困難な者は多い。時差出勤やテレワーク、有給の特別休暇制度などを整備していくことも必要だ。
 感染リスクを避けるために出勤できない場合、解雇や懲戒処分の客観的合理的理由にはならない。時差出勤やテレワークなどの措置が可能にも関わらず使用者が拒否した場合は賃金全額の支払いを求めることができる。少なくとも平均賃金の6割以上の休業手当(労働基準法26条)は求めることができる。

倒産攻撃と闘う

 倒産件数は5月以降、大きく加速すると思われる。「コロナの影響で経営が厳しい人員整理を検討中と言われた」との相談が寄せられている。
 新型コロナに関係する解雇や雇い止め、派遣切りの場合、もちろん労働者に責任はない。使用者の経営上の理由による「整理解雇」に該当するので解雇の〝正当性〟は通常の解雇よりも厳格に判断される。4要件「①人員削減の必要性」「②解雇回避の努力」「③対象者の選定基準等の合理性」「④説明・協議の有無」などが問題になる。
 今後、解雇や雇い止め、派遣切りなどをめぐる争議は激増する。理論武装なども含めて対応していきたい。解雇の脅しによる退職勧奨などについて、とにかくその場では即答せず労働組合に相談するようにしてほしい。
 タクシーのロイヤルリムジン社のように会社の朝礼で「本日をもって全員を解雇する」と通告されるような事態も増えると思われる。こんな乱暴なやり方はありえない。事前に解雇の必要性や解雇回避の策などを取ることが会社には求められる。不当解雇であり、闘えば必ず展望は見いだせる。

退職勧奨は拒否

 労働者の置かれた状況が単なる休業なのか、退職勧奨なのか、解雇されたのか不明なケースも多い。
 「新型コロナの影響で仕事がない。当分の間はシフトを入れるのは難しい」と言われて無給のまま自宅待機しているような場合だ。
 この場合、まず休業であれば賃金全額補償を求めよう。最低でも6割以上の休業手当の支払いは必須だ。労働条件通知書や労働契約書、シフト表など、労働契約の成立と勤務実績を示す資料を用意して賃金補償などを求めることが大切だ。
 「もう仕事がないから来なくて良い」も解雇なのか退職勧奨なのかハッキリさせることはやはり必要だ。
 退職勧奨であれば拒絶し、就労か賃金補償を求める。解雇であれば不当解雇を争う。いずれにせよ個人では対応は困難なので労働組合に相談を勧めたい。

ちば合同労組ニュース 第118号 2020年05月1日発行より