かぞくいろRAILWAYS

労働映画

映画紹介『かぞくいろRAILWAYS』

 『49歳で電車の運転士になった男の物語』『愛を伝えられない大人たちへ』に続くシリーズ第3弾。前2作は男性の電車運転士が主人公だったが、今作は気動車(ディーゼルカー)を運転する女性運転士が主人公で肥薩おれんじ鉄道が舞台。
 有村架純が演ずる奥薗晶は東京で幸せな結婚生活を送っていたのだが、夫の突然の死でシングルマザーに。生活の糧を得ることが困難となり、晶は、夫の連れ子・駿也と共に夫の故郷へ。その鹿児島には長年、ある事件を機に夫と疎遠だった義父(國村隼)が暮らしていた。
 運転士の仕事一筋で生きてきた義父は、面識もなく突然やってきた晶たちに戸惑いながらも一緒に暮らし始める。やがて晶は、亡き夫の幼年時の夢であり、電車が好きな駿也のために、鉄道の運転士を目指すことに。
 さっそく肥薩おれんじ鉄道の入社試験を受け合格。JR九州の研修センターで厳しい訓練にも耐える。亡き夫と義父をつなぐサツマイモカレーのエピソードも良い。駅でのオーバーランや「オレンジ食堂」(観光列車)での急ブレーキなど、失敗の連続ながらも一人前の運転士を目指す晶。そんなある夜、鹿が線路で立ち往生し、ブレーキが間に合わず鹿を轢いてしまう。瀕死の鹿を見て過去のツライ経験を思い出し取り乱す。この事件で晶は運転士の適正を問われることに…
 肥薩おれんじ鉄道は、九州新幹線の開業を機会に04年に経営移管された熊本県八代から鹿児島県川内を結ぶ第三セクター鉄道。7月4日に発生した豪雨で土砂流入など45か所で被害が確認されており、現在復旧の見通しが立っていない。

 ちば合同労組ニュース 第121号 2020年08月1日発行より