永続的な派遣制度を狙う法改悪
みなし制度10・1施行前の廃止が狙い
国会で派遣法の改定案が大急ぎで審議されています。強行採決とも言われています。実は大きな秘密があります。政府と財界は、現行派遣法のまま10月1日を迎えることを避けたいのです。
なぜ急ぐのか?
現行法では今年10月1日に「労働者契約申し込み・みなし制度」(みなし制度)が施行されます。この制度は、派遣先が違法派遣と知りながら派遣労働者を受け入れている場合、違法状態が発生した時点において、派遣先が派遣労働者に対して労働契約の申し込み(直接雇用の申し込み)をしたものとみなす制度です。
例えば、3年間の制限期間を超えて働いている派遣労働者は、違法状態が発生した(つまり3年を過ぎた)時点で、使用者が労働者に対して直接雇用を申し入れたとみなされます。
この制度は08年のリーマンショックで派遣村などが問題になって制定されました。財界の抵抗もあって施行が猶予されていたのですが、いよいよ10月1日に施行が迫っているのです。
しかし企業の経営者たちは、派遣労働者を安価でいつでもクビを切れる存在として考え、「みなし制度」を闇に葬ろうと必死なのです。
みなし制度が標的
こうして財界の大きな期待と使命を帯びた安倍政権と自民党は、派遣法を改悪して「みなし制度」を廃止しようとしているのです(みなし制度実施は10月1日で、改定案の施行は9月1日)。
今回の大改悪が実施されれば、企業は永続的に派遣を使用できます。企業にとって極めて有利で、労働者には著しく不利な制度です。
派遣法の改悪と並んで、残業代ゼロ法案や安保法制関連法案」の国会審議も始まっています。安倍政権がやろうとしていることは、労働者の生命と権利の破壊です。
ちば合同労組ニュース 第59号(2015年6月1日発行)より