【茨城県】「不法就労」通報に報奨金 許せぬ分断政策

密告制度化 茨城県が方針
1月18日、茨城県は「不法就労」の通報に対する報奨金制度を導入する方針を決めた。県が外国人の「不法就労」に関する情報を募り、受け入れ事業者の逮捕につながった場合、謝礼として1万円を支払うというものだ。
知事は「真面目に働く外国人を不安がらせるものではない」「対象は事業者であり外国人個人ではない」と説明している。しかし、社会の分断が加速することは避けられない。小遣い稼ぎ感覚で通報する人や、外国人ヘイトをあおる動きが広がる懸念も指摘されている。
「正規か不法か」は外見から判断できない。在留カードの確認などが必要だが、自治体職員にも調査権はない。結局、憶測や偏見に頼らざるをえない。こうした状況で報奨金(税金)を支払うことは、県が「密告」を奨励しているのと同然だ。

「不法」の構造
そもそも、なぜ「不法就労」が生まれるのか。制度の不備こそ問題である。技能実習生が劣悪な環境で働かされたり、不当に解雇されたりするケースは後を絶たない。外国人労働者の就労は限られた職種に制限され、極めて狭い範囲でしか働けない。
その結果、就労資格を持てず働かざるをえない外国人や、雇用せざるをえない事業者が生まれている。こうした実態を踏まえ、適正に働ける環境を整えることが先決だ。
また、長年にわたり「不法就労」のグレーな状況を利用してきたのは国である。バブルや五輪など需要のある時だけ外国人労働者を受け入れる「調整弁」として扱い、「移民」という言葉すら避けてきた。通報を奨励しても問題は解決しない。
この方針に対し、外国人支援団体だけでなく、弁護士会や農業団体からも撤回を求める声が上がっている。茨城県では「不法就労」とされた労働者の多くが農業に従事しているためだ。
日本の農業は深刻な人手不足のなか、外国人労働者によって支えられている。制度が始まれば、現場が立ち行かなくなるのではないかという懸念も広がっている。
排外主義の利用
賃金の停滞や将来不安など、社会のひずみが広がるなかで、「外国人が悪い」とする風潮が強まっている。しかし、外国人労働者が職を奪っている、あるいは問題を引き起こしているという明確な根拠は乏しい。
欧州では反移民を掲げる勢力が支持を伸ばしているが、社会問題を解決した実績はない。反移民感情は、支持拡大のための手段として利用されているにすぎない。

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連帯の立場を
今回の制度が全国に拡大する恐れも指摘されている。入管政策や各地の動きとあわせ、外国人排除が進みつつある。その排他的で強圧的な施策は、やがて労働者全体に跳ね返り、「密告社会」を生み出す。
移民労働者は、われわれと同じ労働者である。彼らの待遇が後退すれば、日本人労働者の権利も必ず後退する。ちば合同労組は、同じ労働者として今回の制度にノーの意思を表明する。
ちば合同労組ニュース 第189号 2026年4月1日発行より
