連載・介護労働の現場から〈働き方編11〉/仲間づくり(1)

連載・介護労働の現場から〈働き方編11〉

仲間づくり (1)立ち位置

▲お局さま
 介護職の離職理由の№1は、職場の人間関係である(最近は、施設の理念や運営に疑問という理由と拮抗している傾向にある)。
 働く前には、職場風土や人間関係はほとんど分からず、もう運命みたいなものだ。しかし、介護の現場には独特な特徴がある。
 まず、女性が多い。施設介護で女性の割合が75%、それも40歳以上が過半数。夜勤などきつい仕事を安い給料で、頑張っている中年女性というイメージ。
 はっきり言ってけっこう気の強い人が多い。「一回で覚えて!」「前に言ったよね!」と新人を鍛え、仕事に慣れてくると、いくらでも仕事を押しつけてくる。利用者の情報は教えず、わざと新人が失敗するように仕向けたりもする。
 オープン後経過している施設では、それが独特の施設内社会を形成し、「お局さま」(あるいは、その取り巻きグループ)という仕切り屋がマイ(アワ)ルールを押しつけてくる。ミーティングで決まったことなど平然と無視するし、施設長の忠告などどこ吹く風。最悪、こういう施設でどう働けばいいのか? 辞めちゃうほうが早いけど、あえて働き続けるなら、自分の立ち位置を決める必要がある。

▲おひとりさま
 なぜ働くか? 生活費を稼ぐだけの目的なら介護職は割に合わない。他の職種のほうが条件がいい。介護という仕事に貢献し、専門職として充実した日々を送るため。
 それが、いわばコンセプトだが、介護はチームワークなので一匹オオカミでは仕事ができない。まず、お局対策。お局さまは、頼られるのが大好き。かといって無理に媚びることはない。お局のプライドを壊さない程度に共感する。さりげなく「なるほど」と持ち上げておく。
 そして、お局だけでなく他の職員に対してもあいさつや笑顔をたやさない。仕事は100%確実にやる。できれば先輩に対してプラス10%のフォローをする。
 プライベートなことは、聞かれたことだけ控えめに答え、噂話や悪口に対しては、乗らないで、聞くだけにする。牙は隠しておく。団結の第一歩は、弱いもの同士、対立しないというのが鉄則。
 このような立ち位置は、他の職員には「ちょっと天然だけど、愛想は悪くないし、仕事ちゃんとできるから、まあいいか」と思えるかもしれない。適度な「おひとりさま」を保ちつつ次に備えるのだ。
 お局さまは、みんなで決めたことも守らないのだから、実は「裸の王様」。そのような施設内のヒエラルキーに、ほとんどの人は飽き飽きしている。利用者の情報は共有化し、仕事は平等に分担するという方向に変えていけばいいのだ。シフト制だから、お局さまがいない日は週の半分近くはある。その時にお局ルールではない方法に少しずつ変えていく。
 次回は、いよいよ仲間づくりについて。
(あらかん)

ちば合同労組ニュース 第83号 2017年6月1日発行より

映画紹介『 RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』

映画紹介

『 RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』

 地方鉄道を舞台にしたシリーズ第2弾。富山地方鉄道運転士のドラマを描く。三浦友和が演ずる主人公は、富山県の地方鉄道に勤務する実直一筋の運転士。1か月後に定年を控え、退職後は妻と海外旅行に行こうと計画していた。ところが妻(余貴美子)は、「(夫の退職後は今度は自分が)終末医療の看護師として働きたい」と話す。妻は若い頃、看護師だったのだ。退職後は夫婦でのんびり過ごそうと考えていた夫は「そんなことは認めない」と口論になり、妻は家を出て行く。
 妻の気持ちを理解できないまま退職までの残りの日々を運転手として過ごす夫。会社から頼まれ、乗り気ではないが新人の研修を担当。彼女とけんかして遅刻した新人に「運転士になる資格がない」……。家に戻ってきた妻に理解を示すつもりで「気が済むまで仕事をすれば良い。ある程度働けば気が済むだろう」。夫が自分のことを何も理解していないことを知り、妻は離婚届けを突き付ける。映画はずっと夫の目線で進み、妻の気持ちは理解できない展開になっている。
 実は、妻はがん検診で再検査となり死を意識、自分の人生がこのままで良いのか悩み、がんで亡くした母親が家に戻りたかったのに病院に入院させたまま何もしてやれなかったことを後悔していたのだ……
 思いのほか緊張感のある展開が続く。最後はある事件をきっかけに大団円に向かいます。定年を目前にした実直な運転士とその妻が人生の節目を迎え揺れ動くさまを描く。西武鉄道で活躍したレッドアロー号が物語を進める役回りですが、鉄道映画というよりお仕事ムービーです。

ちば合同労組ニュース 第83号 2017年6月1日発行より

自治体丸ごと民営化へ向かう柏市

自治体丸ごと民営化へ向かう柏市

現場労働者の団結を議論と闘いの基礎に

公営住宅 老朽化が著しい施設は建て替えを前提とせず、築40年以上が経過している4施設については、廃止に向けて段階的に着手します。
私立保育園の整備 必要なサービス量の確保については、私立幼稚園の整備により対応します。公立保育園(23園)のありかたについて、廃止や民間事業者への移行を含めて検討し、送料の縮減を図ります。
小学校 適正規模に満たない小規模校のうち、単学級以下の学校(小学校4校、中学校1校)を対象に、隣接校との集約化(統合)を含めた検討を進めます。
庁舎・出張所 出張所はマイナンバーの普及に伴い、自宅やコンビニで証明書を取得できることから、統廃合も視野に入れて検討します。

「柏市公共施設等総合管理計画(基本方針編)」より

 柏市は3月に「公共施設等総合管理計画(基本方針編)」を策定しました。150㌻に及ぶもので、市の庁舎や出先機関、学校をはじめ建物と道路や水道管などのインフラを部門ごとに列挙して、統廃合や民営化を示唆しています。
 職員の処遇や身分については言及していませんが、この通りに進めば、市の職員として残るのは幹部(候補)職員だけとなり、それ以外の大半の公務員は雇用の期限付きの非正規職員や民間の労働者に置き換えられることは、容易に想像がつきます。
 運営方法としては民間施設への転用・活用が前提になっており、たとえば「マイナンバーの普及による『コンビニ交付サービスの活用』により、市民課などの証明書申請・交付窓口も縮小し、施設を前提としないサービス提供方法へ変更する」と書いてあります。自治体のありかたの大転換がはらまれています。

公立保育園全廃も示唆

 今回、特に強調されているのが市営住宅と保育園と小中学校に関わることです。

公営住宅については「老朽化が著しい施設は建て替えを前提とせず、築40年以上が経過している4施設については、廃止に向けて段階的に着手」

公立保育園の今後について市として初めて言及し、「必要なサービス量の確保については私立幼稚園の整備により対応します。公立保育園23園については、廃止や民間事業者への移行を含めて検討し、総量の縮減を図ります」

・小学校については「適正規模に満たない小規模校のうち、単学級以下の学校(小学校4校、中学校1校)を対象に、隣接校との集約化(統合)を含めた適正配置の検討を優先的に行います。学校の適正規模を維持し、規模の縮減(ダウンサイジング)も検討」

 ――と記載されています。公立保育園の廃止や民営化についてはこれから具体的に対象園を絞っていくと思われます。
 公立保育園で働く労働者の多くは3年契約の「任期付き職員」です。雇い止めをさせない闘いが必要です。そもそも、日々子どもたちや保護者のことを真剣に考えて働いている職場と労働者が簡単にリセットされていいわけがありません。
 まず何が起きようとしているのかを真剣につかみ議論を開始することが必要です。労働運動・労働組合の課題であり、それぞれの職場で働く労働者が団結して闘うことが事態を転換させることを、議論と闘いの基礎にすることだと思います。

激変する自治体職場

 少し大きな視座で見ると「自分たちの子どもの時代には正社員や正職員がなくなる」現実味が増えています。仕事がきつくなって職場の団結や連帯感も薄れ、アクシデントや失敗は「個人の責任」にされ、「告げ口」「足の引っ張り合い」も増えかねません。
 でも、この悪循環は労働者の団結で断ち切れると思います。まず現場で起きていることを一緒に議論し、団結を固めて職場を変えていく展望をつくっていく。労働組合にはその力があるはずです。まずは、そのことにエネルギーを注ぎたいと思います。
 例えば、この10~15年で公的介護の現場は劇的に変化しました。2000年に介護保険制度ができる前は、従事する労働者は公務員かそれに準ずる待遇を受けていました。それが介護保険によって民間参入と競争原理が持ち込まれ、いまや介護職場は最低賃金スレスレの低賃金や人員不足、長時間労働などが深刻化しています。離職率の高さがそれを物語っています。
 1987年に中曽根政権が労働組合つぶしと利権を目的に強行した「国鉄分割・民営化」から今年で30年を迎えていますが、JR各社も「選択と集中」でローカル線の廃止(北海道は路線の半分が維持困難)や、運転士や駅員を含めた外注化と非正規雇用化が焦点になっています。国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)は、十数年間、鉄道業務の外注化と闘って食い止めています。(投稿/次回へ続く/柏市公共施設等総合管理計画全文は柏市ホームページより閲覧可能)

ちば合同労組ニュース 第83号 2017年6月1日発行より

宮本市長に批判の声 高まる/習志野市障がい者解雇撤回裁判

宮本市長に批判の声 高まる

習志野市障がい者解雇撤回裁判

 習志野市の宮本市長が「障がい者枠で採用した」Aさんを「能力不足」と決めつけて解雇してから1年が経ちました。4月7日の第3回口頭弁論も70の傍聴席がすべて埋まり、社会的にも大きな注目が集まっています。
 裁判の進行とともに市が隠していた事実が明らかになっています。障がい者の「健康度」も評価対象にして「あまり健康ではない」と評価し、能力不足としていたことに驚きの声があがっています。
 宮本市長は、Aさんを「能力不足」で解雇したのは、「勤務実績報告書で60点に達しなかったから」と言いました。しかし「60点解雇基準」にはなんの法的根拠もないことが裁判で明らかになりました。
 4月7日の裁判で弁護士が「60点という基準に法的根拠はあるのか?」と問いただすと、市の弁護士は「成文化されたものはない。だが基準である」と繰り返すのみ。
 習志野市に就職して条件付き採用期間(試用期間)で解雇されたのはAさんが初めてなのです。今まで「60点に達しなかったから解雇」された例などありません。ただAさんを解雇するために勝手に持ち出した職員の誰も知らない「基準」だったのです。
 成分化されていなかった重大事実は各紙で報道されました。次回裁判は6月13日13時30分、千葉地裁601号法廷です。ぜひご参加を。

ちば合同労組ニュース 第82号 2017年05月1日発行より

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労働学校へご参加を

 ちば合同労組では組合として労働学校に集団受講しています。組合員はぜひ参加して下さい。

テーマ 『共産党宣言』を読む

日時 5月20日(土)13時~
講師 白井徹哉(ちば合同労組書記長)

 労働組合の学習文献の定番である『共産党宣言』。はじめての人を対象に朗読から行います。
 【+職場からの闘いの報告】
ちば合同労組ニュース 第82号 2017年05月1日発行より

職場からの声でサービス残業なしに

職場からの声でサービス残業なしに

 今の職場に入って一年が経ちました。職場の仲間と雑談ができるようになりました。
 そこでの話。同僚が参加した研修会の場でサービス残業をなくそうという話になり、同席していた課長がなくすことを確約したそうです。
 労働組合を通してではありませんが、労働者の怒りを直接ぶつけた結果です。
 これには職場の労働組合が当局と団体交渉を行って時給50円のアップをかち取ったことが大きいと思います。
 組合にできたのだから、私たちも要求しようということになったのだと思います。別の職場では賃上げは組合のおかげと公然と話がされているそうです。
 今年はロシア革命から百年です。課長がガボン(秘密警察のスパイだったガポン神父の主導で労働者の闘いがロシア皇帝への請願行動にねじまげられたが、結果的には「血の日曜日事件」に至った。のちのロシア革命の原動力となった)みたいにならないように祈ります。
 私の職場、いよいよ面白くなって来ました。職場からの闘いをつくりだていきたいと思います。(M)

ちば合同労組ニュース 第82号 2017年05月1日発行より

実践的に考える職場と労働法 健康診断の実施

実践的に考える職場と労働法

事業者による健康診断の実施

職場環境改善の措置を講じさせる

 労働者の健康管理のための重要な手段として健康診断があります。健康診断は個々の労働者の健康状態を把握するために必要なだけでなく、労働者の健康状態から作業環境管理や作業管理の問題点を発見し、改善を図るためにも必要です。
 労働安全衛生法は事業者に各種の健康診断の実施を義務づけています。
①雇入れ時健康診断
②定期健康診断
③特定業務従事者の健康診断
④海外派遣労働者の健康診断
⑤給食従業員の検便
 ①雇入れ時健康診断は、常時使用する労働者を雇い入れる時に事業主に実施が義務づけられています。ちなみに「採用選考時の健康診断」ではありません。雇入れ時健診は、労働者を雇い入れた際における適正配置や入職後の健康管理のためであって、応募者の採否を決定するために実施されるものではありません。
 ②定期健康診断の対象は常時使用する労働者となっています。パートなど短時間労働者も1年以上働く見通しで所定労働時間の4分の3以上であれは一般検診が必要です。
 所定時間の2分の1以上働く労働者については実施が望ましいとの通達もあります。
 定期検診は、1年以内ごとに1回、定期に一定の項目について医師による健康診断を行うものです。有毒ガスや粉じんなどを発する場所での業務、月4回以上の夜勤に従事する労働者については特定業務従事者として6か月に1回の定期検診が義務づけられています。

特殊健康診断

 一定の有害業務に従事する労働者については、一般検診に加えて特殊健康診断の実施が義務づけられています。
 放射線業務などの有害業務に従事する労働者は、雇入れ時、配置換えの際、一定期間以内ごとに、定期に、それぞれの業務に定められた特別の項目について医師による健康診断が必要です。鉛中毒とか石綿による肺がんなどターゲットを定めた診断です。
 有害業務に起因する疾病は、発症までの潜伏期間が長いものあるので、このような業務に従事した労働者は、従事しなくなった後においても疾病の早期発見を図る必要があるので、事業者に対して有害業務から他の業務への配置換えの後も定期的に特定の項目について健康診断を義務づけています。
 さらに退職や倒産による労働者の離職後は、健康管理手帳によって、政府の費用によって定期に健康診断を行う仕組みになっています。

必要措置の実施

 労働安全衛生法は、健康診断の実施を事業者に義務づけており、労働者にも受診義務を規定しています。もっとも労働者にも医師選択の自由があるので、事業者が指定した医師による健康診断を希望しない場合は、他の医師による診断結果を事業者に提出しても良いことになっています。
 また深夜業に従事する労働者については、健康に不安を感じ、次の健康診断を待てない場合には自ら健診を受診して、その結果を事業に提出できるとする規定があります。事業者は、診断の結果に基づいて医師等からの意見聴取などの措置が必要となります。
 健康診断の結果、異常の所見があると診断された労働者については、事業者は、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師・歯科医師の意見を聴かねばならず、その意見を勘案し、当該労働者の就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少などの措置、作業環境測定の実施などの措置を講じなければなりません。
 事業者は、健康診断を受けた労働者に対して、その結果の通知が義務づけられています。特に健康の保持に努める必要があると認める労働者には、医師または保健師による保健指導を行うように努めなければなりません。
 定期健診については、健康診断結果報告書を労働基準監督署に提出しなけれなりません。常時50人以上の労働者を使用する事業者、特殊検診に係る事業者には提出が義務づけられています。報告書には産業医の署名または記名押印が必要です。

費用は会社負担

 健康診断の費用については、法で事業者に実施の義務を課す以上、当然、事業者が負担すべきものです。
 検診に要した時間についての賃金の支払いは、当然必要だと思いますが、通達では一般検診は一般的な健康の確保のためであり業務遂行との関連において行われるものではないので、事業主の負担が望ましいとされています。
 特殊検診は、事業の遂行にからんで実施されなければならず、当然、所定労働時間内に行われるのが原則であり、時間外に行われた場合には割増賃金も必要です。
ちば合同労組ニュース 第82号 2017年05月1日発行より

連載・介護労働の現場から〈働き方編10〉

連載・介護労働の現場から〈働き方編10〉

介護は専門職

*偏見と蔑視に満ちた仕事

 介護は、以前は家族の役割であった。子どもを育て、お年寄りの世話をするのは、家族の無償労働であり、主に女が担ってきた。
 2000年から介護は措置ではなく、保険制度による国との「契約」となり、介護という仕事も、労働者としての対価が与えられなければならなかった。
 しかし、訪問介護にしろ、施設介護にしろ、女なら誰でもできる仕事としていまだに過小評価され、買いたたかれている。誰に?
 経営者に、利用者に、その家族に、そして何よりも国から買いたたかれている。
 やってみればわかるが、介護という職業は単にお世話をすることではない。食事、排泄、入浴などを安心、安全に介助する肉体労働、高齢者一人ひとりの身体状況や精神状態に関する多分野の知識と、洞察力や判断力、想像性、推進力……それらをフル動員する頭脳労働。そして、自分の感情をコントロールし、気遣い、心遣いをする感情労働。相手の立場で共感する能力、家事の知識も必要だ。その上で、偉そうな素振りはなく、親しみやすさがにじみ出ているキャラが身についている。

*PDCA

 まったくもって人間力が必要なクリエイティブな仕事で、それが介護というケア労働の醍醐味。偏見・蔑視と低賃金、過重労働のなかで、介護労働者を支えているのは、仕事に対する専門職としての誇りだ。
 今の介護労働の現場は、人権無視は日常茶飯事で、普通に働いていたら辞めて当然の職種だ。
 介護の仕事が好きになり、介護職を続けたければ、専門職として研鑽を積むしかない。職場の内部、外部研修がない場合、自腹で外部研修に参加するか、ネットや書籍で学ぶことになる。
 そんなにまでして知識を蓄えるのは、不確かな知識では家族や医務やケアマネを説得できない、つまり高齢者を支えることができないからだ。待遇改善を要求するにも、バックボーンは専門職としての矜持だ。
 介護職は専門職。専門職としての誇りをもって働こう。管理経営の素人の輩からの押し付けには怯むことはない。どんどん現場で企画し、実行し、改善し、突き進もう。ケアマネや医務を巻き込めば、管理職は「勝手にやるな」とは言いにくい。
 クレームには「PDCA(Plan Do Check Action)やってんだから」と言い返せばいい。管理職は横文字や生産管理用語には弱い。管理職を煙に巻いてるスキに、ケアのやり方から働き方まで労働者で変革していく。

*「たかが…」からの離脱

 かつて公共部門の民営化で多くの現業部門、たとえば保育士、栄養士、司書…そのほかの技能職が非正規化されたときに、「たかが子守り」「たかが給食のおばさん」「たかが本貸し」などと専門職を蔑み、行革を推進したことを忘れない。「たかが…」なんて言わせない。専門職の誇りをもって働こう。(あらかん)

ちば合同労組ニュース 第82号 2017年05月1日発行より

映画紹介 『大臣と影の男』

映画紹介『大臣と影の男』
 フランス国鉄の民営化をめぐる運輸大臣の苦悩を描いた映画。日本では劇場非公開。権力闘争の中で渦巻く人間模様を描く。少々地味で難解な雰囲気の映画。でも印象が残る映画でした。日本でも同じような映画があれば面白い。
 深夜、バス転落事故で多数の犠牲者が出たとの報告を受け、ヘリで現場に向かう運輸大臣ベルトラン。緊急事態に迅速に対応する大臣の日常の一コマが描かれる。派閥に属さず政界で孤立するベルトランを、秘書官のジルや報道官ら有能な側近チームが支える。
 事故を報じるニュース番組に出演し、その場で国鉄の民営化に関して質問されたベルトランは「民営化はしない」と断言した。ところが他のテレビ局に出演していた財務大臣は民営化を表明。財務省は、民営化を拒むベルトランの切り崩しにかかる。国鉄の赤字キャンペーンが功を奏し世論も過半が民営化に賛成に。
 大統領の信任を得ていたベルトランだったが、大統領も民営化に舵を切る。気づけばまわりは民営化推進の布陣に。このままでは大臣を辞職するしかない。結局、民営化の旗振り役に祭り上げられるベルトラン。それも束の間、大統領に雇用連帯省(日本の厚生労働省)への異動を告げられる。民営化の指揮を執らないで済み、大臣の椅子も守った。だが最も信頼する側近であり親友であった秘書官ジルを失う……
 秘書官が政策を考え、ライターが演説原稿を考える。大臣は演じるだけ。携帯電話の4千件の電話帳に友人は一人もいない。陳腐で孤独な運輸大臣役のオリヴィエ・グルメの演技はなかなか良かった。

ちば合同労組ニュース 第82号 2017年05月1日発行より

共謀罪は戦争のための団結禁止法

共謀罪は戦争のための団結禁止法

対象は歴史的にも現在的にも労働組合

「この法律がなければオリンピックは開けない」
 安倍首相はこう言って新共謀罪(テロ等準備罪)の制定を急いでいます。この法律は、過去3回にわたって国会で廃案になった世紀の悪法です。
 共謀罪とは、2人以上の者(集団)が、〝犯罪〟を行うことを話し合い、合意する(共謀)することで成立する犯罪のことです。こうなると、電話やメール、SNSの「いいね」のような相談の段階で捜査が可能となります。盗聴や尾行など捜査を含むの広範囲にわたり警察権が広がることが予想されます。
 「やましいことしていないから自分には関係ない」という人がいるかもしれません。しかし、国会では「犯罪を実行する団体に一変したと認められる場合には組織的犯罪集団に当たり得る」と「一般人にも適用可能」という見解を示しています。
 イラスト(東京新聞より転載)のように基地に反対する運動などが対象だと指摘されれていますが、労働組合や市民団体の活動はすべて対象になります。
 現代の治安維持法と言われる由縁は、日本が戦争を始めた時に労働運動や市民団体に対して治安維持法型の弾圧・規制を可能にする法律だということです。実行行為がなくとも「共謀」「準備」で組織体に網をかけて弾圧できる法律は、戦後日本の法律としては異質・異例としか言いようがなく、治安維持法との共通点が強く指摘されるのは当然です。
 この間、秘密保護法をはじめ、国家にとって都合の悪い情報の開示を徹底的に制限する一方で、マイナンバーをはじめ人びとの情報は徹底的に管理する手法が進められています。他方で森友学園事件のような疑獄事件の事実は国会でまともに明らかにしません。共謀罪の導入は、基本的人権や労働3権と同じく、人間が生きるための基本的な権利を奪うことです。

 世界で最初に共謀罪が制定されたのは英国です。その対象はズバリ労働組合でした。労働組合の活動は、労働の自由な取引を制限するコンスピラシー(共謀)であるとして、労働組合の結成自体が違法にされたのです。
 ストライキどころか労働組合が決めた標準賃金以下で働くことを労働者たちが拒否することも共謀罪として犯罪になりました。労働者が団結して要求したり、抗議すること自体が犯罪だとという考え方です。激しい弾圧と労働者の闘いの結果、1824年にようやく共謀罪は廃止され、団結権が合法化されたのです。
 この間も、アムネスティや青法協(弁護士団体)などさまざまな人権団体や宗教団体、滞日外国人の団体が警察の監視対象になっていた事実が暴露されています。上のイラストは市民団体ですが、これはそのまま労働組合にも当てはまります。
 これまでも労働組合の争議行為を会社と警察と結託して威力業務妨害罪や建造物侵入罪などでデッチあげ、組合活動を刑事事件の対象としてきました。
 千葉県警は昨年、ユニオン習志野が組合事務所を借りたことが「詐欺」だとして逮捕しました。共謀罪ができれば組合活動が丸ごと犯罪として捜査の対象になりかねません。労働者の団結を共謀として取り締まることに私たちは怒りと危機感を覚えずにはいられません。
 逆に、個人がバラバラにされるような時代の流れに抗して、労働者同士が団結してつながっていくことで共謀罪の狙いははね返せます。
 新共謀罪は5月連休明けにも、衆院通過とも言われています。職場の労働者どうしで議論を交わし、労働組合として全力で成立阻止へ闘いましょう。(K)

ちば合同労組ニュース 第82号 2017年05月1日発行より

星野文昭さん全証拠開示・再審署名 取り組みを

星野文昭さん全証拠開示・再審署名

 「千葉・星野文昭さんを取り戻す会」から署名の取り組みのお願いがありました。星野さんは1971年11月14日、ベトナム戦争と沖縄基地、そして沖縄返還協定に反対するデモに参加し、物的証拠も一切ないまま機動隊員の死亡の実行犯とされて無期懲役刑を受け、獄中42年です。唯一の証拠とされたのはデモに参加した学生らの「供述証拠」。のちに「虚偽の証言を強いられた」と法廷で証言されました。署名は、検察官が隠す証拠の開示と再審の開始を求めるものです。署名の集約は6月23日です。ちば合同労組に送付していただければ取り戻す会に渡します。ぜひご協力をお願いします。

ちば合同労組ニュース 第82号 2017年05月1日発行より

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