「社会問題解決の手段として労働組合を再発見」
米国では、アマゾンやスタバ、アップルなど世界的な企業で労働組合づくりが非常に活発になっています。こうした動きについて「社会問題を解決するツールの一つとして、人類が労働組合を再発見しつつある」(『世界』22年6月号/篠田徹「批判的労働運動の政治的使命」)との分析もなされているようです。
BLM(アフリカ系アメリカ人に対する警察の残虐行為をきっかけにアメリカで始まった人種差別抗議運動)から労働運動への参加も起きています。また10代から25歳くらいまでの「Z世代」は〝ジェネレーション・レフト〟とも呼ばれ、気候変動問題や労働組合など社会運動への参加に積極的と言われています。
米スタバの労働組合づくりは、24歳の若者と71歳のオルガナイザー(職業的に労働組合の組織化に従事する者)との出会いから始まったと報告されています(3面記事)。
「労働組合こそ職場と社会の変革の担い手である。その原動力は労働者の自発性と創造性に基づく労働者の集団行動である」と言えるような労働組合をぜひつくりたい。
若者参加の組合を
『週刊アエラ』5月30日号の記事「医療従事者7割が辞めたいの背景」によると、自治労が実施した医療従事者対象のアンケート「現在の職場を辞めたいか?」の問いに、「常に思う」(12%)、「しばしば思う」(21%)、「たまに思う」(36%)の計69%。うつ的な症状も23%。
「辞めてしまうと、残ったスタッフの負担が増えさらに大変になり疲弊」「コロナ禍で看護師は大変なのに給料に見合わない。このままだとみんな辞める」「命懸けで勤務しているのに、ボーナス引き下げはひどすぎ」との声。
これは医療現場だけの問題ではありません。千葉市内の保育園で不適切運営が行われているとして常勤保育士など約15人が一斉退職したとの記事も注目を集めました(5月16日付『千葉日報』)。
こうした状況を変革できる労働組合の存在をどうつくりだしていくのか。さらに議論と実践が必要です。
現在、政府・財界の動きは「働き方改革フェーズ2」としてジョブ型雇用や裁量労働制、フリーランス化などを推進し、金銭解雇制度の導入も狙っています。他方、連合は、芳野会長が自民党の「人生百年時代戦略本部」で講演するなど自民党に急接近。
ウクライナ戦争で物価高や円安、原油高が加速しています。戦争も物価もこの20数年とは違う次元に進む予感がします。現場の労働者、そして若者が参加できる労働組合の復権はまったなしで求められていると思います(書記長)。